Cheese73〜チクり男アラワル〜
梅雨が開けて、暑い夏がやってきた。
………ミーーーンミンミンミン………
龍「だぁっ!!うっぜぇ!?セミの野郎!!」
雅「セミに怒ったところでこの暑さが和らぐとは思えないけど?」
華「あ〜…!雅ちゃん、髪しばってきたんだね〜!」
雅「そうよ〜?かわいい?」
華「う〜ん。かわいいよ〜…」
雅「なんか反応が鈍い気がするんですけど?」
華「あはは……、きっと暑いからだよ〜…?」
………ドタドタドタドタッ
(前方から誰かが走ってやってくる)
池本「鈴木ーーー!!今日、放課後、ギター、よろしく!!(?)」
龍「はぁ?」
池本「期末テスト終わったらあっという間に夏休みに入るじゃん!?そしたら二人で練習する機会が少なくなるだろ?」
龍「あ〜…、そーだな。じゃあ、やるか」
華「きききっ期末テスト!?忘れてたーーー!!??」
龍「…うっせぇよ。立川」
華「すみません…」
―――そして放課後。
華(帰ったら期末テストの勉強をやって……あぁ〜、やだなぁ…)
――――♪
龍「………」
華「……鈴木くんは勉強とかしなくて平気?」
龍「平気じゃねぇ。でも、あいつ困ってるしな」
華「…池本くん?」
龍「ああ。あいつも勉強やんなきゃなんねーのに、ギターばっかやってんだぜ?マジ信じらんねぇ」
華「それはきっと……夢だからだと思うよ?」
龍「夢?」
華「いつかバンドを組んでデビューすることが夢だって言ってたから…。だから頑張ってるんだと思うよ」
龍「………」
華「じゃあ、私は帰るね。練習頑張って!」
龍「…おう」
―――その後、池本がギターを持って、龍の席にやって来た。
池本「そんじゃ、やろっか!」
龍「なぁ、お前の夢って何?」
池本「夢?俺の…?」
龍「ああ」
池本「………歌って食ってけること」
龍「……」
池本「すっげー果てしない夢かもしんないけどさ、自分が作った詩を歌にして届けたい。たくさんの人に聴いてもらいたい。それが今の俺の夢」
龍「………」
池本「うわ〜…、俺、何言っちゃってんだろ……」
…………ガタ
(龍は手に持っていたギターを池本の前に出した)
龍「これ返す。」
池本「なんで……」
龍「俺はただの暇つぶしでやってただけだし。好き好んでやってたわけじゃねぇ」
池本「今、辞めることないだろ!?文化祭まで時間ないのにっ……」
龍「お前は遊びでギターやってんじゃねぇだろうが?本気でやってんだろ?」
池本「………」
龍「マジでバンドやりてぇと思ってる奴を自力で探せよ。それが駄目なら一人でやれ。…そんな度胸もねぇなら辞めちまえ。ギターなんか」
池本「「なんか」って言うなよ。ギターは俺の生き甲斐なんだよっ…」
龍「そこまで言うなら文化祭までに完璧に弾きこなしてみせろよ。」
池本「言われなくとも……やってやるよ。」
――――同じ頃、学校付近では露出脅が現れ、大変な騒ぎとなっていた。
露出男「ばぁ〜?」
一年女子「きゃーーー!?変態ーーー!?」
田奈「あっ、あっ、現れたな!?この露出脅!!」
(風紀委員田奈、ほうきを持って登場)
露出男「君、かわいいねぇ?おじさんと遊ぼう?」
一年女子「気持ち悪っっ…!!」
田奈「安心して下さい!!私が守りますから!!やい!そこの変態!あなたが最近、学校付近で騒ぎを起こしている張本人ですね!?」
露出男「怒った顔もかわいーねぇ?そっちが来ないならこっちから行っちゃおうかな〜?」
田奈「ひょっ!?こっちに来ないでーーーー!!??」
??「い〜けないだぁ〜、いけないだぁ〜、けぇ〜さつにチクっちゃお☆」
露出男「やっ!?やめろーーー!?捕まりたくないよぉおおっ!!」
(露出男走って逃走)
一年女子「助かったぁ〜…」
田奈「あ…ありがとうございます……」
??「おう!帰り道は団体で帰った方がいいよ〜!じゃあね〜」
田奈「まっ、待って下さい!!私、田奈恵といいます!!あなたのお名前を伺ってもいいですかっ!?」
??「え?俺?いーけど、あと数年したら俺は、世の女性を虜にしてると思うよ?」
田奈「へ……?」
??「俺の名前は堤之原 圭。覚えといてね」
―――田奈と別れた堤之原は、華の通う高校の校門前にやってきた。
堤之原「ここか……」
〜チクり男アラワル〜 完。