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とろけるCheese  作者: KoKoRo
70/156

Cheese70〜笹舟に乗って〜

今日は七夕。

……ということで、わたしは今、商店街の七夕祭に参加していた。



華(うひゃあ!混んでるなぁ!!)



葵「姉ちゃん、迷子になるなよ〜?」



華「………む」




……そしてわたしは、なぜか弟の葵と二人で祭に参加していた。




葵「あ!でっかい笹があるよ!!あそこに短冊つけよーよ!」



華「嫌だ!!商店街の人に見られたくないもん!」



葵「……どーせ、たいしたこと書いてないくせに」



華「………う゛」



??「よお。立川じゃねぇか」



華「すすすっ鈴木くん!?」



龍「奇遇だな。お前も買い出し?」



華「い、いえ〜?その〜…」



葵「誰この人?姉ちゃんの彼氏?」



華「!ちがっ…」



龍「んなわけねぇし。この小さい奴、お前の弟だろ?マジそっくり」



華(なんだかすごいショックを受けているのはなぜ…?)



葵「不可解な姉ですが、今後ともよろしくお願いします!」



華「不可解ってそんな!?ふつつかじゃないの?それになんであんたがそれを言うの??」



龍「シスコンな弟を持って大変だな?立川」



葵「シスコンじゃありませんよ!?」



龍「じゃ。俺、用事あるから。またな」



(立ち去る龍)




華「……シスコンだったの?」



葵「違うに決まってるだろ!?あ〜もう、姉ちゃんなんかと一緒にいるから勘違いされたんだっ!!こっからは別行動ね!!!」



(走り去る葵)



華(???難しい年頃なんだろうな。きっと…)





しばらく一人でぶらぶらと歩いた。



華(何か食べようかな…。)



―――その時、前方に見覚えのある姿が見えた。



華(池本くん…?)



池本「………」


(商店街とは逆の方向に歩く池本)



華(どこに行くんだろう…?)




―――わたしは池本くんの歩く方向へと向かっていた。




華(なんでわたしは池本くんの後を追ってるんだろう…。)




―――しばらく歩いていると、河原に出た。



池本「……」



(鞄から笹舟を取り出す池本)



華「あ!笹舟だ!!」



(池本の前に飛び出す華)



池本「うわっ!?なんでいるの!?」



華「はっ……!!ごめんなさい!失礼しました!」



(その場を去ろうとする華)



池本「待って!!」



華「はい…」



池本「本当は昨日のことずっと謝りたかったんだ…。ごめん」



華「あれはわたしが池本くんの邪魔をしたからで…」



池本「……邪魔なもんか」



華「……?」



池本「パンダに入ってた奴が俺だったなんて知られたくなかったんだ」



華「やっぱり…池本くんだったんだね」



池本「……鈴木に聞いたんだ。立川さんと動物園に行くこと。でもあいつが行かないって言うから……」



華「ありがとう。池本くん。」



池本「え…?」



華「あの時、池本くんがいてよかったって思うんだ。わたし一人だったら…きっと泣いちゃってたと思う」



池本「立川さんは鈴木が好きなんだよな…」



華「どどっ?どうしてわかったの!?」



池本「えっ?いや、今の流れで大体の人はわかると思うよ?」



華「ははは、そっか…。でも…鈴木くんとは友達だよ。ずっと…友達」



池本「……」



華「鈴木くんに好きな人がいるって言われたから…しょうがないかなって諦めたよ!」



池本「……」





―――本当は辛いだろうに…。なんで我慢するんだよ……



池本「笹舟。よかったら一緒に流そうよ。笹に願いごと書いて流すんだ」



華「わたし、舟作れないよ…?」



池本「俺が作った分が余分にあるからこれに書けばいいよ」


(華に笹舟とペンを渡す池本)



華「ありがとう…」








笹舟に願いごとを書いた。わたしの願いは叶うだろうか……?



華「書けたよ!」



池本「よし。流そう」



華&池本「せーの!」





―――笹舟は川の流れに沿ってゆっくりと進んでいった……。



華「池本くんのお願いってなに?…って聞いちゃ駄目だよね」



池本「俺はいつかバンド組んでデビューしたいって書いた。」



華「……うん。それはきっと叶うと思う!」



池本「ありがとう。立川さんはなんて書いたの?」



華「わたしはー……、へへへ〜。内緒」



池本「え〜?ケチだなぁ」



華「ケチだもん」






―――わたしの願いは……




『みんなの願いが叶いますように』








池本「そういえば、さっき商店街で立川さんに似た人を見掛けたな…。すごいうりふたつでさ」



華「それはきっと、わたしの弟かと思われます…」



池本「弟?ああ、どうりで…」



華「??」



池本「商店街に飾ってあるでっかい笹に短冊付けてたよ。1番下の方に名前入りで付けてたからすぐにわかると思う」



華「そうなんだ…。じゃあ、後でこっそり見てみようかな」



池本「うん。そうした方がいい」



華「……」






―――池本くんと別れ、わたしは商店街の大きな笹の下へ行った。


色んな短冊が吊り下げられている中、「葵」と大きく書かれた短冊を見つけた。

わたしはそこに書かれた文字を読んだ。




華「……本当……シスコンだ……」







『姉ちゃんが幸せになりますように』






汚い字で書かれていたけれど、こんなに嬉しいと感じた言葉はなかった。





華「ありがとう…。葵」








〜笹舟に乗って〜

完。



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