Cheese86〜君を愛してた〜
補習一日目を終えた放課後、わたしは図書室で淳くんを待った。
華(早く会いたいなぁ……)
圭「さーてと!お邪魔しちゃ悪いから帰ろっかな〜?」
田奈「誰と誰の邪魔ですか?」
圭「薄井さんと山田さんの☆」
華「へ?」
田奈「えぇえーーーー!!??」
薄井「堤之原っパラッパー!妙な言い方をするんじゃないっ!?」
圭「なにそのあだ名!?すげぇ感動した!!」
山田「感動ポイントが違うだろ?つーか、金髪くんだけはお断り。」
薄井「僕はホモじゃないっ!ホモサピエンスだーーー!!(?)」
圭「はいはい!じゃあ、皆さん。帰りましょ〜!」
(華以外の人を図書室から追い出す圭)
圭「じゃあね。たっちゃん!」
華(もしかして…気を使ってくれた?)
華「ありがとう!堤之原くん!!」
圭「圭でいーってば!それじゃあ、また明日〜♪」
華「うん!また…明……日?」
華(そうだ!?明日も補習なんだーー!?)
それからしばらく図書室にいると、遠くの方で誰かが走ってくる足音が聞こえた。
……ガラガラガラッ
淳「ごめん!!遅くなって!!」
華「……!」
淳「待たせてごめんね。……華ちゃん?」
華「……あ。ごめんっ!本当に来てくれたんだなぁって思って…」
淳「華ちゃんの為なら何処へだって飛んでいくよ?」
華「淳くん…。ありがとう」
淳「帰ろっか」
華「うんっ!」
図書室から出て、淳くんと二人、誰もいない校舎の中を歩いた。本当は手を繋ぎたかったけれど、そんな勇気はまだなくて………
今は話しているだけで十分、幸せだった。
――その頃、薄井は…
薄井「あ〜、もしもし?メダカー!!応答せよ〜」
(野高に電話する薄井)
野高『なんだよ…?薄井……。俺に何か用?』
薄井「今から学校に来なさい!僕を一人で帰らせるつもりか!?」
野高『知らないよ!?なんで俺が薄井を迎えに行かなきゃならないんだよ!?』
薄井「ホモサピエンス同士、仲良くしようではないか!」
野高『………は?』
―――その頃、華と淳は自転車に二人で乗り、帰り道を駆け抜けていた。
淳「華ちゃーーん!坂道だからスピード出るけどいいー―?」
華「う、うん!」
……………ガシッ
(淳の服の端を掴む華)
淳「じゃあ、行くよーー!」
(坂道を駆け降りる自転車)
華「ひゃっ!!」
………ギュ
(思わず淳に抱きつく華)
淳「!」
華「ごめんなさいっっ!!」
淳「……しっかりつかまってていいよ」
華「………」
…………ギュッ
(淳につかまる華)
華
―――こんなに幸せでいいのかな?
好きな人と一緒に帰って、同じ自転車に乗って、あったかい背中に触れて……
ずっと……
夢みてたことが、今叶ってる。
生きていてよかった。
淳くんに会えて…よかった。
―――その頃、野高は学校に到着していた。
薄井「おぉ〜!ホモサピエンス!こっちだ!こっち〜!」
野高「よりによって何で夏休みに呼び出すんだよ!?しかも学校!!」
薄井「報告がある。」
野高「何?」
薄井「花子がジュンジュンと付き合いだした。」
野高「………え?」
薄井「それだけだ」
野高「ちょっと待てよ!?それだけ言うために俺を呼んだのか!?」
薄井「そうだよ?」
野高「そんなのってあるかよっ……!?」
薄井「知らないままの方がもっと辛いだろ?」
野高「!!」
薄井「トロトロしてるからこんなことになるんだよ」
野高「……知ってたのか?」
薄井「優をみてればわかるよ。隠したってすぐわかる。」
野高「……立川さんが池本くんを好きなら、俺は何もできない。」
薄井「奪えばいいじゃないか?僕から春を奪ったみたく――…」
野高「――っ!!」
…………ガッッ
(薄井を殴る野高)
野高「春さんは………俺と会う以前にお前のことが好きだったじゃないか!?」
薄井「………」
野高「ずっと黙ってたけど……お前と春さんがキスしてたのをみたんだよっ……!」
薄井「!?」
野高「なんで……なんでお前はいつも自分のこと隠すんだよ?お前だって春さんのこと、好きだったんだろ!?」
薄井「……ああ。好きだったよ。血のつながりなんて信じたくないぐらい愛してたよ!!それを優が……お前が奪ったんだろ…?」
野高「今頃になって言うな……。なんでもっと早く言わないんだよ……」
薄井「僕じゃないから…。春は優を選んだんだ。」
野高「………」
薄井の口元から血が流れていた。
――――殴ったことを後悔している自分の半端な優しさに腹が立った……
〜君を愛してた〜
完。