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≠ Unknown World Online  作者: 02
ジーン Party Side
16/18

第13話 仲間




 ~ 第13話 仲間 ~




「おりゃぁッ! そりゃぁッ!」


 開幕一番、もはやお決まりとなったクレイモアと槍による《投擲》攻撃。ターゲットは盾が無く、比較的動きの遅い【リザードプリースト】。


「ッ! ギョアァァッ!」


 一発目は外してしまったが、槍が見事に頭に命中、クリティカル。断末魔を上げて絶命する。よし、厄介な回復役を落とせた。

 大剣の投擲は威力が高いが、命中率に難があるな。それに比べて槍は正確に飛んでいい。資金に余裕ができたら(遠い目)あと2本ぐらいは買っておこう。

 さて残りは、


【リザードマン】×1

【リザードファイター】×2

【リザードマジシャン】×1


 リザードマンとリザードファイターの片方が俺に、もう片方はアキに向かった。よしよし理想的な展開だ。

 

「ギェェッ!」

「――よっ、はっと!」

「!?」


 アキがリザードファイターの一撃を見事《受け流し》、体勢を崩した足に対して《キック》を仕掛ける。

 リザードファイターは無様に前のめりに転倒、そしてその無防備な背中に対して、


「はーい、ドンマイ♪」


 トドメを刺す。相変わらず鮮やかに手際だ。


「――ジュ―ル―フェ――」


 っと、この不穏な詠唱は……!


「魔法なんか使おうとしてんじゃねぇぇぇぇッ!」

「――デュゥッ?!」


 俺に襲い掛かる2体のトカゲの隙間から、後ろで火炎魔法を唱え始めていたマジシャンに向けて片手剣を投擲。深々と肩に刺さり、詠唱を中断させることに成功する。


「「グリャアアアアア」」


 すかさず2匹が俺に怒り狂ったように攻撃してくるが、なんとか盾でガード――する必要もなかった。


「我がマナから生まれし氷結晶よ――敵を穿てッ 『アイススピア』!」


 3本の氷の矢がリザードに襲い掛かり、HPを大きく減らす。そのうえ鈍足効果が発生だ。熱を奪われ鈍くなった爬虫類など、もはや敵ではない。あっというまに俺と合流したアキでかたをつける。

 よし、残るは一体、これは試すチャンスだ。


「さあ! 来るんだアキ、必殺技をおみまいしてやろう!」


 アキは言葉に従い、俺のほうへ駆けてきて――


「――どぅほおおおお!?」


 キックされて吹っ飛んだ。俺が。

 

「なんで蹴るんだよ!?」

「ツッコミだよ、どこに敵がいるっていうのさ」

「そりゃもちろん目の前のリザードマジシャンが――あれ?」


 そこにいたのは、メイスと盾装備でたたずむ前衛プリースト様だった。


「こっちはもう終わりましたよ?」


 いつの間にか沙耶ちゃんによってリザードマジシャンは撲殺されていたようだった。






「……なんでだよぉー、磯野~練習しようぜ~、必殺技の~」

「誰が磯野だ」


 敵の4/5がクラス持ちという、普通なら苦戦必至の強敵をアッサリと片付けてから、俺たちは山頂に向けて進軍を再会していた。

 そんな中、俺はしんがりのポジションから前の三人に対して抗議の声を上げる。だがその対応は冷たかった。


「敵が速やかに倒せるなら、それに越したことはありませんよ」

「あんな不安定な技、失敗したら私が大怪我じゃないか。まだ一回もまともに成功してないし、こんな雑魚戦で使いたくないよ」

「ごめんなさい、アイスウォールはMP消費が激しいので……できればまだ温存しておきたいです」


 一蹴されてしまう俺の合体必殺技。


 ぐぅぅ、ロマンというものがわからぬのかぁ! しかし、諦めんぞ、諦めてなるものかあッ!


