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とろけるCheese  作者: KoKoRo
58/156

Cheese58〜雨と風船の行方〜

日曜日。

朝起きて窓の外を見ると、雨が降りしきっていた。



華(玲の言った通りに雨だ……)






降りしきる雨の中、わたしはいつもよりお洒落な格好をして外に出た。


一人、電車に乗って動物園に向かう。自分でも心臓の音が聞こえるほど、ドキドキして何も考えられない…。





華(普通に………鈴木くんと話せるのかな………?)








――その頃、山田は動物園にいた。



山田「つーか、雨なんでパンダは中止ですよね〜?」



おじさん「何言ってんだよ?ほれ。この着ぐるみ着て、カッパ着な。」



山田(う〜わ〜…。パンダ専用のカッパが出てきちゃったよ…)



おじさん「ほれ。時給1000円!」



山田「やります!やらせていただきます」




餌に釣られた山田は、渋々パンダの着ぐるみに着替えた。



おじさん「じゃあ、あとよろしくな〜!ああ、風船は自分で膨らませてくれぇ!」



山田「……マジ?」



おじさん「大マジだ!」



山田「それなら着ぐるみを着る前に言って下さいよ!?」



おじさん「おぉっと!すまねぇ!」



山田(……………帰りてぇ)









――午前9時30分、動物園前にて……




華(30分も早く着いちゃったよ〜…。鈴木くん……早く来ないかなぁ…)








―――同じ頃、龍は動物園に向かうため、商店街を突き抜けて駅に向かって走っていた。



龍(―――やっぱ……最後に一回だけ……あいつにちゃんと謝んねぇと気が済まねぇよ……)





ワンワンッ



龍「―――!」




走る龍の前に、突然犬が道を塞いだ。



「あっ、すいませーん!」




龍「………伊藤……」



玲「…え?なーんだ!龍じゃん!どーしたの?傘もささないで、ずぶ濡れじゃない」



龍「……何で……」



玲「……?」



龍「………お前に会っちまったら俺………もう………行けねぇよ……」



玲「……龍?」











――時刻は午前10時となった。




華(鈴木くん、遅いなぁ……。寝坊……したのかな…)





雨は段々、傘を叩きつけるように強くなっていった。







――その頃、山田はパンダの着ぐるみを着ながら、風船の空気を入れていた。




山田「だあぁあっ!!あっちぃ〜〜〜!」



………ガバッ



(思わず着ぐるみの頭を取る山田)



山田(最初っから頭取ってやりゃあよかった………)




「………。」





―――すると、山田の目の前にある人物が立っていた。




山田「よお!お前か!どーしたんだよ?こんなところに一人でさ」



「俺が変わりにやりましょうか?」



山田「まっ…マジで!?…いや、待てよ?まさか、俺のバイト代横取る気じゃねーよな?」



「取りませんよ。俺が変わりにやって、バイト代はちゃんと払いますから。」



山田「……つーか、それ、お前には無駄働きだぞ…?」



「無駄じゃありませんよ。……俺にはやることがあるんです。」



山田「…?ま、いーや。そこまでやりたいなら後よろしく頼むよ」





山田はパンダの着ぐるみとカッパをある人物に渡した。










――時刻は午前11時を過ぎていた。



華(……もう……来ないのかなぁ……。鈴木くん……)





…………ぺたぺた




華(…………?)





華の目の前にカッパを着たパンダが現れた。



華「パンダ……さん?」




パンダは何も言わず、華に風船を差し出した。




華「わたしにくれるの?」



パンダ「……」コクッ

(ゆっくりと頷くパンダ)



華「ありがとう…」



風船を取ろうと、手を伸ばした瞬間、パンダは華の手を握った。




華「……え…?」




パンダは華の手を取り、動物園の中へと走り出した。












パンダが華に差し出した風船は、雨の中、ぎこちなく宙を舞った。







――――パンダと華が園内に入った直後、龍が走って動物園にやって来た。




龍「はぁ…はぁ……」



??「遅かったね。もしかして君が花子の相手か?」



龍「!あんたは……」



薄井「花子なら、もういないよ。たった今パンダに誘拐された」



龍「………なんであんたがここにいんだよ?」



薄井「暇だったから…かな?」



龍「…………」








――――もっと早く来るべきだったと………今さら後悔した……。








〜雨と風船の行方〜

完。



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