表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とろけるCheese  作者: KoKoRo
67/156

Cheese67〜ヘクトパスカルランデブー〜

わたしが動物園で会ったパンダさんは池本くんだった。

その事実を知った翌日、わたしは朝早くに学校に行き、池本くんが来るのを待った。





華(お礼……言わなくちゃ……)




しばらくして池本くんが前の扉から教室の中へと入るのが見えた。


華(来たっ!!でも、なんて話しかけたらいいんだろう……)



クラス男子「おぃ〜す!池本〜!」



池本「お〜!おはよ。昨日のうたばん見た?」



クラス男子「見た見た!超〜おもしれぇよな!」



華(考えてみれば、池本くんとそんなに話したことないや。どうして池本くんはあの時…)



玲「おはよ!華!」



華「うわっ!?びっくりした〜!玲、おはよう!」



玲「なんか今、ぼ〜っとしてたけど考えごと?」



華「う、うん…」



雅「華が考えごとしてるなんて似合わなーい!」



玲「あんた、華を呼び捨てにするとはいい度胸じゃない?」



雅「華は華じゃん。ねー?華!」



華「お、おはよう。雅…ちゃん」



雅「?おはよう」




――首元にキスをされてからわたしは雅ちゃんをまともに見れなくなってる。




龍「…うぜぇな。お前ら。朝から俺の机にたかんな。暑苦しい」



玲「別にあんたの机に用はないっつーの。華と話してんだから邪魔しないでくれる?」



龍「……朝からピーピーうっせぇ女」ボソッ


(小声で呟く龍)




玲「聞こえてんのよっ!!」



………ヒュッ


(龍に向かって回し蹴りをかます玲)




………ボスッ


(玲の回し蹴りを腕一本で受け止める龍)



華「あ。」



雅「おぉっ。」



玲「なっ…!?」



龍「…ま。実力の差じゃね?」



玲「くっ……くやしいぃぃぃ〜〜!!」








―――その後、池本くんにお礼を言えないまま、放課後になってしまった。




華(まずい…。このままじゃ、いつまでたってもお礼なんて言えないっ)



クラス男子「池本〜!皆で帰りにマック寄ってくんだけど、お前も行かねぇ?」



池本「あー、ごめん。今日もここでギターの練習してから帰るわ」



クラス男子「毎日毎日頑張るねぇ〜。んじゃあ、また明日な〜!」



池本「おう。じゃあな」



華(ギター…か…。毎日教室に残って練習してるんだ…)



クラス女子A「あ〜!池本くん、またギターの練習やんの〜?聴かせて聴かせて〜!」



池本「今日は一人で練習したいから駄目。」



クラス女子A「え〜?ケチ〜」



華(今日、お礼を言うのはやめておこう。池本くんだって一人で練習したいだろうし…)




………ガタッ


(席を立ち、教室を出ようとする華)



……………♪



華「!」




……♪……♪♪……





綺麗な音が、教室いっぱいに広がった。




華(すごい……。前に聴いたときよりも上手くなってる…)



クラス女子B「ちょっと池本くん、うますぎじゃない!?プロっぽいよ!?」



池本「お世辞はいいから早く帰って下さい。恥ずかしいんで」



クラス女子B「はぁ?お世辞じゃないし。本音だし」



池本「ありがとう…」



クラス女子B「お、おうともさ」



華(あんなギターの音色を聴いたら、みんな池本くんのこと好きになっちゃいそうだなぁ…)




…………♪♪♪♪♪♪

(華の隣で龍がギターを爆音かつ適当に弾く)



華(う゛……?)



クラス女子B「ちょっと鈴木くん、うざいし!?」



龍「ギターはゆっくり弾くもんじゃねぇんだよ。ロック的に弾くのが1番に決まってんじゃん」



池本「あはは!確かに!」



華(なんとなくズレてる気が……)



…………ガラガラッ


(突然教室の扉が開く)



薄井「花子〜〜〜!?またサボる気かね!?」



華(ひぃいぃい!?)


池本「で、でた〜…」



薄井「ん?ジュンジュン!!君がその手に持ってるそれはもしかして、もしかしなくともギターだね!?」



池本「そうですが…」



薄井「あはは〜?貸したまえ〜〜っい!」



(池本からギターを分取る薄井)



池本「ああ!?」




ジャッジャッジャッジャ〜〜〜〜ン


(豪快かつ騒音で弾く薄井)



華(いっ…いたい!?耳がキンキンする〜〜!?)



薄井「夜更かししたら〜〜シワ37ヘクトパスカル〜〜〜♪♪♪」


(適当な歌を歌う薄井)



華(意味わかんないーーー!?誰かこの状況を止めてーー!!)




―――すると、薄井の理解不能な歌声を聞き付けた野高が、華の教室に俯きながら入ってきた。



華(あれ?野高先輩?いつもと様子が違うような??)



野高「しっぺ……デコピン…………」



薄井「うぉ〜いえいえ〜〜いっ♪さすらいのヘクトパスカル〜〜♪♪(?)」



野高「ババ………チョーーーップ!!!!」




………ドガガッッ



(薄井に向かって回し蹴りをかます野高)



池本「ババチョップじゃないしっ!?」



龍「池本。そのツッコミ、‐50。」



池本「え?採点…?」



薄井「あ……あがあがが………?」



(薄井故障)



野高「1Cの皆さん。大変なご迷惑をおかけしました〜……」



(薄井を引きずりながら教室を出る野高)



華(この光景は………一体……?)




この時、私の頭の中から池本くんにお礼するという理念が消え、変わりにヘクトパスカルの歌が頭に刻み込まれてしまった………。








〜ヘクトパスカルランデブー〜 完。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