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とろけるCheese  作者: KoKoRo
82/156

Cheese82〜君を追い掛ける午後〜

夏休み直前の終業式。校長先生の長いお話も終わり、成績表も貰った。


ちなみにわたしの成績は……




ガ〜!ガ〜!ガ〜!




アヒルが仲良く並んでいた…。




華(これはマズイ。絶対お母さんに怒られる…)



龍「立川」



華「ひょえぇ!?成績だけは見ないで下さい!」



龍「見ねぇよ。つーか、海のことなんだけど…」



華「うんっ!」



龍「現地集合な」



がーーーん



龍「時間は1:30までに長浜海岸に集合。場所はわかるよな?」



華「…うん。でも、皆で行かないの?」



………ドタドタッ


(前方から玲が走ってやってくる)



玲「華、ごめん!!あたし、家に水着忘れちゃって、一回家に戻ってから行きたいの!!だから現地集合でもいい!?」



華「そっか。それじゃあ、仕方ないよね。…うん。現地に集合ね!」



玲「ありがと〜う!!すごい助かる!」



………ツカツカ



(前方から雅が突進)



やば…



華「雅ちゃんはもう聞いた?現地集合のこと」



龍「………」



雅「…さっき聞いた。本当にドジよね。伊藤さんって」



玲「佐藤さん…」



雅「華ちゃん。遅刻したら許さないよ?」



華「うん!わかった!」



これで……いいんだよな…








――――そして最後のHRを迎えた。




高橋先生「名残惜しいが、これでしばらく会えなくなると思うとっ…先生は悲しいよ!」



池本(最後…)



男子生徒「先生ー!早くHR終わらせて帰ろうよ〜?」



高橋先生「お前達は夏休みをぐ〜たら過ごすつもりだと思うが、先生の夏休みはほんの僅かしかないんだぞ!?もっと労る心を持ちなさい!!」



華(わたしも補習の夏休みだ…)



高橋先生「…皆の視線が痛いのでこれで終わりにする。気をつけて帰るんだぞ!」



クラス全員「さよーならー」




………ガタガタッ



挨拶を終えた後、クラス全体がそそくさと帰る支度を始めた。



池本「……」



圭「どしたの?淳ちゃん」



池本「…なんでもない。」



圭「なんでもなくないっしょ?隠したって俺、知ってんだからね」



池本「――え?」








その頃、華は教室を出ようとしていた。




華「じゃあ、また後でね!」



龍「おう」



雅「ええ、またね」



玲「さぁーってと!あたしも一足先に帰んなきゃ!じゃあね。華。頑張って!」



華「……?」



玲「…迷わないようにしなさいってことよ!」



華「だっ大丈夫だよ!まっかせといて!」



玲「うん。じゃあバイバイ!」



華「バイバイ」





――玲を見送った後、わたしも教室を後にした。池本くんの背中を見つめながら…。




華(バイバイ…。池本くん…)







華が教室を出た後…



圭「さーてと!俺も帰ろっかな〜」



池本「さっきお前、何を言いかけようとしたんだよ?」



圭「俺から言えることは何もないよ。ってゆうか俺、ベースの練習で忙しいから!じゃーね!淳ちゃん」




………ガラガラッ


(池本を置いて、教室を出て行く圭)



池本「……」




池本(俺も帰ろう…)



………ガタッ


(席を立つ池本)



龍「待てよ。池本」



池本「鈴木…、なに?」



龍「お前、何か忘れ物してねぇ?」



池本「……」



龍「今日、立川は長浜海岸に行く。俺が言いたいことはそんだけ。」



池本「!」



龍「感謝しろよ。パンダくん?」



池本「―――!」




…………ガタッッ



(池本はギターと鞄を持って、教室を飛び出した)




龍「……たりぃ」



圭「お疲れ〜」



龍「!お前、いたのかよ…」



圭「会えるといーね。あの二人」



龍「……ああ」








――――――――――



教室を出た俺は無我夢中で走っていた。




家に一度帰り、机の引き出しを開けた。




俺は“一枚の紙”を取り出し、ギターだけを持って家を出た。



もう一生、手にすることはないと思っていたのに………








家を出てからも俺はただ走り続けた。




彼女に会いたい。

ただそれだけ。







――その頃、華は…



華(確か長浜海岸までのバスが出てるはずだよね…。あ、あった!これだ…)




(バスに乗り込む華)



華(ちょっと早く行きすぎかな?一回帰ればよかったなぁ…)








――――――――――




時間は流れ、ようやく池本は長浜海岸に辿り着いた。




池本(2時……。立川さん、何処だよっ…!)







俺は海岸を見回した。だが、彼女の姿はなかった。





…………ガヤガヤ



(池本の横で海水浴客が賑わう)




池本「すいません。髪が短くて赤いボンボン付けた子、見ませんでしたか?」



客「さぁ?見掛けなかったけど…」



池本「そうですか…。ありがとうございます」





俺はやみくもに彼女の特徴を伝えて人に聞いた。




もうそれしかないと思ったからだ。






………………


さらに時は流れ、時刻は2時30分を過ぎた。





池本(もう…会えないのか……?)




……すると、池本の前に海水浴客の一人がやって来た。



客「確か君だったよね?赤いボンボンの子、探してる人って」



池本「……!」



そこにいたのは、俺が一番最初に尋ねた人だった。








〜君を追い掛ける午後〜 完。



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