横井 貴明「日誌」
7/15
今日は一限と三限の授業だった。最近どうも疲れている。部活の大会がもうすぐだから、顧問の私も残らなければならないのだ。
日に日に上達していく彼らの姿に感じるものがないではない。本当に頑張っていると思う。私も誇らしいというものだ。
7/16
暇つぶしにと始めたこの日記もはや一ヶ月ほどだろうか。はじめは誰かに強要されたものだったが、案外と続くものだ。ただ、最初の方に書いていたことはあまり覚えていない。
記憶力には自信があるつもりだったのだが、この頃は記憶が薄れていくばかりだ。小さい頃は私も、中学模試で県内一位なんてものもあったのだが。
7/17
自分の名がうまく書けない。井伊、貴明。
最近少し離人症気味なのかもしれない。ストレスとして思い当たるフシはいくつかないでもない。ここ最近やって来た保健医だ。
あの保健医、カウンセリングの練習がしたいのは結構だが、その相手を私に定めたのだ。それもまぁ、まともなカウンセリングならば許そう。めちゃくちゃな話ばかりでかえってイライラするばかりで、なんのカウンセリングにもなりはしない……。
7/18
今日は二限と四限に授業があった。終わったら顧問だ。もう慣れたこの流れが辛く感じるはずはないんだが……やはり本当に疲れているのだろうか。
最近ふと漠然とした不安が胸を支配することがある。何か大切なことを忘れているような気がするのだ。自宅のドアの鍵を閉め忘れたような、そんな類の不安感がある。
7/19
どういう事だ? あのカウンセラーは何を知っている? 何を言っている? 私が過去に行ったことを何故知っている? 過去に……私自身も思い出せないことなのに、なぜか嫌にしっくり来る記憶をペラペラと。
あのカウンセラーがいる限り、私に安息は訪れない。あの保健医が保健医である限り、私は彼女に関わらなければならない。ならば……