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とろけるCheese  作者: KoKoRo
61/156

Cheese61〜今だけは僕のもの〜

あれから鈴木くんとは普通に会話をしている。鈴木くんの優しさに改めて感謝をしたい気持ちでいっぱいです。




華「……」にたぁ〜


(怪しく笑う華)



龍「なんだよ…立川……。不気味な顔で笑うんじゃねぇよ」



華「感謝の眼差しを送ろうかと…」



龍「感謝?お前、なんか切り替え早くね?そんなに俺のこと好きじゃなかったんじゃねーの?」



華「ひどい…。やっと立ち直ろうって……思ってたのに…」じわっ


(涙目になる華)



龍「泣くなよ。うぜぇから」



華「はいっ!」




華(うぅ〜…。また怖い鈴木くんに逆戻りだ…)






そして放課後。




わたしはいつも通り、写真部室に向かった。



………ガラガラッ



華「失礼します!……あれ?誰もいないや…」



野高「いるよ。こんにちは」


(机の下から出てくる野高)



華「野高先輩!?こんにちは!!何か落としたんですか…?」



野高「……いや、もう見つかったから平気だよ」


………カサッ




華「……?今、何か後ろに隠しませんでしたか?」



野高「べっ、別に何も隠してないよ…?」



華「……???」


(野高に近寄る華)



…………パラッ


(野高の手から何かが床に落ちる)



野高「あ!」



華「写真……ですか?」



野高「……。」




床に落ちた写真には、女の人が写っていた。



華「綺麗な人ですねぇ!野高先輩のお知り合いの人ですか?」



野高「……うん。その人は薄井のお姉さんだよ」



華「薄井先輩のお姉さん……?」



野高「俺が好きだった人。」



華「!」



野高「もう……亡くなってしまったんだ。一年くらい前に」



華「大丈夫ですよ…?無理に話しをしなくたっていいんです…。辛いことなら尚更…」



野高「立川さんには話しておきたいんだ。」



華「野高先輩……」








わたしは野高先輩から薄井先輩のお姉さんである、春さんという人の話しを聞いた。




薄井先輩の紹介で出会ったこと、重い病気だったこと、いろんなことを話してくれた。




野高先輩の春さんを想う強い気持ちが伝わった。話しを聞いているうちに、熱いものが込み上げてきた……。





………ぽろぽろ……


(涙が床にこぼれる)



野高「立川さん……」



華「すみません…。泣いたりして……。でも…なんだか……悲しいんです………」



野高「立川さんが泣くことないよ。俺が勝手に話しただけだから。……ごめん」



華「野高先輩は……、すごく、すごく、春さんっていう人のことを好きだったんですね」



野高「!」



華「わたしなんかより、先輩の方が悲しいに決まってるのに………ごめんなさい……」



野高「立川さん……」






泣かせるつもりなんかなかった。





俺が春さんのこと彼女に話した理由は……







ひとつしかない。







野高「………っ」





堪えていたのに涙が沸き上がってきた。




華「先輩…」



野高「ごめん。……俺…、弱いよな…。弱っちぃよ……」



華「弱くなんかないです。先輩は、強いです。」



野高「………」






―――違う。




―――俺は呆れるほど





トンッ



(華の肩に頭を置く野高)




華「先輩……?」



野高「泣き顔なんか見せたくないから……止まるまでじっとしててくれる?」



華「……はい。じっとしてますよ。」




野高「…ありがとう」







―――弱いんだ……。








……どうか、弱い俺を支えてくれる「君」でいて欲しい。



今は………








俺だけの君でいて









〜今だけは僕のもの〜

完。



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