Cheese57〜COUNTDOWN〜
気がつくと日曜日が明後日に迫っていた。
朝、学校に着いて教室に入ると、鈴木くんが席に座っていた。
…挨拶はしない。
わたしが告白する前までは普通に挨拶をしてくれたのに……
華(こんなことなら…告白なんてするんじゃなかったな………)
龍「日曜、10時だかんな。忘れんなよ」
華「……うん」
でも、
全然話してくれないわけじゃない……。
それだけで充分嬉しかった。
――放課後、教室にて
池本「おーい!鈴木〜!ちょっと今日、残れるか?ギターの練習とかやんない?」
龍「あー…。暇だからやってもいい」
池本「よっしゃ!じゃあ、ちょい待ってて」
(龍の席から離れる池本)
華「…………バ」
龍「……」
華「……バイバイ。鈴木くん」
龍「…おう。じゃーな」
華(………やっぱり優しいな…。鈴木くん…)
その後、わたしは教室を出て、写真部室に向かった。
…………ドドドッ
(龍の席へと戻ってきた池本)
池本「準備万端!早速で悪いけど弾かないか!?」
龍「………池本」
池本「なに?」
龍「お前、誰かに告られたことあるか?」
池本「………え?」
――その頃、写真部室では………
華「今日は薄井先輩だけなんですか…?」
薄井「僕だけいちゃ悪いかね?メダカなら保健室でぐったりしているよ」
華「そうですか……」
薄井「今日もノリが悪いね?花子。何かあったのか?」
華「………」
薄井「僕には話せない……か」
華「……たんです」
薄井「何か言ったかい?」
華「振られたんです。わたし」
薄井「………振られた……?」
華「はい。スッパリ振られました!日曜日、最後のデートなんです!悩んでるんです。わたし。その一回きりのデートで本当に………その人を忘れられるんだろうかって……。ずっと………悩んでて………」
薄井「おい、花子……」
華「………うっ………うっ………ひっ…」
薄井「………頼むから泣かんでくれ。ほら、ハンカチ」
華「ずみまぜんっ………ズズ〜〜ッ」
薄井「鼻をかむために貸したんじゃないぞ!?涙を拭きたまえっ!」
華「ずみ……まぜ……ん……ひっく…」
薄井「……今まで相当辛かったんだろう?ここで全部出してスッキリしなさい」
華「…いい……んですかっ……?ひっく…」
薄井「いいよ」
華「うぅっ………ひえぇぇぇんっっ!!」
薄井(……おもしろいなぁ。花子は。こんなおもしろい子を振るとはなんて男だ)
華「うぇぇえぇっんぐっひっく……ひっく」
薄井(おもしろくて………可愛い子だ…)
――1年C組教室にて
池本「急だな…。告白されたことなんかないよ。……なんでそんなこと聞くんだよ?」
龍「……好きじゃない奴に告られた時、お前ならどーする?」
池本「それって……、立川さんのこと?」
龍「何で知ってんだよ?」
池本「やっぱそうか…。なんとなく感ずいてはいたけどね」
龍「…今度の日曜、あいつと動物園に行くんだよ。けど……」
池本「けど……?」
龍「俺は行かない」
池本「は?何でだよ?約束したんだろ!?立川さんと……」
龍「俺が行かなけりゃ、あいつだって諦めつくだろーが?」
池本「……なんで立川さんじゃ駄目なんだ?」
龍「前から好きな奴いるからだよ」
池本「!………なんか……かっこいいな、お前。」
龍「はぁ?」
池本「……うん、かっこいいよ。鈴木は」
龍「なんだよそれ…」
池本「いや、なんとなくだけどね」
龍「……なんかうぜぇぞ。池本」
池本「……ハハハ」
―――写真部室にて
………ガラガラッ
(保健室から帰ってきた野高が、写真部室の中へ入った)
野高「うぁ―…。痛い……」
薄井「お〜、おかえり。メダカくん」
野高「……あれ?立川さん、まだ来てないんだ?」
薄井「さっき来たよ。もう帰った」
野高「え?何で…?」
薄井「失恋したそうだよ。日曜日にその相手と動物園に行くんだそうだ。全く女って奴はわからんね。振った男とデートしに行くとは。ん?待てよ?確かその動物園で山田がパンダの着ぐるみきてバイトするんじゃなかったかな?覚えてるかい?メダ………」
…………ドタッ
(野高、転倒)
薄井「うぉっ!?どうしたぁぁ!?メダカーーーーッ!!」
野高「………なんか…………」
薄井「ん?」
野高「なんか……………………へこむなぁ…………」
薄井「まさかっ…君……」
野高「………」
薄井「そんなに日曜日にデートする花子が羨ましいのかね?」
野高「………その極端な発想が出来る、お前が羨ましいよ……」
薄井「?????」
こうして、運命の日曜日は訪れた…………。
〜COUNTDOWN〜 完。