Cheese81〜淡いヤキモチ〜
高橋先生から、夏休みの補習日程表を貰った。
補習を受ける生徒は全学年合わせて5人しかいないらしい…。
華(わたしって、相当なバカ…?)
高橋先生「うちのクラスから二人も補習者が出るとはな…。これは先生の責任だ!!許してくれっ…!」
(涙ぐむ高橋)
華「あの…、わたし以外にも補習を受ける人がいるんですか?」
高橋先生「ああ…。堤之原も補習組だ。言ってなかったか?」
華「えぇ!?聞いてませんっ!!」
高橋先生「まぁ、堤之原は転校してきたばかりだから仕方ないが…、次のテストは頑張るんだぞ!?立川!!」
華「はいっ!!」
―――その後、休み時間となった。
玲「ねぇ!海に行くのはいつにする?」
雅「華ちゃんの補習がない日にしないとねぇ」
龍「つーか、明日終業式だろ?明日行かね?終わったら直行。」
玲「龍にしてはなかなかいい案ね!夏休みに入ったら人多いだろうし、明日にしよっか!」
雅「さんせ〜!華ちゃんは大丈夫?」
華「うん!平気だよ!」
玲「じゃあ、決まりね♪」
華(そっか…。明日になったらもう、夏休みかぁ…)
―――池本くんに、しばらく会えなくなるんだ……。
池本「は?お前、補習だったの?」
圭「うん。ごめんね?黙ってて」
池本「…なんで黙ってたんだよ?」
圭「だぁーって、言ったら淳ちゃん怒るじゃん」
池本「なんで…?」
圭「べっつに〜?」
池本「………」
―――その日の放課後、わたしはCheese同好会に参加すべく、写真部室に向かおうとしていた。
華「じゃあ、皆バイバイ!」
玲&雅&龍「ばいびー」
玲「さぁーってと!私も部活に行こっかな」
龍「待て。お前らに話しがある」
雅「聞きたくなーい」
玲「同感。」
龍「海には立川だけ行かせる」
玲「はぁ!?何いってんのよ?あんた、馬鹿?」
雅「皆と行くって約束したじゃん。今さら何を…」
玲「……まさか、池本?」
雅「へ?」
龍「ビンゴ。俺だけ気付いてたわけじゃなかったな。さすが友達?」
玲「華ってわかりやすいのよ…。今日だってずっと池本のこと見てた」
雅「!」
龍「俺達の代わりに池本が海に行きゃあいい。つーか俺の勘だけど、池本も立川のこと…」
雅「なんか聞きたくないんですけど!?」
玲「佐藤さん?」
雅「華ちゃんと池本くんが何だって言うわけ?海に行くことと関係ないじゃん!」
玲「それは……」
龍「佐藤。お前、立川のこと好きだろ?」
雅「普通に好きだよ。……でも、どう好きかわからない」
龍「池本と立川がくっつくのが嫌だ…ってか?」
雅「池本くんが華ちゃんを好きかどうかなんてわかんねーだろ!?お前が振った時みたく、傷ついてほしくねぇんだよ!」
龍「!」
玲「………」
雅「泣き顔なんてもう見たくねぇんだよ……」
龍「あいつは…」
雅「………」
龍「池本は立川を泣かせるような奴じゃねぇ。俺が最低だっただけだ」
玲「龍……」
雅「ちょっと考えさせて」
そう言い残して、雅は教室を出た。
龍「……んだよ。あいつは…」
玲「シンプルでいいんじゃない?ただの嫉妬でしょ?」
龍「のん気な奴…」
玲「華が羨ましいわ〜。こーんないい友達をもって!」
龍「自分で言うなよ…。ばーか」
玲「あらー?そう思わない?」
龍「……ま。思うけどな」
龍は席から離れ、窓の方へ行き、グラウンドを見つめた。
玲「ねぇ、あんたもう…サッカーやらないの?」
龍「……やんねぇよ。たりぃしな」
玲「…そう…」
――――そして翌日。
高橋先生「え〜、最後なので長く話しをするつもりはないが、明日から知っての通り夏休みだ!長い休みだからと言って、遅くまで遊んだり、夜更かししたり、朝寝坊したり、怪我をしたり、溺れたり、事件に巻き込まれたり、深い男女交際をしたりしないように!」
龍(深い男女交際って何だよ…)
圭「先生〜!4番目にしちゃいけないことってなんでしたっけ?」
高橋先生「え?だからー…『溺れたりしないように』だ!」
圭「ブーッ!『怪我をしないように』でした〜♪」
高橋先生「わかってるなら聞くなーー!!」
池本(自分で言ったことくらい覚えろーー!?)
華「……」じっ
(池本を見つめる華)
華(今日で最後だからたくさん見ておかなくちゃ。でも……寂しくなるな…)
龍(…わかりやすい女)
池本「………」
(ふと振り返り、華の方を見る池本)
華「!!」
池本「!」
…………バチッ
(目が合う二人)
華(わわっ!!)
(池本から目を反らす華)
龍「どーした?立川。顔が真っ赤だぞ?」
華「へっ!?そんなことないよ!普通…だよ」
龍「あっそ」
華(池本くんに告白できたらいいのにな…。でも、きっと振られる…。もうあんな思いをするのは嫌だよ…)
わたしはこの時、まだ何も知らなかった。
みんなが考えていることも、これから起こる出来事も………
〜淡いヤキモチ〜 完。