表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オチなし奇妙な物語  作者: 活動寫眞
11/12

アナザー:刑事と天窓

「登場人物も団体も架空の物語です。」

屋敷の表には警官が二人立っていた。

見つからない様に裏へと周り込んむ事とにした。

屋敷の裏には塀を挟んで平屋の家が建ってた。

塀には僅かながら隙間があり、横這いになればどうにか進める。

体格が大きかったり、お腹が出ていれば通れそうにない。

どうにか塀の隙間を掃除しながら屋敷の裏へと到着する。

良い大人がどこで何をしたのかと思うほど服は汚してしまった。



刑事

「裏から人の出入りはどうやらないようだ。」


「良かったです。簡単には戻れませんから」


刑事

「中には見回りはいない。屋敷の中に入るぞ。」



屋敷の裏側から塀を越え庭へと入る。

そこからはおじさんが亡くなっていたリビングが僅かに見えている。

半年以上も使ってないので窓には雨風による汚れで薄く曇っていた。


中に入るには表の玄関、庭の窓、勝手口とあるが

どでも侵入は困難。そこで昔よく部屋から抜け出す際に使っていた

手を使うことにした。とりあえず刑事さんに足場となってもらい、

二階のベランダの柵を掴む。そこからよじ登り、更に柵に足をかけ屋根へ。

屋根の真ん中辺りに丸い天窓があり、立て付けが悪く角を軽く叩いてやると

内側へと開く。


このお陰で強風や地震などで何度か勝手に窓が開いて大騒ぎになった事も。

直せば済むことだけど僕が拒否。出入りができなくなるから。

おじさんはそれで直さなかった。僕の考えなど全部分かっていたんだろうけど。

屋根裏部屋から2階、1階へと降り、リビングを通り勝手口の鍵を開けた。

そして周りを警戒しながら刑事さんは中へと向かい居れた。



刑事

「予想以上にホコリが多い。」


「子供の頃から出入り禁止でしたから」


刑事

「人が住まなくなった家はこんなもんだ。

 家も人の生気吸って生きてるんだろう・・・。」


「なんとなく分かります。学校や病院とかも昼と夜では違いますからね。」


刑事

「人が居た気配ってやつだな。・・・ここが現場だ。

 するとカメラは・・・ここあたりの角度・・・で・・・あれ?」


「どうしました?」


刑事

「映像にあった角度だとこの辺り撮影されていたんだが…ここだと・・・

 何もないんだよ、穴開けて仕掛ける壁も備え付ける為の棚とかタンスとか」


「上から釣ってたとか?」


刑事

「リビングの上は吹き抜けだぞ?そんなのバレるだろ?・・・ん?」


「何か気づいたんですか?」


刑事

「もしかしたら思い違いかも知れない。あの映像は仕掛けられてのものではなく

 自分自身で備え付けた。防犯か、それとも記録用にか・・・

 だとするとますます分からん!」


「・・・何かの証拠を撮る為に家中に備え付けたのでは?」


刑事

「だとすると・・・2つ。

 1つは、身の危険を感じ家に侵入された際に証拠のため。

 1つは、家の住人を監視・盗撮を行っていた。」


僕「妹を監視?」


刑事

「ああ、彼の残した情報からすると定期的に暗示をかけていただろう。

 今居る人間とは全く異なる人物へと人格を変更させてしまうのだから

 自分の目の届かない所で何かあってはならないと考えるのが普通では?」


「じゃあ、その暗示による実験が繰り返されていた。この屋敷内で!?」


刑事

「可能性はある。そうだと仮定すると、もしかしたら彼と妹とさんとの

 関係も分かるかも知れないな」


僕「関係?」


刑事

「勿論、やましい意味ではない。

 本当に彼の言う通りの救うための人格改造だとすると

 新たな人格に目覚めた人間である妹さんは、目の前に知らない男がいる事になる。

 これはあくまで念を押しておくが仮定の話だ。

 あの時、彼が心臓発作を起こしたのは妹さんを見たからだ。

 そして見て驚く状況とは何か?それは居るはずもない人物が目の前に現れたから。

 行方不明の人間?いや違う。もっと具体的に・・・

 例えばここから直ぐにはこれない距離の場所にいる。または事故で入院している。

 来れない動けない状態だと知っていれば驚きも普通ではない。

 ・・・ならば、もし自分の手で殺 した人間が目の前に現れたらどう思う?」