 ………


 ……


 …


 その後も数戦、激しい戦いを繰り広げながらも、俺たちは何とか日暮れ前ギリギリにガルム山脈中腹にあるセーフティエリアにたどり着いた。

 ここは木製のログハウスのようになっている。入ってすぐに中央で薪を燃やせるリビングがあり、左手にベット付きの部屋が二つ、前方にも同じ部屋が二つ、数パーティが訪れても大丈夫な設計だ。そして右手には景色を一望できるベランダが、あとは倉庫が二階にあって梯子がついている。モンスターがはびこる中でなんとも贅沢な作りである。しかしいいセンスだ、離れの別荘にキャンプしにきたかのような気分になれる。


「えー、確かここら辺に……?」


 そして俺はガサゴソと二階の倉庫を漁っていた。


「お、あったあった」


 目的のブツを見つけてリビングに戻る。そこではさきほど俺が火を付けた炎が赤々と燃えていて(火打ちセットが備えてあるので誰でも楽々火を付けられる)、設置した鍋の中の水がいい感じに煮えていた。


「ではこれをコップにすくって、入手した粉をかけてかき混ぜれば……完成。ファンタジーには合わんけど、やっぱ便利だわ」


 で、これを一人楽しむのもいいが、せっかくなのでおすそ分けしたい。……しかし、沙耶ちゃんとユキちゃんは部屋の一つでさきほどから何か話しているようだ。おそらく歳は同じぐらいだろうから、通じるものがあるのだろう、邪魔しちゃ悪そうだ。それに酒場で飲み物を頼む時、コレ苦手って言ってなかたっけ? 砂糖も無いし、いいか。

 ということで俺の目は自然とアキを探すのだが、室内には見えない。休憩でログアウトしたかとも思ったが、フレンドリストにはオンライン表示。ということは外か、そう思ってベランダに出ると、いた。


 備え付けられたベンチに座って、静かに景色を眺めていた。


「よっ、どうした、珍しくぼんやりとして」

「ん……私だっていつでもせっかちなわけじゃないよ。たまにはボーっとするときもある」


 今は大剣も金属装備も脇に置いて、くつろいでいるようだった。


「……ん? それは?」


 俺の手にしているものに気づいた。


「ここのセーフティエリアには蒼クリスタルなんてたいそうなものはないが、それに劣らない最高のものがある。『インスタントコーヒー』だ、なぜか倉庫に常備されているんだよ、スタッフから贈られる隠されたお楽しみってやつかな。飲むか?」

