Cheese55〜ラストチャンス〜
――とある休日、商店街にて――
人「じゃあ一回だけ回して下さーい!」
龍「………」
……ガラガラガラッ
(商店街の福引き券を使って滑車を回す龍)
………コロッ
(紫色の玉が出る)
人「おっめでとうございま〜っす!!五等の賞品、ご当選でございま〜〜〜っす!!!」
龍「は…?」
――翌日、学校にて――
龍「立川、動物園って好きか?」
華「え?」
龍「普通行かないよな。動物園なんか」
華「もっもちろん好きです!!行きます!」
華(もしかして…デデッデートのお誘い!?)
龍「じゃー、これやる」
龍は華に動物園の無料観覧チケットを2枚渡した。
華「……これは?」
龍「商店街の福引きやったらたまたま当たっちまったんだよ。俺行かねーから伊藤と二人で行けよ」
華「でも……」
龍「今週の日曜まで使えるから。遠慮すんな」
華(そうじゃないっ……!!鈴木くんと一緒に行きたい……なんて冗談でも言えない…)
龍「で?行くの?行かねぇの?」
華「鈴木くんがいらないのなら…。玲を誘って行くね!」
龍「ああ。そーしてくれ」
華(うう…。意気地無し……)
玲「おっはよ〜!華〜!」
龍「噂をすりゃあ、ご本人登場か…」
玲「なになに?何の話し??」
華「鈴木くんから動物園の無料チケットをもらったんだ!今週の日曜日までなんだけど、玲、一緒に行かない?」
玲「行く〜〜!!タダなら何処にでも行くに決まってるじゃない♪」
龍「……ハッ。ビンボくせ」
玲「なんか言った〜〜??」
龍「いや?別に?」
華「はい!玲!これ、チケットだよ」
(玲にチケットを渡そうとする華)
玲「あ〜、あたし無くしそうだから華、持っててくれる?」
華「あ、うん!わかった」
玲「日曜日が楽しみね♪」
華「うんっ!」
こうして今週の日曜日、玲と動物園に行くことになりました!
――その日の放課後――
華(楽しみだなぁ〜♪動物園!)
龍「じゃあな。立川」
華「うん!バイバイ……あ!?」
龍「なんだよ?」
華「これ、鈴木くんのMD?机の下に落ちてたんだけど…」
龍「ああ、わりぃ。それ、俺のだ」
華「はい!」
――MDを渡す時、ほんの一瞬、鈴木くんの手に触れた――
龍「…サンキュ」
華「………」ドキッ
華(どうしよう……。やっぱり……鈴木くんと一緒に動物園行きたいな…)
華「……あのっ」
龍「なに?」
華「えっと……その……あのね!?」
池本「鈴木ーーー!!一生のお願い!俺とバンド組んでくんない!?」
龍「はあ?」
華「……へ?」
池本「実は前から思ってたんだよね。鈴木はたっぱもあるし、顔もいーし、ギターに向いてるって!絶対!」
龍「ギターなんかやったことねぇし。つーかお前、バンドやってんの?」
池本「やってんだけどメンバーが全然集まる気配がないんだよね…。だから……頼む!文化祭までには4、5人くらいでバンド組んでやりたいんだ!!」
龍「…別にいーけど?暇だし」
池本「マジで!?よっしゃ〜〜!!助かるよ!鈴木!ありがとな!」
華(ああ〜……池本くんのばかぁぁぁっ!)
―――翌日―――
池本「つーわけで!鈴木に合いそうなギター持ってきた!」
龍「お!かっけーじゃん。サンキュー。でも俺、マジで弾けないけど?」
池本「できれば練習して弾いてもらいたいけど、そこまで無理は言えないよな…。弾いてる真似だけしてくれればいいから」
龍「だったら余裕じゃん」
池本「メインのギターは俺弾くから平気平気!」
龍「は?お前、全部やんの?」
池本「元々一人だし、ギターも練習してるから大丈夫……だと思う」
龍「すげーのな。お前。軽く天才じゃね?」
池本(軽く天才ってどーゆー意味……?)
華(昨日から全然鈴木くんと話せてないっ!鈴木くんは池本くんとばっかり話してるし…。はぁ……)
玲「あぁっ!?龍がギター持ってる!?」
龍「…なんだよ。これ、俺のじゃねーし」
玲「へ?じゃあ、誰の?」
池本「俺のですが…」
玲「…誰だっけ?」
池本「池本だよ!?いい加減、名前覚えて下さい!?」
玲「へぇ〜!地味な顔してギターなんてやってんだぁ!凄いじゃない!」
池本「地味な顔でごめんなさい」
玲「あ、ごめん。つい本音が…」
池本(やっぱり伊藤さんって……苦手の部類だ……)
――その日の放課後…
ジャジャジャ〜〜ンッ
龍「………。」
(放課後の教室に一人残り、池本に借りたギターを弾く龍)
龍(適当に弾いても結構、いい音出るじゃん)
華「………」
(廊下から教室にいる龍を見る華)
華(……人生最大のチャンス到来!?今わたしが教室に入れば鈴木くんと二人きりに…!)
龍「………」
華(かっこいいなぁ…。鈴木くん…。)
龍「いつまでそこにいる気だよ?立川」
華「うわっ!?どうしてわかったの!?」
龍「横から普通に見えたし。バレバレ」
華「あ…あはは…。隠れてたつもりだったんだけどなぁ…」
龍「…?なんで隠れんだよ?」
華「それはー…」
鈴木くんに
わたしの気持ちを言おうと思った………。
〜ラストチャンス〜
完。