Cheese80〜甘くない男〜
露出脅事件から数日後、期末テストは全て返却され、残すところ夏休みを待つだけとなった。
玲「赤点はギリギリセーフ!よかったぁ〜」
雅「私もなかったわん♪ま。当然ってやつ?」
(龍の答案を覗き見ようとする雅)
龍「あるわけねーだろ。赤点なんか」
雅「なーんだ。つまんないのっ」
華「………」
玲「華?どうしたの?」
華「な…夏休み…、補修かもしれないよーー!!」
玲「えぇ!?」
雅「どれどれ〜?数学と化学がそれぞれ30点以下…ね」
龍「馬鹿だとは思ってたが、ここまでバカだとどーしようもねぇな」
華「うぅぅ…」
高橋先生「立川!ちょっといいか?」
華「はひっ…」
………ガラガラ
(高橋先生と一緒に教室を出る華)
龍(アイツ、あんなに頭悪かったか…?)
池本「………」
圭「淳ちゃんよかったね!なんだかんだ言って赤点なくて!」
池本「こんな点数なら、あった方がよかったよ…」
圭「……。」
―――その頃、華は先生と二人、廊下で話し込んでいた。
高橋先生「立川、単刀直入に言う。今回の期末で成績がガタ落ちだ。」
華「……はい」
高橋先生「一体どうしたんだ?中間は平均以上取れてたじゃないか?」
華「あの時は…」
高橋先生「なんだ?」
華(鈴木くんに負けないようにって頑張ったからで…)
華「……まぐれです。」
高橋先生「立川。お前、進路はどうするんだ?高校一年の成績だって進路に関わるんだぞ?」
華「そんな…先の話しをしないで下さいっ!わたしはまだ……」
―――池本くんみたいに夢を持ってない……
高橋先生「す、すまない。急すぎたな…。」
華「せ…先生には相談したくありません。」
高橋先生
華「だって先生は生徒に無関心だし、授業中に携帯見てる人に気付いても注意とかしないし、頼りがいがっ……ないです。」
高橋先生「……」
華「だからわたしのことはもう、ほっといて下さい!!」
(立ち去ろうとする華)
高橋先生「そうはいくか!!」
………ガシッ
(華を捕まえる高橋先生)
華「!!」
高橋先生「確かに俺は生徒に甘いかもしれない…。だが、生徒を見捨てたりはしない!!」
華「……ました」
高橋先生「ほっとけるわけないだろう!?立川!!お前は俺の大事な生徒なんだぞ!?」
華「わかりましたからもう離して下さい!?人が見てます!!」
高橋先生「え?」
女子生徒「なんかあの二人、怪しくない?」
男子生徒「デキてんじゃねーの?」
高橋先生「こ、コラー!!何をコソコソ話してるんだ!?」
男子生徒「やっべ。聞かれてたよ。めんどくせぇから逃げよーぜ」
(男子生徒と女子生徒、逃走)
高橋先生「まったく。ところで立川…」
……しーーん。
高橋先生(逃げられた!?)
―――その頃、華は…
華(――――)
龍「何やってんだよ?立川」
華「………」
――教室に戻り、机の下に潜り込んでいた。
玲「どうしたの?華。高橋にいじめられたの?」
華「みつからないように…」
龍「もろバレだ。バカ」
華「う…」
…………ガラガラッ
(高橋先生が教室に入る)
高橋先生「……」
華(きっ来た!?)
………コツコツ
(華の席に近づく高橋)
華(〜〜っ!!)
玲「ちょっと高橋先生!華は何にもしてないでしょう!?」
高橋先生「鈴木!」
龍「は?」
華(…え?)
高橋先生「今すぐイヤホンを外して先生に渡しなさい。」
龍「やだね。今まで注意してこなかったじゃねーか。それを今さら外せだと?笑わせんな」
高橋先生「今までは見て見ぬフリをしてきたが、今日から先生は甘くない!!没収だ!」
龍「うっぜぇな!」
……ドカッッ
(机を蹴飛ばす龍)
華(ひぃぃー!?)
池本「……」
圭「――…」あっけらかん
龍「今頃になって没収とかほざいてんじゃねぇ。マジうざい」
高橋先生「……」
龍「文句あんなら直接言えよ」
高橋先生「だ、駄目じゃないか?机をこんなにしたら、可哀相だろ…?」
雅(……弱っ)
龍「はぁ?」
高橋先生「とにかく、イヤホンは先生に渡してくれないか?俺がしっかり注意しないと、お前達は成長しないってことがよくわかったから…」
龍「勝手に納得すんな」
………ヒュッ
(イヤホンを先生に向かって投げ渡す龍)
高橋先生「…おっと。」
………パシッ
(それをを片手でキャッチする高橋)
龍「言うじゃねーか」
高橋先生「え?」
龍「あんたもたまには先生らしいこと。」
高橋先生「!」
華「……」
初めて……
初めて先生が鈴木くんを注意した。
ぎこちなかったけれど、すぐにカッとなって怒る先生よりもずっと……頼りになる先生だと思った。
圭「あれ?なんか先生にイヤホン投げたよ?やけくそか??」
池本「いや、あいつはそんな男じゃあない!」
圭「じゃあ何で先生がイヤホン持ってんの?」
池本「……知らん」
遠くから眺めていた二人には、全く状況がつかめていなかった…。
〜甘くない男〜 完。