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とろけるCheese  作者: KoKoRo
69/156

Cheese69〜贅沢な願い〜

7月6日。曇り。梅雨は当分続きそうです……。




雅「うきぃい〜〜!!この異常湿気で髪がくるくるパ〜になるっ!」



龍「…ダセぇ」



雅「お前の髪も異常事態なんだよ。この寝癖ボンバー」



龍「あ゛あ゛?テメェの方が異常なんだよ。このワカメ」



雅「………」



龍「………」




華「………。」






朝から鈴木くんと雅ちゃんは険悪ムードです………。




池本「おはよ。鈴木」



龍「よお。どうした?わざわざ後ろの席まで来て」



池本「これあげる。」



(龍に一枚の細長い紙を渡す池本)



龍「なんだよ…?これ。ゴミ?」



池本「……ひど」



玲「あーー!それ、商店街で配ってた短冊じゃない!?」



雅「あ〜あ。うるさい人が来ちゃった」



池本「そう、それ短冊。なんかいっぱい貰ったから鈴木にもあげようかと思って」



龍「ふーん。つーか、いらねぇ」



玲「せっかくなんだから受け取りなさいよ?あたしも貰ったし」



池本「よかったら佐藤さんと立川さんにもあげるよ。…はい」



雅「やった!ありがと!池本くん」



華「………」



池本「……あ、立川さんはいらない?」



華「…あっ!ううん、欲しい!ありがとう…」



(池本から短冊を受け取る華)



薄井「いい物持ってるね?僕にもくれたまえ」



池本「どうぞどうぞ………ってなんでいるんですか!?」



野高「あ。短冊だね。そういえば明日は七夕だもんね」



池本「野高先輩まで…」



薄井「ならば枚数が多い方が得だね♪100枚よこしたまえ〜い☆」



池本「そんなに持ってるわけないでしょーーー!?」



華(七夕……かぁ…)



野高「………」








――その日の放課後、わたしは写真部室に向かった。すると……




薄井「え〜…、まずは世界征服。そして億万長者。200歳まで生きる。死んでも生き還る。それから〜…」



(池本から奪い取った短冊に願いごとを書き込む薄井)



華(………。)



薄井「お!花子!いいところに来たね♪」



華(どうしてだろう……。すごくパシリに使われそうな気がする………!!!)



薄井「ジュンジュンから短冊を貰ってきてくれないかい?」



華「短冊って……先輩!池本くんから全部奪い取ったんじゃないんですか!?」



薄井「いやぁ?隠し持ってるかもしれん。よろしく頼むよ〜♪」



華(な…なぜ……?)







―――わたしは写真部室を出て、また教室に戻った。




華(池本くん、いるかなぁ……)


(教室を覗く華)




―――♪――♪♪―




池本「……」


(窓側にある机の上に座り、ギターを弾く池本)



華(お礼……。今なら言えるかな…)



(教室の中に入る華)



池本「……え?たっ…立川さん!?」



………ガタガタッ



華「ごっ、ごめんね!?驚かしたりして…」



池本「いや…、別に…」



華「短冊って…もうないよね?」



池本「短冊?俺が持ってた分は全部薄井先輩にあげたけど…」



華「やっぱりそうだよね!薄井先輩に貰ってこい〜って言われて来たんだ」



池本「そっか」



華「………」



池本「………」




華「……あの」



池本「え?」



華「動物園にいたパンダさんは……池本くんなんだよね?」



池本「!」



華「ずっとお礼が言いたくて…その……ありが…」



池本「俺じゃない」



華「……え?」



池本「だから俺にお礼言っても意味ないよ」



華「でも山さんが池本くんだって…」



池本「ごめん。練習やるから出てってくれる?」



華「………ごめんなさい……」



(教室を出る華)



池本「………」








―――教室を出たわたしは写真部室に戻った。



………ガラガラ……


(写真部室の扉を開ける華)



薄井「お!花子〜♪遅かった……ね」



華「………」



薄井「どうした花子?」



華「………へ?」



薄井「今にも泣き出しそうだよ」



華「わっわたし、そんな顔してますか?」



薄井「ジュンジュンにいじめられたかい?」



華「違うんです!違うんですけど……」




――――痛い





練習の邪魔をしたのはわたしなのに………




池本くんの言葉がチクチク胸に刺さったように痛い………




薄井「花子」



華「……は……はい……?」



薄井「君も短冊に願いごとを書くといいよ。」



華「願いごと…」



薄井「うん。ほら、いつまでも立ってないでこっちに来て座りなさい」



華「…薄井先輩の1番叶えたい願いごとってなんですか?」



薄井「……一人になりませんように」



華「……贅沢だなぁ…」



薄井「?」





―――だって薄井先輩の周りには、いつだって人が集まってる。




わたしだって気付けば先輩の傍にいるんだよ……?










〜贅沢な願い〜 完。



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