Cheese53〜誤解〜
高橋先生と梓さんの結婚式に行った翌日、わたしは学校に向かっていた。
華(今日は鈴木くんに会える!なんか…嬉しいな)
「びえぇぇぇんっっ」
池本「困ったな…」
華「???」
わたしの前方に大声で泣く小さい女の子と池本くんが立っていた。
華「池本くーーん!おはよう!どうしたの??」
池本「えっ?あ、おはよう。実はさ……」
女の子「ひえぇぇぇんっっ」
華「この子は??」
池本「迷子らしいんだよね。でもどこから来たのか聞いても答えてくれないし…」
華「……よし。ほら!これあげるよ〜」
(鞄の中からチーズ味の飴を取り出す華)
女の子「…ぐすんっ」
華「おいしいよ〜?」
女の子「食べる!」
華「あげるから、もう泣いちゃダメだよ?」
女の子「うんっ!」
華「よし!いい子いい子〜」
(飴を女の子に渡す)
池本「………」
女の子「……」ぱくっ
華「ね?おいしいでしょ〜?」
女の子「………まずい」
華「あれ?おかしいな…」
池本「…ぷっ、はははっ」
華「む〜!!笑うなぁーー!」
池本「ごめんごめん」
女の子「お家に帰りたい……」
華「!どこから来たのか覚えてる?」
女の子「わかんない……。お家の窓からネコさんが見えて追い掛けたの」
池本「君の名前は?」
女の子「山本 凜」
池本(「ダ」と付けたい……。いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃない…)
華「山本リンダさんと名前が似てるねー!」
池本(言ったーーー!?)
凜「だあれ?その人…」
華「うん。大人の人。それより、一緒にお家探そう!」
池本(リンダ流し……)
凜「……でも……ここがどこかわからない……」
華「大丈夫!なんとかなるよ!!」
池本「俺、山本さん家が近くにないか探してくるよ」
華「じゃあ、わたしはこの辺にいる人にこの子のこと知ってる人がいないか探してみるよ!」
池本「俺もなるべく人に聞いてみるよ。何かわかったらすぐ戻るから」
華「うん!待ってる!」
その後、池本くんと別れ、わたしは凜ちゃんと共に周辺の人の情報を集めに行った。
おばあさん「……」
華(あの人に聞いてみよう!)
わたしは前方から歩いてくるおばあさんに話しかけることにした。
華「あのー…」
おば「……」すたすた
(華の横をすり抜けるおばあさん)
華(ありゃりゃ…?)
華「すみません!少しお尋ねしたいことが……」
おば「はあー?」
華(だ…ダメだっ…。全然伝わってない…)
おば「わたしになにかよ〜かい?」
華「えっと…、この子が迷子なんです…。何か知りませんか?」
おば「ああ〜!梅干しは大好物だよ」
華「?????」
凜「うっ…ううっ……お家に帰りたいよぉ……」
おば「お嬢ちゃん達、飴は好きかい?ほれ。あげるよ」
凜「ほんとー!?」
華「わ〜い!」
池本「何してんの…?立川さん…」
華「はっ…!?」
池本「まあ、いーや。山本 凜ちゃんを探してる人を見つけたから連れて来た」
凜「ママ!!」
凜の母「凜!!一人で出歩いたりしてっ……!心配したのよ!?」
凜「……ごめんなさい」
凜の母「でも……無事でよかった……。本当にありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか……」
池本「いえいえ。それよりも、娘さんのことしっかり見とかなきゃ駄目ですよ?母親なんですから」
凜の母「おっしゃる通りです……。迷惑をかけました…。すみません」
華「凜ちゃん!もうお母さんの傍を離れちゃダメだよ?」
凜「うんっ!ありがとう!お姉ちゃん!お兄ちゃん!」
華&池本「どういたしまして」
凜ちゃんが無事、お母さんの元へと帰って行くのを見送った。
………が、
ドタドタドタッ
(二人揃って学校に駆け込む)
………ガラガラッ
(教室の扉を開ける)
池本「遅れました!!」
華「すみません!!」
高橋先生「なんだなんだ〜?二人揃って遅刻か〜?だらし無いな〜?もういいから席につけ〜」
華「……へ……?」
クラス女子「さっきから先生がデレデレ〜っとしてんの。キモいったらないよ」
クラス男子「池本ー!ラッキーだったなー!怒られずに済んで」
池本「おー!ラッキーラッキー」
……ガタッ
(席に着く池本)
華(ホッ…。よかった〜…)
わたしも安心して席に着くと……
龍「仲いーじゃん。お前」
華「……え…?」
龍「池本と」
華「――――」
龍「あ〜、わりぃ。図星?」
華「……………か」
龍「?」
華「…………ばか」
龍「は?」
華「もう……いいです………」
勘違いなんて………
してほしくないよ……………。
〜誤解〜 完。