Cheese74〜デンジャラス転校生〜
暑い太陽が照り付ける夏の朝。熱を帯びる教室にとどめをさすかのごとく、熱い男がやって来ることを今はまだ誰も知らない……。
………ガラガラッ
(高橋先生が教室に入る)
高橋先生「よぉ〜し!暑いけどHRを始めるぞぉ〜!……と、その前に、なんと大ニュースだ!」
クラス男子「何が大ニュースだよ?さっさと始めろ〜!」
高橋先生「だから転校生!!このクラスに転校生が来たの!!」
…………バンバンッ
(出席簿を教卓に叩きつけながら熱弁する高橋)
龍「なんだあいつ?暑さで壊れたんじゃね?」
華「確かに…。行動がいつもより変……」
高橋先生「じゃあ、転校生!教室に入りなさい!」
…………ガラガラッ
堤之原「失礼しまぁーーっす!」
クラス女子「え?何かでっかい物持ってんですけど??それ何?」
堤之原「ああこれ?これはベース!俺は世界一のベースマスターになるから常に持ってんの!」
池本(ベース……!?)
クラス男子「じゃあ、なんか一曲弾いてみろよ〜!」
高橋先生「おぉ!ナイスアイデンティティ!(?)自己紹介も兼ねて弾いてもらってもいいかなー?」
堤之原「いいともー!」
(ベースを取り出し、肩にひもをかけて準備する堤之原)
池本(もしもこいつが本気でベースやりたいって思ってんなら、俺と一緒に……)
ブ
ォ
ォ
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↓
ン
:
:
華「へ?」
龍「は?」
玲「げ…」
高橋先生「え?」
池本(超下手くそーーーーー!!??)
堤之原「あれ?はっはっは!まだ始めて三日だからこんなもんだよね〜!?」
龍「三日かよ…。三日程度で人様の前で弾くんじゃねぇ」
華(偉そうなこと言ってるけど……鈴木くんのギターと対して変わらないよーー!!)
池本(こいつとバンド組もうなんて考えた俺が馬鹿だった……!)
こうして、夏休みを前に新しい転校生がクラスにやって来たのでありました……。
――そして休み時間となった。
クラス男子「お前、どっから来たんだよ?」
堤之原「え〜?北海道!なんかここ、めちゃんこ暑いね!こんなに暑いと焦げちゃうよね!」
クラス女子「ってゆうか、あんた面白すぎ!ベースとか下手すぎ!」
堤之原「まぁこれから上手くなるから心配すんなっ!」
クラス女子「心配なんかしてないし!」
堤之原「ところで、この学校ってバンド部ないの?」
池本「(=_=;)」
クラス女子「は〜?バンド部?聞いたことないんですけど?」
クラス男子「ギター同好会の奴ならいるぜ〜?」
池本「(゜o゜;;」
堤之原「え?誰誰?」
クラス男子「あそこのメガネ。」
池本(バラすな!!バカヤローーーー!?)
…………ガタッ
(堤之原は席を立ち、池本の席へと向かった)
堤之原「メガネって……君?」
池本「どうも。メガネです。よろしく」
堤之原「ごめんごめん!名前わかんなくてさ!名前……教えて?」
池本「池本 淳だけど…」
堤之原「あー…!じゃあ、池ちゃんだ♪」
池本「……で?何か俺に用ですか?堤之……原……だっけ?」
堤之原「めんどくさいから圭でいーよ。池ちゃん」
池本(なんなんだ!?コイツはーーー!?)
圭「ねー!池ちゃん!ギター同好会に俺も混ぜて?」
池本「絶対にやだ。」
圭「………あれ?」
―――そして放課後となった……。
華(さて!今日も帰って勉強!勉強!)
圭「池ちゃーん…!俺も同好会に参加させてくれよ〜…」
池本「やなもんはやだ。」
圭「なんでだよ〜…?」
池本「………うざいから?」
圭「がびーーん」
華(あの転校生の人、よっぽどベースがやりたいのかなぁ…)
圭「クラスの田所くんに聞いたけど、池ちゃんって一人で同好会やってんでしょ?」
池本「………」
圭「人数多い方がさ、楽しくない?」
池本「何なんだよ……お前……」
圭「へ?」
池本「全然バンドやりたいって気持ちが伝わらねーよ」
圭「!」
池本「真剣じゃない奴とはやりたくない。」
華(池本くん……)
…………ガラガラッ
(ギターを持って教室を出て行く池本)
圭「………はぁーー、なんかマジでへこんだ……。超ぺったんこかんかん……」
華(なんかこの人、表現の仕方が薄井先輩と似てるような…?)
圭「……」ぐすんっ
華(なななっ!?泣いている…??)
華「あの〜…」
圭「?」
華「が…頑張って下さい!」
圭「……優しいね。俺、優しい子好きだよ。彼女になって下さいましまし(?)」
華「やです。」
圭「……嘘嘘。冗談!でもありがとね。」
華「………」
なんだかよくわからない転校生さんだけど、頑張ってほしいとなぜか強く思った。
〜デンジャラス転校生〜 完。