Cheese75〜ほのかなりんご病〜
変な転校生が現れたと思いきや、その数日後、期末テストが前日にまで迫っていた。
華(ついに明日は期末テスト!!これを乗り切ればなが〜〜い夏休みへ……!!)
薄井「花子!」
華「はいっ!……ってなんでいつも教室に来るんですか!?」
薄井「なんでだとう!?花子!Cheese同好会を何日サボるつもりなんだ!!」
華「えぇ!?期末テストは明日なんですよ?帰って勉強をしないと赤点取っちゃいます!」
薄井「ほう?なかなかいい言い訳だね?」
華「言い訳じゃないです!事実です!!先輩も期末テストの勉強で忙しいのでは?」
薄井「うぅっ…!そこまでして同好会に参加しようとしない花子なんか仲間外れだぁーーっ!!!」
…………ドタドタッ
(走って教室を出る薄井)
華(……仲間外れ?)
―――その後、教室を出た薄井は……
薄井(図書室にでも寄るか…)
図書室に向かっていた。
………ガラガラッ
(図書室の扉を開ける薄井)
すると、図書室にはテスト勉強をする生徒がわんさか集まっていた。
薄井(皆どうしてそこまで頑張るんだ!?…ん?あれは…)
(薄井は図書室の奥にある机で眠る浅井を発見した)
薄井(…浅井くん?)
………スタスタ
(浅井に近づく薄井)
浅井「…すぅー……」
薄井「………。」
………カタッ…
(浅井の向側にゆっくりと座る薄井)
浅井「………」
薄井「………」
時間はゆっくりと流れていった……。
浅井「……はっ!?」
………ガバッ
(勢いよく顔を上げる浅井)
薄井「ようやくお目覚めかい?」
浅井「なんであんたがここに…?え?今何時??」
薄井「4時30分だよ。30分はここで寝てるね」
浅井「うわっ!もったいな!!勉強しなきゃ…」
薄井「………。」
浅井「……あんた何読んでんの?」
薄井「ふふん♪見てわからないかい?効果的なダイエット方法という本だよ♪」
浅井「そんな変な本なんか読んでないで、教科書でも読んだら?明日テストなんだし」
薄井「もっと痩せたいなぁと思ってね」
浅井「……十分痩せてるわ。あんたが小学生の頃は、もっと丸まると太ってた!」
薄井「あの頃は……幸せだったからじゃないかな?」
―――姉さんがまだ僕の傍で笑ってた……。
浅井「じゃあ、今は?幸せじゃないの?」
薄井「………」
今も
結構、幸せだったりするんだ……
薄井「さぁ?どうだろうね」
浅井「なによそれ…」
…………しばらく浅井は、勉強を黙々とやっていた。
薄井「りんごダイエットか…。古いな…」
浅井「……帰らないの?薄井 翔」
薄井「邪魔をしないでくれたまえ!浅井くん!」
浅井「邪魔してんのはあんたでしょう!?」
薄井「ここにいちゃ駄目なのか……?」
浅井「………」
―――時々、コイツがわからない。
すごくムカツク奴なのに、なぜかふと悲しい顔をする……。
捨てられた……子犬のように………
浅井(今の例えは間違ってるわね…。却下!却下!)
薄井「1日1食ダイエットだって。これなら痩せそうだね」
…………ガバッ
(薄井からダイエットの本を取り上げる浅井)
薄井「なにを……!」
浅井「あんたみたいな痩せっぽっちがこれ以上痩せたら病気になるんだからね!?わかってんの!?」
薄井「……はい。わかりました……」
浅井「よし!」
薄井「僕のこと心配してくれたんだね?いやぁ!嬉しいなぁ〜♪」
浅井「だったら悪い?」
薄井「!」
浅井「あんたは元気なのが1番よ。憎たらしいけどね」
薄井「あ……あはは〜?だよねぇ?あはははは♪」
浅井「……?」
薄井「………」
――なんなんだ?
この感情。
嬉しいと感じるのはなぜなんだ……?
―――その後、浅井から離れ、薄井は写真部室へ特急電車の如く向かった。
………ガラッッ
野高「おかえりー。遅かったね?」
薄井「………」
野高「薄井?どうかした?顔が……変だよ?異様に赤いっていうか……りんごみたい。」
薄井「大変だ」
野高「へ?」
薄井「りんご病にかかった……」
野高「はぁ…?」
―――さっき幸せだと感じたのは
君のおかげなんだ……
〜ほのかなりんご病〜 完。