僕「!?」


刑事

「幽霊が画面に映っているとは考え難い。

 刑事として非科学的なことは信じないのでね。」


「では妹はどこかへ逃げたのでしょうか?」


刑事

「多重人格の状態で果たして今は誰なのか。

 作られた方ならば君の記憶もない可能性は高い。元の人格だとして、

 おじさんから受けた実験や死などから途方に暮れている可能性もある。」


「早く見つけないと!でもカメラにはその行き先は分からないんですよね?」


刑事

「ああ、足取りまではね。最後に映っていたのはここから庭へと出て行く映像・・・」



おじさんの死亡後、散々警察が処理していったので何も残ってない。

刑事さんが危ない情報を得なければここまでの事すらも闇の中だった。

せっかく分かったこれから先にどうにか繋げたい。妹の足取りは一体・・・



僕「刑事さん!?」



刑事「どうした?」



僕「天窓の内側の隙間に手紙が挟まっていました。妹からです!」



『この手紙を読んでいる頃には私はこの世にいないかも知れません。

 ですが悲しまないで下さい。そうなる運命だった・・・。

 お兄ちゃんが家を出てしばらくして、おじさんから過去の話を聞きました。

 私はみんなが幸せになるために催眠療法を受けることにしました。

 おじさんは、日に日に効果が出ていると言っていました。

 でも私には普段の生活となんら変化がなく、全くわかりませんでした。

 そんなある日、お兄ちゃんの家を訪ねた帰りに事件が起こりました。』



妹「ただいま」


おじさん

「おかえり。雨が降ってるから迎えに着たよ」


「ありがとう。おじさん!」


おじさん

「さぁ、車に乗って・・・」



車に乗ると急に眠くなり、次に気が付いた時には知らないアパートで

倒れていました。そう、私はおじさんの暗示により違う人生を送っていた。

そして痛みによって元に戻った。


“あの時、私を刺して逃げたお兄ちゃんは逃げて行った”


大きな病院に運ばれた私は一命を取りとめました。

傷が癒え、退院する日にある男の人が私の元へと訪ねてきました。

何処かで見たことのある人だったけど背広を着た中年のふわふわ頭の男性。

その人が言うには、“君は非常に危険な状況下に置かれている”と。


しばらくその人の用意した家へと行く事となりました。

そこには事件などで命の危険性がある人がたくさんいる建物でした。

とても皆親切で楽しかったです。


でもどうしてもおじさんが気になり、私は抜け出して会い行った。

するとおじさんは言った。


“うわっ!成仏してくれ!”


とても悲しかった。

でもどういうわけか聞いたわ。するとこう答えた。



『すべては上の指示だったんだ!幼い頃から洗脳し外国へと売り飛ばす。

 人間が国がある限り戦争は無くならない!まさか子供が傭兵なんて

 思う奴らが平和ボケした国にいるわけがない!』



つまり、実験対象として私たちは育てられた。

そして、お兄ちゃんもかけられていたのよ。

家を出たのも、私を刺したのも全ておじさんによるもの・・・

だから私はお兄ちゃんを恨んでない。悪くないよ。



僕「・・・」



刑事

「なんてこった。事が予想以上にデカイじゃねーか!

 通りで上は情報を消すわけだ。」


「・・・妹はどこなんでしょう?」


刑事

「手紙には・・・・・・書いてないな。」


「これからどうしたら・・・」


刑事

「保護したって連中を探してみるかしかないな。

 もしかしたらそこにいるのかも知れない。少なからずこの屋敷に事件後に

 妹さんは着ている。だからこそ君らにしか知らない天窓に手紙を残した。

 外からの入り方を知る者。内側は警察の捜査の痕跡もない。足跡一つ無い埃。

 もし保護施設に戻っているなら、最悪この手紙が誰かに見つかっても

 場所はわからない。他にも保護者がいるようだしな。

 住所を載せるわけにはいかなかったのだろう」


僕「そうですね」


刑事

「さぁ、先に出て公園の噴水で待っててくれ。入った跡を消しておかないとな」



日が沈んでからもしばらく待ったが

刑事さんと会うことが2度となかった。




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