Cheese6〜変人 翔〜
美化委員会活動初日、早くも後悔しているわたしを余所に淡々と自己紹介は進んでいった……。
担任兼美化顧問の高橋先生は止めるどころかただ呆然と座って見ていた………。
華(どうしよう……。先生が止めてくれればいいのにっ…!それにもうすぐわたしの番だ〜!?)
薄井「じゃあ次は一年C組〜!」
華(きたーーー!?)
池本「…池本 淳です。好物は鶏の唐揚げ…です」
薄井「淳か……。じゃあ今日から君はジュンジュンだな♪」
次の瞬間、池本淳は机を叩き立ち上がった。
淳「それだけはやめて下さい!!」
華(きゅ、急にどうしたんだろう?池本くん…。昔そのあだ名で嫌な思い出でもあるのかな…)
薄井「……じゃあ、メガネ。」
淳(見た目であだ名つけんなーー!?)
薄井「それじゃあ次の人〜♪」
華「たっ、立川 華です…。好きな食べ物はー…チーズです!」
薄井「!」
野高「……え?」
華(あれ…?何か変なこと言ったかな??)
薄井「ほーう。チーズ好きか…。ダイエットに苦労するだろうね。ボンボリ娘くん」
華(ボンボリ娘って…酷いっっ!!)
薄井「じゃあ次はD組の人〜!」
華(むっきー!!なんかあの先輩、ヤな感じだーー!!)
その後も自己紹介は続いて二年生の先輩達まで言うはめになっていた………。
薄井「それじゃあ2年A組!僕の相方であるメダカくん!!自己紹介をするんだ☆」
…が、肝心の先輩は自分のクラスの席にいなかった。
薄井「…野高 優は何処へ消えた??」
二年生男子「もしかして後ろの席で高橋先生と、くつろいでる人のこと〜?」
薄井「なにぃ!?」
野高「高橋先生、大変な委員会の担当になっちゃいましたね…。あ、お茶でもどうぞ。先生」
高橋「気遣ってくれてありがとう…。君は優しい生徒だなぁ…」
薄井「コラコラッ!そこ!なにをコソコソ日光浴してるんだね!?君達は日光猿軍団かっ!?」
野高「…意味わかんないよ…。薄井」
薄井「…いいからさっさと自己紹介をしなさい。メダカくん」
野高「…2年A組、野高 優です。好きな食べ物は……納豆?」
薄井「嘘をつけぇ〜いっ!!嘘を!!お前がこの世で1番愛す食べ物はーー…」
野高「ばっ、バカ!よせ!!こんなところで言わなくてもいいだろう!?」
薄井「……ちっ、ケチ男」
野高「ケチとかいう問題じゃない気がするよ……薄井」
華(なんかあの薄井先輩って人…濃い。なんか全体的に……濃い)
こうして第一回目の美化委員会が終了…するかと思ったのに………
薄井「ちょっとそこのボンボリ娘くん!」
華(ボンボリ娘って……まさかわたしのこと!?)
野高「なに呼び止めてるんだよ…薄井」
薄井「えーっと、名前なんて言ったかな?」
華「立川 華です…」
薄井「ふむ。華か…」
華(…よっ、呼び捨て!?)
薄井「華……花……」
華(あれ……?なんか発音が変わったような気が……?)
薄井「………花子。」
華「へ?」
薄井「よぉ〜し!君は今日から花子だ♪」
華「なぜ花子になるんですか!?」
野高「あれ?花子って確か…前に薄井が飼ってた犬の名前じゃないか…?」
薄井「おお!よく覚えているな!今や天国の住民だが、上で幸せに暮らしていることだろう…」
華(上って…?天国?じゃあ花子って死んでる……?)
薄井「よし、花子。早速だが用件だけズバリ言うわよ☆」
野高「やめろ……気持ち悪い……」
華(嫌な予感がするのはなぜ……?)
薄井「今日から花子をCheese同好会に任命する!!」
野高「チーズ…」
華「同好会……?」
薄井「なに二人してキョトンとしてるんだ?…あ。活動は明日からだから放課後になったら写真部室集合だ!」
野高「え…?ちょっと待て!写真部室は俺が活動に使ってる場所じゃないかっ!?何を勝手に……」
薄井「写真部ぅ〜?部員がお前ただ一人だというのに部活気取りもいいところだぞっ!?」
野高「なんで逆ギレ……?」
華「あの〜…わ、わたしはこれで失礼します……」
薄井「待て!花子おぉぉぉぉぉ!!」
華「はいっ!?なんですか!?薄井先輩」
薄井「…薄井先輩だなんて他人行儀だな。かけるんるん☆…と呼んでくれても構わないよ」
華(かびるんるんみたいーーー!?)
薄井「どうだ!?花子!僕のことをそう呼ぶかい!?」
華「遠慮します…。薄井先輩……」
野高「…立川さん。ごめんね」
華「え…?」
野高「薄井のせいで帰れないよね…。もうこんな奴ほっといて帰っても大丈夫だよ…?」
華「……じゃあ、失礼します!!」
薄井「花子っっ!!」
華(ヒィィーー!?)
薄井「明日の放課後…写真部室で待ってるからなぁぁぁぁぁ!!」
華「………」
華(薄井先輩じゃなくて………濃井先輩?)
〜変人 翔〜 完。