「へぇ-、ありがと、いただくよ」


 俺はアキにコーヒーを渡しながら隣に座る。

 ズズッと一口飲んでアキは言う。


「マズイ」

「はははっ」


 その素直な感想に思わず笑ってしまう。確かに美味しいとはいえない。


「なんでこの世界でインスタントなんだか、もちっとましなの用意してくれてもいいのにな」

「そのお言葉も最もだが、俺はこの安っぽい感じ好きだな。このマズイ一杯がこの景色を眺めながら頂くと――絶品に化けるから」

「……ああそうだね、製作者はいい趣味してるよ」


 見上げれば満天の星空。眼下には暗闇のなかでぼんやりと暖かく輝く、アルフガルドの街。


「……いいね」


 ふと、アキが言葉を溢した。


「なにが?」

「気が合う仲間と、喋って戦って冒険して……こうして最高の景色を拝める。……いいね。ふふっ、ユキの言うとおり、これはいいストレス発散になるわ」

「実生活でもいろいろ大変なのか」

「んー、まぁねぇ……実はちょっと前に上司と揉めて、三年勤めてた会社を辞めちゃってな」

「ぶふっ」


 思わずコーヒー吹いた。


「うあっ、なんだい」

「い、いや、驚いて」

「何に」

「……社会人ダッタノカー。てっきり不良大学生か何かかと――痛いッス!」


 平手打ちがとんできた。


「失礼だねぇ! あんたと一緒にするな!」

「イタタ……ということは、俺より年上か」

「あんたいくつ?」

「永遠の18歳――痛いたいたいたいッ! 耳ひっぱんな! 今年22歳の大学4年生だよこの暴力女ッ!」

「へぇ、じゃぁ同い年か」

「えっ、別にサバ読まなくても俺は気にしな――大剣はやめてくださいおなしゃすッ!」


 大剣に伸びかけた手はなんとか止めてもらえた。


「――ゴフッ?!」


 しかし容赦の無いパンチが俺を襲った。まだガントレットを装備していなかったので助かったけどね……。


「ったく、ユキにも確認してみなさい、同い年だから! 世の中皆大学出だと思うな、約二人に一人は高卒なんだからな!」

「すんませんした」


 深々と頭を垂れる。


「疲れさせるんじゃないよまったく……まぁそんな感じで私は高卒で家を出て働いてたわけよ、ユキを養いなう為にも」

「えっ! それはさらに驚きなんだが……家の事情で?」

「まあ、そうだ」

「凄いなその歳で……俺には無理だ」

「ふふっ、死ぬ気でやればなんとかなるさ」


 そうしてニヤッと笑う。本当に姉御肌なやつだ。


「そりゃホントに大変だろう、ストレスも溜まるわ」

「私の選択でこんなことになったからしょうがないんだけどね、確かにいろんな無茶もやったよ」

「その武勇伝を言ったげて♪」

「捕まりたくないからヤダ」

「って警察とんでくるんかよ!?」

「ハッハッハッハ」

「否定してくださいよ!?」

「大丈夫、人様には迷惑かけてないから。(証拠無いしね)ボソッ」

「ボソッと言ってもこの距離じゃ丸聞こえですからッ!」

「うっさいうっさい、ホントに大丈夫だから、単なる内輪揉め。……それに裁かれるならアイツの方だよ」


 『アイツ』と言う時のアキの目と声が、異常に冷たくなった。彼女にも許せない何かがあったのだろう。


「まぁ今は忙しくてなかなか相手してあげられなかったユキと遊ぼうと割り切って、貯金を崩して生活しているとこ。高校の時からお世話になった店でバイトはしてるけど――って」

「ん?」


 なんか急に頭をガシガシと掻きだすアキ。


「……なんでこんなことまで話してるのよ。気ぃ抜けすぎでしょ私」


 そしてブスっとした顔で俺を睨む。


「私だけ話してるのヤダ。ジーンも話せ」

「え~……といってもなぁ。フツーに自由な大学生活を楽しんでるだけだからなぁ」


 俺には話せるようなことあんまりない。楽しいことが好きで、この《アンノーン》もたまたま知ってたまたまやり始めただけだ。


「このダメニートが」

「勝手にニートと決め付けんなや! ちゃんと内定もらってるがな!」

「エイプリルフールはとっくに過ぎたよ。ああ、ジーンはいつでもフール(愚か者)なのね」

「信じろよ! てか酷いなオイ!」

「ふん、人のことを根掘り葉掘り聞いた罰だ」

「……まぁ馬鹿なのは認めるけどさぁ……それぐらいいいじゃん、嬉しかったのに」

「……『嬉しかった』?」

「いろいろ話してくれたからさ。それに『気の合う仲間』とも言ってくれたろう? 知り合って短いけど、俺もアキも大切な仲間だと思ってた、だからいろいろ話してくれて嬉しかった」

「…………」

「現実じゃいろいろ大変で、それを愚痴りたくなるのは自然なことさ。俺はノリは軽いが秘密は守る。べらべら誰かに言ったりしない、だから何か溜まってるものがあったら、これからも聞いてあげることぐらいはしたい、って思ってな」

「……うん。まぁ……気が向いたら、ね」


 え、なんでそこでそっぽを向くんだ? そっちに何か動物でもいたか?


「ふぅー……私も弱ってたのかねぇー」


 そうしてまたガシガシと頭を掻くアキ。お疲れの様子かな?


「まぁそんな辛気臭い話はとりあえず置いとこう、そして楽しいことをしよう!」

「なんだい急に、楽しいことって?」

「必殺技の練習とか」

「……今のお前はそれしか頭にないのか」

「ありません」


 俺の即答に頭に手を当てて苦悩するアキ。なにを仰るんですか、とっても楽しいことじゃないですか。


「いいだろ? 俺だってアキのすげぇ技を見てからず~~っと何か俺もカッコイイ仲間になりたいって思ってたんだ。そのちょっとした夢が叶いそうなんだ」

「(……別にあんたはカッコ悪くないさ)」

「ん? 今マジで聞こえなかった」

「なんでもない。ったく、しょうがないね、コーヒーのお代ぐらいは付き合ってやるよ」

「やったー! アキちゃんまじサイコー!」

「馴れ馴れしい」

「ひでぶっ!」


………


……




「なにしてるの?」


 部屋の一つでなにやら色々な道具を広げはじめたのが気になって、ユキは沙耶に声を掛けた。


「ポーション作りですよ。リザード系のドロップ品、【大トカゲの尻尾】には生命力を高める効果があるんです。これを既存のポーショーンと組み合わせて《調合》すれば……ほら」


