Cheese66〜辿り着いた真実〜
貰ったカエルをどうしようかと悩んだ。
学校からの帰り道で悩んだあげく、わたしはコーヒーカフェに辿り着いた。
………カランカランッ
(カフェの扉を開ける華)
山田「いらっしゃ〜い……ってあれ?立川さん?」
華「……」
山田「今日は一人?コーヒーでも頼んでくれると助かるんだけど…」
華「………」
山田「とりあえず座ろうよ?ね」
華「山さんっっ!!」
山田「はい!?」
華「これあげます!わたしにはやっぱり花子を飼ってあげられないっっ!!」
山田「これって何?まさか捨て犬でも拾ってきたの?」
華「違います!?これですよ!これ!」
山田「カ?カカカカッカエル!!??」
華「はい!!道端に捨てようかとも思ったんですけど、妙に愛着が湧いて捨てられないんです!!変わりに捨てて下さい!?」
??「待て〜〜いっ!花子ーーー!!」
華「へ?」
薄井「そのカエルを捨てに行くのなら花男も道ずれにしてくれたまえ!」
華「なぜ薄井先輩がここに!?さっき野高先輩と帰ったはずじゃ……!?」
薄井「メダカとはさよならして、カエルを捨てに行こうかと逆走していたら、カフェに入る君が見えたもんでついつい立ち聞きしていたのだよ〜ん♪」
華「素直すぎますよ…。先輩…」
山田「で?そのカエルはどーするの?」
薄井「野生に帰す。イコール捨てる。」
華「わたしも……そうします。」
薄井先輩とカフェを出ると、雨がポツポツと降っていた。
華「さっきまで降ってなかったのに……」
薄井「梅雨だからしょうがないね。…ほら、これ着たまえ」
(レインコートを差し出す薄井)
華「なぜレインコートを所持してるんですか…?しかも2着!」
薄井「備えあれば何とかかんとかって言うじゃないか。それ着て川原まで行くぞ〜い」
(走り出す薄井)
華「あっ!!待って下さいっ!!」
薄井「……待ってるよ」
華「………」ドキッ
―――薄井先輩って……
―――よくわかんない人だな…
薄井先輩の後を追って、川原までやって来た。辺りはカフェを出たときよりも薄暗くなっていた。
薄井「…よし!ここなら花男も元気にやっていけるだろう」
華「なんか少し……寂しいですね…」
薄井「……人間との別れよりは寂しくないさ」
華「………」
―――どうしてそんな悲しい顔で笑うんだろう……?
『……待ってるよ』
あの時もそんな顔で笑ってた。
…………ピョンッ
(花子が花男に近づく)
薄井「お。仲がいいね。二匹揃って野生に帰っていったよ」
華「……いいなぁ」
薄井「…花子は鈴木とうまくいかなかったのかい?」
華「!!どうして……?どうして鈴木くんだって知ってるんですか!?」
薄井「行ったんだ。動物園。そしたら鈴木を見かけたんだ」
華「動物園に来てたんですか……?先輩…」
薄井「まさかあのパンダに誘拐されてしまうとはね…」
華「先輩はパンダさんが誰か知ってるんですか!?わたし、一言でもお礼を言いたいんです…。だから……」
薄井「パンダが誰か知らなかったのかい?…山田だよ」
華「山…さん……?」
薄井「ああ。動物園でパンダの着ぐるみ着てバイトするって言ってたから間違いないよ」
華「わたし……」
薄井「この時間ならまだカフェにいるんじゃないかな?」
華「え……?」
薄井「お礼。言いに行くんだろ?急げば間に合うよ」
華「……!!行ってきます」
薄井「うん」
わたしは薄井先輩を川原に残したまま、カフェに向かって走り出した。
薄井「また…一人だな……」
……………………………………………………無我夢中で走り続けた。
お礼が言いたかった。
―――ずっと………。
……カランカランッ
(カフェの扉を開ける華)
山田「いらっしゃー…立川さん!?どうしたの?ずぶ濡れじゃんか!?」
華「カッパを着てるので平気です…。それよりも……あの時は迷惑かけてごめんなさい!それから…ありがとうございました!!」
山田「え?何の話?」
華「動物園でパンダさんの着ぐるみを着ていたのは山さんなんですよね……?」
山田「パンダの着ぐるみ?ああ…。あれか……って立川さんに俺のバイトのこと話したっけ?」
華「薄井先輩に聞いたんです!!本当にどうもすみませんでした!」
山田「立川さん誰かと勘違いしてない?」
華「え…?でもパンダさんは山さんだって…」
山田「はは…。途中で交代したんだよね…。その仕事」
華「どうゆうことですか…?」
山田「どうしてもやりたいっつって変わったんだよ。池本と」
華(――――え?)
山田「だから立川さんの言ってるパンダって池本のことじゃないかなー?」
華「………」
池本くんが…
パンダさん……?
真実を知ったわたしはカフェを出た。
外に出たらなぜか……
池本くんに会いたくなった。
会ってお礼が言いたかった………。
〜辿り着いた真実〜
完。