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とろけるCheese  作者: KoKoRo
79/156

Cheese79〜SOS!緊急信号〜

わたしと野高先輩以外、誰もいない保健室。

窓が少し開いていて、そこからセミの鳴き声が微かに聞こえた。




野高「……」



華「……」




野高「本当はテスト中も結構、体調が悪かったんだ。でも放課後になったら立川さんに会えるかもって思って、我慢してた」



華「う、嘘つかないでください…。わたしをおだてようとしたって無駄ですよ!?何もでませんからっ!」



野高「おだててない。本当にそう思ったんだ」



華「………」



野高「学年が違うだけでこんなにも会えないんだね。…もっと立川さんと話したい」



華「野高先輩?」



野高「……」




――――違う。




抱きしめたいんだ…




彼女を……





もしも抱きしめたら…………君は嫌がるのかな?






―――――ギュッ


(野高は華を強く抱きしめた)



華「せっ…先輩!?」



野高「……」



華(…くる…しいっ…。それになんだか硬い…)



華「……硬い?」



野高「……」くてっ


(急に力が抜けたように華に寄り掛かる野高)



華(!)


――――ムギュッ


(思わず野高に抱きつく華)


華(先輩の体って石みたい…。細そうに見えて実はマッチョ!?)



…………ドタドタ


(保健室に薄井と田中先生が入る)



薄井「メダカー!!無事かーー!?」



華「薄井先輩!大変なんです!実は野高先輩はムキムキのマッチョだったんです!?」



薄井「……は?」



田中先生「野高くんは風邪よ。さっき保健室に来た時、具合が悪そうだったからすぐにわかったわ。帰れっていったのに。まったく…」



薄井「いうこと聞かなかった罰だな!しょーのない奴だ」



華「マッチョ…」



薄井「マッチョはほっといて、花子は先に帰りたまえ!」



華「へ?」



薄井「メダカの風邪がうつったりでもしたら大変じゃないか。今日は同好会中止!また明日会おう♪」



華「は、はい…。ではさようなら…」



薄井「そうだ。花子!僕の鞄からチーズのサンドイッチを一つ持って帰りたまえ!せっかく作ったのに食べる人がいないと困る」



華「……はい。ありがとうございます」



田中先生「気をつけて帰るのよ?立川さん。最近、学校付近で露出脅が出てるっていう噂だから」



華「はい。会わないように気をつけます!」




その後、保健室を出たわたしは写真部室に戻って、薄井先輩の鞄の中を覗いた。

すると、綺麗に包装されたサンドイッチが三つ並んでいた。




華(きっと野高先輩とわたしの分…かなぁ?……いただきます。薄井先輩)





サンドイッチを一つ持って、わたしは学校を出た。




………ぐぅう〜〜


(華のお腹が鳴る)



華(お腹空いた〜…。どこかに座って食べちゃおうかな…)




わたしは学校近くにある公園のベンチへと向かった。


公園に着くと、ベンチには誰も座っていなかった。




華(やった!あそこで食べてから帰ろう♪)






早速ベンチに座り、薄井先輩からもらったサンドイッチを広げた。



華「う〜ん!おいしそう♪いっただっきまー…」



??「おいしそうだねぇ?」



華「ひっ!?誰ですかっ!?」



??「やだなぁ。通りすがりのおじさんだよ♪」



華「まさかっ、露出脅…?」



??「うわぁお!何でわかったのぉ?大せいか〜い♪」



(華に近寄る露出男)



華「嫌です嫌です来ないでください!!」



露出男「じゃあ、そのサンドイッチ僕にちょーだい?」



華「絶対に嫌っっ!!誰か助けてっ――…」




池本「いち、にの…」



圭「さん、はいっ!」





――――ドゴォッ


(二人同時に持っていた鞄を露出男の顔面にぶつける)



華「―――え…?」



池本「早く逃げよう!立川さん!!」




華「……うん!」



圭「俺、ちょーイカしてない?カッコよすぎだよ!自分!!」



池本「いーからお前も早く逃げなさい」



露出男「ま、またお前か!?今度は許さないぞぉっ!!」



圭「あ!お巡りさんだ!」



露出男「その手にはのらん!」



圭「こっちでーす!!ココ!ココ!」



露出男「うるさいうるさいうるさーーいっ!おとなしく観念しろー!」



警察「観念するのはお前だ。馬鹿たれ!!署まで同行してもらうぞ。わかったな!?」




圭「ほーら、言わんこっちゃない」



池本「捕まったのか?」



圭「うん。さっき淳ちゃんがドバーッて走ってっちゃった後に俺が警察に電話した。さすが俺!みたいな」



華「池本くん、走って来てくれたの…?」



池本「!!」



圭「そーだよん♪たっちゃんが学校一人で出たのが教室から見えたから、心配になって跡つけてたんだよねー?淳ちゃん」



池本「ささっ最近ここら辺、物騒だって聞いたから!!」



華「…ありがとう。二人が来てくれなかったらわたし……」



池本「立川さん…」



華「わたしのチーズサンドイッチが取られるところだったよ!本当にありがとう!!」



池本「へ?」



圭「は?」



………ぱくっ


(サンドイッチを一口食べる華)



華「おいひぃ〜♪」



圭「たっちゃんってさ……天然?」



池本「天然とかもうそんなことはどーでもいいよ…」



圭「え?」



池本「無事でいてくれただけでいい」



圭「そっか…」




―――俺はなんとなく淳ちゃんの想いに気付いているのかもしれない…。






〜SOS!緊急信号〜 完。



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