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とろけるCheese  作者: KoKoRo
68/156

Cheese68〜秘めた決意〜

池本くんにお礼を言えないまま、月日は流れ、気がつけば7月になっていた。





華(言わなくちゃ……。言わなくちゃ……。言わなくちゃ……。)



玲「華」



華「はっハイッ!?」



玲「何かあたしに隠し事してない?」



華「…え?」



玲「……」



華「な、なんにも隠してないよ?」



玲「…ごめん!今のは忘れて?ね?」



華「玲?」






――――玲は最近、何かを確かめたがっている。わたしが鈴木くんのことを好きだったこと、何となくだけど気付いているような気がした。





………そして放課後。




華(玲も部活に行ったことだし、わたしも早く同行会に行こう…。早く行かないとまた薄井先輩が教室に来ちゃう)



龍「……」


(ギターを持ち、練習する龍)



華(鈴木くん…。今日もギターの練習するんだ…)



龍「立川、もう帰んの?」



華「うん。同行会の方に行こうかと…」



龍「同行会?何の?」



華「Cheese同行会…」



龍「は?なんだそりゃ?わけわかんねー!つーか、急いでんだろ?早く行けよ」



華「…うん」



龍「じゃあな」



華「鈴木くんも練習頑張ってね!バイバイ」



龍「……」





――やっぱりまだ…




どことなく好き……。




華が教室を出た直後、柔道着を着たままの玲が龍のもとにやって来た。




龍「なんだよ?伊藤。その格好」



玲「見ての通り、部活抜け出して来たのよ」



龍「俺になんか用かよ?」



玲「ちょっと顔かしてくんない?」



龍「……」






玲と龍は屋上に向かった。





…………ガチャ


(屋上の扉を開ける玲)



龍「で?俺に何の用だ……」




…………ヒュッ


(龍目掛けて拳を突き出す玲)



龍「何の真似だ?俺と喧嘩してぇのかよ」



玲「あんたが…………あんたが華を泣かせたの?」



龍「!」



玲「あたし馬鹿だから今まで何も考えてなかった。華だって何にも教えてくれないけど……あんたが関係してるってことだけはわかった」



龍「それで?」



玲「華は……あんたのことが好きなんじゃないの?」



龍「だから?」



玲「動物園だって…二人で行く約束してたんでしょう!?」



龍「そんだけ理解してりゃあ、俺が説明しなくてもわかんだろ?」



玲「わかってんのは……あんたが華を傷つけた張本人だってこと」



龍「殴りたかったら殴ればいーじゃねぇか。それで気が済むんなら、あん時みたく俺を殴ってみろよ」



玲「………っ!!」




…………シュッ


龍「……」




…………ガシッ


(玲の放った拳を掴み押さえる龍)



玲「!?」



龍「俺は立川を振った」



玲「……なんでっ…」



龍「他に好きな奴がいるって言った。俺だって好きで傷つけたわけじゃねぇ」



玲「もっと言葉選びなさいよ……」



龍「好きじゃねぇ女に優しくなんかできるか」



玲「あんたがそんな男だから華はっ……」



………ヒュッ


(もう一度、龍に拳をぶつけようとするが当たらない。)



玲「なんでっ……?なんで当たんないのよ……」



龍「俺はお前より強くなる。前に喧嘩した時、そう決めた」



玲「………冗談じゃないっっ!!!」




…………ガッッ


(玲の拳が龍の頬に当たる)



龍「………っ」



玲「………足りない。一発なんかじゃ足りない。あんたをボコボコにしてやりたいのにっ……なんであんた強くなってんのよ!!」



龍「訳なんか言えるかよ……」



玲「……?」



龍「俺がお前より強くなったら言ってやるよ!!くそ女っ」



玲「は……はあ?怒りたいのはこっちだっつーの!!おい、コラ!待てっ!!!」



龍「最後に言っとくけど、立川にはちゃんと分かってもらった。俺が嘘言ってると思うなら立川に直接聞け。…つーか、口切れた。マジ痛ぇ。覚えてろよ?このバカ女」



玲「やっぱりもう一回殴りたいんですけど……よろしいでしょうか〜???」



龍「………たりぃ」



(龍、全力疾走)



玲「逃げ足だけは早い男……。」








龍「………」




―――いつか絶対、





お前より強くなる。






―――そしたら……









俺が守ってやる










〜秘めた決意〜 完。



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