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≠ Unknown World Online  作者: 02
楽園という名の監獄へ
7/18

     生命線の《アビリティ》―2

 そして探索した結果、


『薬草×4』

『治癒草×11』

『滋養草×3』

『ハーブ×7』

『リーンの実×1』

『ヤコの実×7』

『鳥の羽×3』

『木の枝×11』


 を入手した。訳がわからんものばかりだ。


 あと十回に一回ぐらいの確立で、一つ拾ったアイテムが二つになったりした。おそらく《採取》の影響だろう。


『――ルルルルル』


 と、ここで呼び鈴。確認するまでも無く、沙耶とジーンからだ。

 夜になったら連絡を取り合えうのが習慣になりつつあった。



『こんばんは、無事ですか?』


『よう、二日目の夜だが、いかがお過ごし?』


「順調でございますよ。とりあえず生きるのに必要な食糧を確保してきた。本格的な探索は明日からだ」


 で、とりあえず手に入れた物を報告してみる。


『ふむ、ハーブは《調合》でポーションを作り出すのに必要なものだ。《滋養草》は《SP》回復、調合すればSPポーションが作れる。リーンの実と治癒草は知らんな、ヤコの実はこっちにもあるが固くて食えん。他はなんかの素材に使えるか、ゴミだな』


『治療草というのに興味がありますね、どんな効果なんですか?』


「ここらへんじゃいっぱい取れるぞ。HP回復+60だそうだ」


『60!?』


 ジーンが思った以上の驚きをみせた。


「それは凄いのか?」


『凄いよ。そりゃきっとまだ見つかってない薬草の上位版だ。こっちに持ち帰れればきっと高値で売れるぞ』


「そうなのか?」


『はい、高い需要があるんです』


 沙耶のそれに同意する。


『薬草の三倍の効き目ということは、それから《調合》できるポーションの効き目もおそらく三倍です。つまり、HP回復+150の『HPハイポーション』が作れるはず。これは店でも売っていなくて、βテストのとき敵のドロップで少量確認されてただけです』


『それに珍しい草での《調合》は、《調合》アビリティのレベルアップにもなる。だから……そのままの『治癒草』で薬草の8倍、『ハイポーション』ならポーションの10倍で売れるかもしれん』


「そんなにか!」


 そのインフレ具合に俺もさすがに驚いた。


「回復量は3倍になるだけだろう?」


『ああ、だがその回復量以上に、希少性と利便性に価値がある』


「――ああ、なるほど」


 理解した。アイテムを使う場合はイベントリから掴み出して割る必要がある。HP150回復する為にはポーションを掴んで割ってを三回繰り返す必要があるが、ハイポーションならそれが一回だけで済むわけだ。素早い反応が必要とされる最前線で、その差は大きい。店売りで手に入れられないならなおさら価値はあるか。


「こりゃ面白くなってきたな」


 生還して一攫千金。なかなか夢があるじゃないか。


『その様子じゃ、脱出も結構なんとかなりそうだな』


 と、一転して楽観的なったジーンに、俺はそうじゃないと一応否定しておく。


「いや、実はそうでもない。今日は例の大猪3頭に追い掛け回されて、また死ぬ思いをしたよ」


『……よくそれでまだ生き残ってるな』


「セーフティエリアが近かったのもあるが、それ用のアビリティを習得したからな」


『ん? どんなだ?』



 俺は習得したアビリティを伝える。



『もう完全にサバイバル用ですね』


『……そんなんにAP使っていーんか? 戦闘用なきゃこっち戻ってきた時苦労するぜ?』



 沙耶は普通に受け入れたが、ジーンはだいぶ渋い反応をした。



「いーんだよ俺は。とりあえずは、できる限りあがいてみることにしたからな」


『私は兄さんならそうすると思っていましたから、驚きもありませんけど』


『……ハイハイ、まったくこの兄妹は』


 チャットの向こうでジーンが苦笑した。




 ――パシュッ ――パシュッ


 クリスタルの広間で、矢を放つ音だけが静かに響く。


 ――パシュッ ――パシュッ


(だんだん使い方はわかってきたな)


 夜になって外出できなくなった俺は、広間にあった枯れた根っこに対して《弓術》の練習をしていた。

 リーンの実を採った時のように、思わぬところで必要になることがわかったからだ。

 しばらく練習を繰り返して、止まっている物にならだいぶ当てられるようになっていた。


(今度は動きながらやってみるか)


 《ダッシュは》使わずに、普通に走りながら矢を放ってみた。


 タタタッ――パシュッ


(…………)


 矢は、ターゲットの大きく上を通り過ぎていった。


(……まだ戦闘にはつかえそうにないな)


 それでも諦めることなく練習は続けた。



 そうして夜が明けたところで、再び探索を始める。

 結果、新たな発見物はなく、またモンスターに追い回さたが、ヤコの実がたくさん実っている場所を見つけた。ヤコの実は硬い殻に覆われていてるが、説明文に【実は柔らかくて美味しい】とある。今度いろいろ試してみよう。

 そうしてまた一日を終え、もはやホームとなった大樹の中に帰ってきた時には、さすがに疲れて眠くなってきていた。

 沙耶とジーンにログアウトする旨を伝えて、現実の世界に戻る。


「……ふぅ、疲れた。こんなにゲームにはまったのは久しぶりだな」


 実際の身体は全く動かしてないはずなのに、適度な疲労感があった。

 これなら良く眠れそうだ。


「明日は、もうすこし遠くまで行ってみよう」


 ――こうして俺の怒涛のサービス開始一日目が終わった。



**********

ネーム:【ユウ】

クラス:【ハンターLv6】


セットアビリティ

《短剣術Lv6》

《弓術Lv6》

《ダッシュLv11》

《ステップLv13》

《忍び足Lv5》

《鷹の目Lv6》

《目星Lv5》

《採取Lv6》

《持久力Lv6》


残りAP=4


空腹値:20 状態:空腹

**********

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