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とろけるCheese  作者: KoKoRo
56/156

Cheese56〜交錯〜

放課後の教室で鈴木くんと二人きりになった。



こんなチャンスは、もう二度とやって来ないだろうと思った。



華「それはー…」





音が伝わる。




心臓が破れそうだ…。



今まで告白なんて一度もしたことない。



鈴木くんが初めてになるんだ………。




龍「なんだよ?」



華「わたしが鈴木くんのことを………………好きだからです」




―――言っ…た……。



龍「―――」



華「………」




龍「………俺は止めとけ」



華「どうして……」



龍「前から好きな奴がいんだ。だから立川の気持ちには答えられない」



華(………好きな……人……)




ずっと鈴木くんのこと見てたのに………




全然気づかなかった…………。




華「ごめんなさい。突然こんなこと言って…。ちゃんと返事をくれてありがとう」



龍「……わりぃ」



華「わたしは……平気だから……。だから、鈴木くんは謝っちゃだめだよ」



龍「………」



華「最後に一つだけ……お願いしてもいいですか?」



龍「なに?」



華「鈴木くんと動物園に……行きたい」



龍「だってお前、伊藤と行くんだろ?」



華「………」



龍「……わかった。伊藤には俺から言っとくよ」



華「え…?」



龍「俺がチケット返してほしいって言えば、あいつも納得すんだろ」



華「わがまま言ってごめ…」



龍「謝んな。これで最後なんだろ?」



華「うん。ありがとう…。鈴木くん」



龍「………」







………正直、




なんで俺なんだよ?とか思った。






立川が俺のこと好きだとか微塵も思わなかった。





気持ちは嬉しい。





でも、俺は―――









――――翌日――――



玲「えぇ!?やっぱり返せ〜〜!?今頃、何馬鹿なこと言ってんの!?」



龍「わり。やっぱダチと行くから」



玲「……まぁ、元々あんたが当てたんだし、文句は言えないけど」



龍「………」



玲「なんて顔してんのよっ!あんたらしくもない!」



………バシッッ



(龍を叩く玲)



龍「いってぇっ!」



玲「しょーがない!今回は諦めてあげる!天気予報で今週の日曜日は雨って言ってたしね〜」



龍「………雨かよ」



玲「また今度にでも行こうね!華!」



華「…うん。ごめんね……」



玲「なんで華が謝るのよ〜?謝んなきゃいけないのは龍でしょ!龍!」



華「………」






…………痛い。







玲に嘘をつくのは……



……すごく痛いよ。








その後、授業が終わって、わたしはCheese同行会を行う写真部室に向かった。





写真部室の扉を開けようと手を伸ばしたその瞬間、扉が開き、目の前に野高先輩の姿があった。



野高「……びっくりした。こんにちは」



華「こんにちは…」



野高「なんだか元気ないね。どうかした?」



華「いえっ…!元気ですよ」



薄井「花子〜?昨日、またサボったね?」



華(昨日……?そっか…。鈴木くんに振られて、そのまま帰ったんだ……)



薄井「残念だが今日の同好会は中止だよ。メダカくんがカフェでバイトだそうだ。僕もカフェに行くから中止決定!」



華「そうですか…。失礼しました」



(帰ろうとする華)



薄井「ん?花子はカフェに行かないのか?」



華「…はい。今日は帰ります。じゃあ、また明日来ますね」



そう言ってわたしは写真部室から離れて行った。




野高「なんか……元気なかったね」



薄井「ノリが悪いだけだろう?明日になればまたノリが良くなるさ☆」



野高「…………」








華と別れ、薄井と野高はカフェに向かった。





――カフェにて――




薄井「や〜まだ〜!元気か〜〜〜?」



山田「……元気なわけねーだろ」



野高「山さん。最近マスター来てますか?」



山田「全然来てない。電話とか掛かってくるけど『あとよろしく』とか言われてすぐ電話切るし」



薄井「あはは♪嫌われてるね☆」



山田「直で言うな。ムカツクから」





……チリンチリンッ



(カフェの扉が開き、誰かが入った)



山田「よお!いらっしゃい」



池本「げ」



野高「あれ?」



薄井「ジュンジュ〜〜〜ンッ☆」



池本「!!」ガタガタッ




(思わず後ろに下がる池本)



薄井「逃げなくてもよいではないか!さぁ…!来たまえ☆」



池本「俺は……コーヒーを……飲みに来ただけでして……」



山田「なんだ?お前ら知り合いだったのか?こいつ、最近よく来る常連なんだよ」



野高「へぇ〜。…っと、俺もそろそろバイトしなきゃな」




池本(あ〜…。今日の俺はアンラッキーだ。絶対そうだ……。)



薄井「何をしてるんだい?ジュンジュン!こっちにおいで……」



池本「先輩、怖いです。マジで。」



山田「あ〜…、日曜日のバイトは辛いな」



薄井「急に何をぼやいてんだい?山田」



山田「日曜のバイトだよ。動物園でパンダの着ぐるみ着て、風船配り」



野高「パンダ…?」



池本「着ぐるみ?」



薄井「この暑いときに着たら汗がぶわ〜!ついでに臭いもぶわ〜!だね☆」



山田「…直で言うな」





この着ぐるみが後に救世主になることを、今はまだ誰も知らない……。





〜交錯〜 完。



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