【HPポーション+:HP回復+65】


「普通より回復量が+15されたのポーション+の完成です」


「おぉぉ~、スゴイ」


「同じようにSPポーションも作って……っと。これでジーンさんとアキさんも、もっと楽に戦えますね」


「……偉いなぁ」


「? 何がです?」


「こうして縁の下の力持ちになってることが。冒険でも影ならが的確に皆の支援をしてるし」


「たいした事ではないですよ。だってお世話になっていますから、特にジーンさんにはね。……本当は北西へ行きたいと言った私が率先してパーティを集めなくちゃいけなかったのに、こうして代わりに仕切ってくれていますし。それに彼の強さがなかったらここまで来ることも、この先進むこともできませんでした。せめてものお礼はしておかないと」


「……とか言いつつ、ちょくちょくイジメてない?」


「それはそれ、これはこれです(キリッ」


「あははっ! 沙耶ちゃんひどーい!」


 そう言ってころころと笑うユキ。


「だいたいジーンさんだって、好きでボケたり突っ込んだりしてますよアレ」


「ははっ、面白いよね~」


「ええ、賑やか過ぎるぐらいです」


「沙耶ちゃんはさ、ジーンさんが好き?」


 唐突にユキは尋ねた。


「う~ん、どうでしょう。よく分かりません」


 しかし沙耶は普通に返答した。本当にわからないといった感じだ。


「頼りになる仲間として信頼していますけど、恋愛対象なのかは……」


「そっかー」


「それより、アキさんはどうなんでしょう。すごい気が合いそうに見えますが」


「……う~ん、実はそれも分からないんだ」


「あら、以外ですね」


「エロイことは言うけど、あの人いままで彼氏とかいたことないのですよ? だから予測がつかないの。なーんか頑なっていうか、もっと他人を信用して弱音を吐き出してもいいのにっていうか、常に突っ張っちゃってるんだよ姉さんは、困ったもんだ」


「ふふっ、でも凄く仲がいいんですね」


「うん、まあね。姉さんは……私の恩人だから」


「恩人?」


「私たち片親で、父の手で育てられたんだけど……それがほんとダメダメな親でさ、酒は飲むタバコも吸うパチンコも行く、そして言うことを聞かなければ手がとんでくるような人だった」


「それは……大変ですね」


「うん、それでも私が中学まではまだ良かったんだ。……けどそれからが酷くなった。不景気の影響を受けて会社をクビになって……暴力がエスカレートしたの」


「…………」


「何もしてなくても、殴られたり蹴られたりするのが当たり前になりつつあった。……そしてある日、ついに私は足を骨折する大怪我をしてしまった」


「っ……」


「それでついに姉さんがブチキレて、近所から警察呼ばれるほどの大喧嘩したらしい。私は入院してたから知らなかったんだけどね。それからはもう急展開の連続、私が退院する時姉さんが迎えに来てくれたんだけど、開口一番――




 『私がこれからユキを養う。アイツとは縁を切れ、これから二人で暮らすんだ、中学転校の手続きもほぼ済ませてある。いいな? 拒否権は無い、ついて来い』




 ――って」


「……尋常じゃない行動力ですね」


「それから苦労した。縁は切らなかったけど、ずっと姉さんに振り回されてされるがままって感じだった。……でももしあのまま父さんと暮らしてたら、死ぬことは無かっただろうけど、今の私はなかった。だから姉さんにすっごく感謝してるんだ。いずれこの恩は返したい、そして出来たら……あんな父親でも仲直りさせてあげたい、って思ってるの」


