8015J列車 夕方の東京
東京駅。日本で大きい駅のウチに入る駅に僕はいた。
「ねぇねぇ。お母さん、マックスがいる。」
僕はそう言い、隣に止まっている2階建て新幹線を指さした。2階と1階の間に黄色いラインが入る|E4系「やまびこ」。その向こうにはシルバーの車体に緑のラインが入る400系「つばさ」が続いている。
「おお。つながってるねぇ。」
「うん、キスしてる。」
僕は連結しているというのをキスしていると表現した。他にもにらめっこしてるとかいろいろ表現できると思うが、やっぱりキスしてるが一番しっくりくるのだ。
さて、今日|東京駅に来たのは北海道に行くためである。しかし、鉄道が好きな方ならもうおわかりだろう。このとき例の北海道新幹線は影も形もないのである。400系「つばさ」が営業運転をしている時、東北新幹線はまだ八戸までしか言っておらず、その先は789系「スーパー白鳥」か485系「白鳥」で乗り継いでいかなければ北海道に行くことは出来ない時代だ。
だが、今の時間は16時を過ぎている。「はやて」、「スーパー白鳥」・「白鳥」を乗り継いでいくのでは函館到着は夜遅くになってしまう。子供を連れる親としてそれはよくないのではないだろうか。それなら、北海道までどうやって行くのか・・・。何かお忘れではないだろうか。
「もうすぐ「北斗星」に乗れるんだ。。」
僕はもう嬉しくて仕方ない。東京駅にいるのはその時間が近づいていることの表れなのである。
「嬉しいよねぇ。でも、「北斗星」に乗る前にちゃんとご飯を食べなきゃね。」
お母さんはそう言った。
「あなた、早く。これからどうすればいいの。」
「まずは上野駅に行かないとな。山手線か、京浜東北線に乗り換えないと。」
お父さんがそう言うと、
「行こう。早く行こう。」
「チョッ止まって。お父さんビデオ回してるから。。」
「早く行こうよ、ねぇ。」
「そんなに早く言ってもまだ上野駅に「北斗星」はいないぞぉ。」
「・・・。」
「北斗星」の出発は19時03分。上野駅13番線ホームに入ってくる時間はこれよりも前であるが、その時間まではまだ2時間近くある。乗れることばかりに頭がいって、その時間がまだ遠いことを僕はよく分かっていない。
「その前にまずご飯だ。」
僕らは乗り換え改札を通り、山手線ホームへと向かった。