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とろけるCheese  作者: KoKoRo
96/156

Cheese96〜現実逃避〜

野高先輩の言葉を聞いてしまったあの日から、私の頭にこびりつくようにあの言葉が離れなかった。



なんて顔をして野高先輩に会えばいいのだろう?




華「いっそもう、辞めちゃおうかな…。Cheese同好会……」



葵「チーズ食うの辞めんの?」



華「うん……ってそうじゃなくて!なんで人が瞑想してる時に、勝手に部屋に入ってくるの!?」



葵「姉ちゃん、部屋にこもって瞑想なんかしてんの!?キショ〜〜……」



華「キショイのはあんただぁっ!」



…………ボコッ


(葵に枕激突)



葵「よ…避けられない……」



華(Cheese同好会を辞めたら……薄井先輩、どんな顔するだろう…)



………(瞑想中)



薄井『なにぃ!?Cheese同好会を辞めるだとう!?そんな勝手が許せるわけないだろうが!!絶っ対、認めんぞーー!!』




……(瞑想終了)



華(……とか、言われるんだろうな…。Cheese同好会なんて無茶苦茶な同好会に無理矢理入った頃が懐かしいや…)



薄井『今日から花子をCheese同好会に任命する!!』



華(本当に…初めて会った時から、薄井先輩って無茶苦茶だったな…。)



薄井『今日は君のためにイチゴのレアチーズケーキを作って待ってたんだぞ?』



華(おいしかったなぁ…。先輩が作った、レアチーズケーキ…)



薄井『特製ブルーチーズを今すぐ食いたまえっ!?』



華(あれはブルーチーズじゃなくて、ただ腐ってただけだったなぁ…)



薄井『そういえばチーズたっぷり☆のサンドイッチを作ってきたんだ♪食べるかい?』



華(先輩が作ったチーズサンドは、本当にとろけるほど美味しくて……)



…………ぼろぼろ


(華の瞳から涙が零れる)



華(……辞めたくないよ………)



葵「姉ちゃん?」



華「!ま…まだいたの!?葵…」



葵「姉ちゃんって、瞑想しながら泣くんだ〜?」



華「……」ニッコリ



葵「へ?」



華「出てけぇぇぇ!!」



(葵に向かって鞄を投げつける)



葵「しししっ失礼しましたっ!!」




…………バンッ


(葵が部屋を出て行くと同時に、鞄は扉に激突)



華「………言おう」



華(野高先輩にちゃんと返事をしよう……。このままじゃ絶対、駄目…!!)




―――その後、野高先輩の携帯の番号もアドレスも知らない私は、とりあえずカフェに向かった。




……カランカランッ


(カフェの扉を開ける華)



山田「いらっしゃいませー…ってあれ?立川さんじゃん」



華「こんにちは」



山田「ちわ…。どーしたの?怖い顔して…」



華「野高先輩、今日バイトに来ますか?」



山田「野高?野高ならもう来てるよ。今、着替えてる」



華「そっ…そうなんですか!?」



山田「今度はびっくりしてどーしたの?なんか変くない?立川さん」



華(まさかこんなすぐに会うとは思わなかった…。どうしよう、なんて言えば…)



………バタンッ


(奥の扉から野高が出てくる)



華「!!」



野高「!?立川さん……?久しぶり……」



華(言葉が……出てこない……)



野高「ゆっくりしていってね…」



華「………」



野高(普通にしてよう…。立川さんはあの時、起きてなかったんだ。だから大丈夫……)



華「野高先輩…」



野高「……なに?」



華「話しがあります。少しだけ外でお話できませんか?」



野高「でも俺、バイト中だから…」



山田「別にいーよ。ほら、行ってきなさい。野高くん」



野高「………」




………カランッ


(外に出る二人)



野高「話しってなにかな…」



華「久しぶりなんかじゃないですよね。昨日会ってますから…」



野高「―――え?」



華「わたしを保健室まで連れて行ってくれたのは野高先輩なんですよね…?」



野高「知らない」



華「……!」ムッ



………ガシッ


(野高の両腕を掴む華)



華「だったらどうしてっ……さっきからずっと、わたしの目を見てくれないんですか!?」



野高「!!」



華「わたし、あの時……起きてたんです」



野高「……」



華「野高先輩の気持ちを知っちゃったんです…。でも、わたしは…」



野高「………」



華「好きな人がいるんです。だから先輩の気持ちには答えられま……」



……ひゅるるる〜




……バタッ


(野高、転倒)



華「わーーーーーーーーー!?」




……カランッ


(慌てふためきながらカフェの扉を開ける華)



………ゴンッ


(扉の側でしゃがみ込んでいた山田にドアが激突する)



山田「………いて」



華「や…山さん…、聞いてたんですかっ……!?」



山田「ごめん、つい気になっちゃって」



華「それより野高先輩が倒れて……助けて下さい!!」



山田「あ〜あ…何やってんだよ…。野高の奴」


(山田は倒れた野高を店の中に担ぎ込んだ)



華「………」



山田「立川さん」



華「はいっ…」



山田「野高のこと、嫌わないであげてよ。コイツ体弱いけど、芯は強い奴だからさ」



華「嫌うだなんてそんな……。先輩のことは好きです」



山田「そっか…。じゃあ今日は帰りな。ね?」



華「でも…」



山田「後は俺に任せなさい。…ごめんね」



……バタンッ


(華を外に残し、山田はカフェの扉を閉めた)



山田「………本当は起きてんだろ?野高」



野高「………」




君から逃げた俺は、強くなんかない。



ただの弱虫。






〜現実逃避〜 完。



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