「……同じです」


「え?」


「私も、兄さんにすごい恩があるんですよ」


「沙耶ちゃんも?」


「ええ、私の両親は……私が小学校へ上がる頃、事故で亡くなったんです」


「……大変だったんだね」


「それから叔父さんと叔母さんの家に引き取られて過ごすことになったんですが……両親が大好きだった私は、突然の事にショックで立ち直ることができなくて……小学校にも馴染めず、暗澹たる気持ちで日々をただ過ごすだけでした。それで、死のうと思ったことがあるんです、こんなつまらない毎日なんていらない、私も両親の元に行く、と。……それを防いでくれたのが、兄でした」


「そうだったんだー……」


「ふふっ」


「え、何?」


「いえ、ちょっと思い出してしまって。その兄の説得方法が、アキさんみたいにすごいものだったんですよ?」


「普通に生きることの大切さを説いた、とかとは違うの?」


「いえ、それよりもっと破天荒な行動で表したんです。『旅』に連れて行かれました」


「は? 旅?」


「10日間ほどだったかな? 引き取ってくれた叔父さんと叔母さんに内緒で」


「ってそれ家出じゃんッ秘密になってないよ!? てかなんで旅?!」


「当然の疑問ですよね。私も『なんで旅?』って聞いたら、なんて言ったと思います?」


「えー……わかんない」


「えっと――




 『おまえが見てきたのが世界の全てじゃない、この世にはまだ見ぬ楽しいことがあるはずだ。絶望して死ぬなら、それを見てからだ』




 ――って。そうして私の腕を強引に引いて、海へ、山へ、あっちこっちと連れまわしたんですよ。叔父のへそくりを使って。あ、当時兄は小学6年生です」


「しょ、小学生の発言と行動力じゃないよね!」


「まったくですね。いつも兄さんの行動には驚かされます。しかも大変でしたよ……小学生二人だけで泊まれる宿泊所なんてそうありませんから、最初の三日間は誰にも見つからないように注意して野宿しました。受け付けが無人で、お金さえ入れれば泊まれる場所があるのを知ってからはベットで寝ることができましたけど」


「え、それってラブ――」


「…………」


「――アレレー? 私ってばなに言おうとしたのかな~~? ははははー! ……////// 」


「まぁとにかく、結局その旅で生きる目的となるほどの楽しいもの、面白いものを見つける事は出来ませんでした。しかし、それでも奮闘する兄さんの姿を見て、愛情を感じて、『私の為にここまで行動してくれる人がいるんだ……なら、私は不幸じゃない。この人の為にも生きたい』って思うことが出来たんです」


「そっかー……ステキな人だね、兄さん」


「ええ、世界一大好きな人。だからこの恩を一生使ってでも返したいって、そう思ってるの」


「うぁぁー♪ いいね! それ私も協力するよ!」


「ありがとう、私も是非ユキちゃんに協力したい。と言っても、なかなかそうはさせてくれないんですよね、永遠に私を保護するつもりらしくて。……ああそうだ、例えば中学の頃に初めて異性に告白されたんですが。そしたら兄さん……いつの間にか相手に決闘を仕掛けに行ってたらしくて」


「ぶふっ!」


「兄は高校生で、相手は中学生ですよ?」


「うっわー……大人気ない。……ああでも私も『イジメられたら言いな、高校の後輩連れて100倍返しにしてやるからね』って言われてる……めちゃくちゃマジな目で」


「頼りになりすぎる人がいるのも、考えものですね」


「まったくもってその通り、私たちはそんなに弱弱しくないよ!」


「……ふふっ」


「……えへへ」


「いつか一緒に二人を見返しましょう、私たちはもう平気なんです、って」


「うん! そうだね!」



 ――セイヤー!


 ――っとわぁ! 何処にとばしてんのよばか!



「あらら、また練習ですか……ジーンさんも懲りないですね」


「姉さんも意外とノリノリだなぁ、楽しそうだからいいけど」


「とりあえず、私は手伝いに行きます。兄さんの恩を返す前に、ジーンさんのご恩も返しておかないと」


「私も行くよ。――みんなとこうして過ごせるのって、本当に楽しい」


「ええ、出会えてよかった」


「うんっ」




 二人は仲良く手を繋ぎながら、特訓へと向かった。




会話長ぇ……スマートにできずごめんよぉ…! orz

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