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とろけるCheese  作者: KoKoRo
88/156

Cheese88〜暖かな微笑み〜

補習二日目の朝は、いつも通りにやってきた。


でも、薄井先輩だけはいつもと違っていた。



薄井「高橋先生、この漢字は何て読むんですか?」



高橋先生「ああ、これは…って高橋先生!?今、僕をそう呼んだか!?」



薄井「そんなに違和感ありますか?ではT.Tとお呼びしよう」



高橋先生「その方がお前らしいっていうか…大丈夫か?」



薄井「何が?」



高橋先生「何がって…」




………パコンッ


(薄井の頭に消しゴムが当たる)



薄井「〜〜っ…!誰だ!?」



華「わたしですよ!!」



薄井「花子?」



華「今日の先輩は先輩じゃありません!!さてはそっくりさんですね!?」



薄井「はぁ?」




………ガタッ


(席を立ち、薄井の元に近づく華)




華「さては双子!?ズルイですよ!隠れ兄弟がいるなんて!!」




………ムギュゥッ


(薄井のほっぺをつねる華)



薄井「痛い痛い痛い!離したまえ!?」





………バコンッ


(薄井の頭に鞄を激突させる山田)




山田「立川さんの言う通りなんだよ。このニ・セ・モ・ノ!」



薄井「フギーーーッッ!!誰がニセモノじゃーー!?」



山田「お?いつもの調子が戻ってきたか?」



華「はいっ!いつもの先輩です!!」



薄井「え?」



圭「テンション↑の方が薄井さんらしいってことっすよ」



田奈「そうですよ!先輩は変人でいてくださらないと!!」



薄井「……」




……ガシッ


(突然、華の頭の後ろを抑える薄井)



華(えっ???顔が近いっ!!??)




………ゴンッッ


(頭突き炸裂)



華「ふぎゃっ!?」




薄井「………」



………ガシッ


(無言で山田を取り抑える薄井)




山田「え…?何?俺もかよっ!?」




………ドゴッ


(頭突き炸裂)



山田「ぐぇっ…」




薄井「…うん。元気になった。皆に感謝だな…」



華「薄井先輩…」





それから薄井先輩は、何事もなかったかのように笑っていた。



やっぱり先輩はいつもの先輩でいてほしいと心からそう思った。





―――そして補習後の放課後となり…



山田「……」カキカキ



薄井「何してんだ?山田」



山田「前期風紀委員会活動報告書。俺、委員長だから書かないといけなくてさ〜」



薄井「僕も美化委員長だったな…。たいした活動はしてないから別に書かなくてもよいだろう♪」



高橋先輩「コラ!薄井!!生徒会に提出する書類なんだから真面目に記入しろ!ほら、これが活動報告書だ」



(薄井に報告書を差し出す高橋)



薄井「…生徒会?」



高橋先生「それ書いたら生徒会長の浅井に渡すんだぞ?今日、登校してるはずだから…。わかったな?」



薄井「ああ…!もちろんだとも!!」




……ガタッ


(急いで席に着き、書類を書き出す薄井)



山田(浅井かー…。会いたくねぇな〜…)




山田「田奈!」



田奈「はい?なんでしょう?」



山田「悪いんだけどこれ、生徒会長さんに渡しといて?」



田奈「自分で行けばよいのでは…?」



山田「……」ギラッ


(悪質オーラ全開)



田奈「い…行きます。行かせて下さい…」



山田「んじゃ、よろしく」



田奈(やっぱりこの人、嫌いだ…)




華「……」


(帰り支度をする華)



圭「あれー?たっちゃん、もう帰んの?」



華「うん?だって今日は一人だし…」



圭「教室で淳ちゃん待ってるよ?言わなかったっけ〜?」



華「えっ!?そんなこと聞いてないっ…」



圭「……」ニヤニヤ



華「〜〜っ!!いじわるっ!」



圭「へっへ〜♪」





……ガタガタッッ


(華と薄井が同時に席を立つ)



薄井「なんだ?花子。もう帰るのか?」



華「はいっ!!先輩も帰るんですか?」



薄井「いや、僕は生徒会室に用があってね…」



華(……?)




一瞬、



薄井先輩は幸せそうに微笑んでいた……



高橋先生「立川!次の補習は一週間後だからな!忘れるなよ?」



華「はい!それじゃあ、失礼します」





わたしは駆け足で教室に向かった。








――――教室にて




淳「……」



(ギターを弾く淳)





淳「……あくる日 僕は鳥になって 自由に空を飛び回って 夢なら覚めないでほしい 空を翔ける天使みたいだ……」




……ガラガラッ


(教室の扉から華が入る)



淳「お疲れ様。華ちゃん」



華「今、何か歌ってた…?」



淳「いや、ギター弾いてただけ」



華「そっか…。淳くん、ごめんね。今日も学校に来てもらっちゃって…」



淳「いいよいいよ、大丈夫。その代わり、今日は真っ直ぐ帰らないで、俺に付き合ってもらえる?」



華「うん!」



淳「よし!じゃあ、行こっか」



華「ギター見に行くの?」



淳「!なんでわかったの?」



華「わかるよ!だって淳くんだもん」



淳「……そっか」




……ガラガラ


(教室を出る二人)



華(手を…繋ぎたいなぁ。でも言えな……)




(淳から華の手を握る)



華「……!」




ふと見た淳くんの横顔は、耳まで真っ赤になっていて、わたしもつられて赤くなってしまった。




華「いいギター、見つかるといいね」



淳「うん」





大好きな人の横顔を見ながら、わたしは幸せを感じていた。







〜暖かな微笑み〜 完。



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