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とろけるCheese  作者: KoKoRo
49/156

Cheese49〜山田の正体〜

下校時刻を過ぎた学校で、わたしは山さんに出会った。




華「なんで山さんがここに?」



山田「なんでって……」



華「や、山さんは確か大学生で……カフェでバイトをしてて……こんなところにいるはずは……」



山田「カフェでバイトってとこだけ当たってるよ。…大学生ってのは嘘だけどね」



華「どうして嘘なんてついたんですか?」



山田「大学生って言っといた方が遅くまでバイトやらせてくれるしね。マスターにバレるの嫌だったから嘘ついた。…ごめんね」



華「いえっ!でもびっくりしましたよ!」



山田「むしろびっくりするのはこっちの方だよ?」



華「へ?」



山田「なに!?この臭い!?くさっっ」



華「あ〜、え〜〜と、これはですねー…」



薄井「うっげほっっ!!」



華「あ!薄井先輩…」



薄井「危険だ……。このチーズは危険すぎるっ!!」



華(自分で作り出したくせに今さら何を言ってるのーーー!?)



山田「写真部、それから何とか同好会ペナルティー1っと」



薄井「Cheese同好会だ!!それになぜ山田がいるんだ!?」



山田「説明するのが面倒なんで、俺はこれで。ペナルティー3つ貯まったら活動停止になるからそのつもりで。」



薄井「必要最低限のことしか話さないつもりかい?君は一体何物なんだ!?」



山田「3年G組、風紀委員長やってる山田ですけどそれが何か?」



薄井「………は?」



山田「マスターには内緒にしといてくれるかなぁ?じゃ、俺はこれで」




そう言い残し、山田は写真部室を出て行った。



薄井「年齢詐欺か?奴は???」



華「本当、びっくりですよね!山さんがこの学校の三年生で先輩だったなんて」



薄井「………何か裏がありそうだ…」



華「?」








その後、目を覚まさない野高先輩を薄井先輩が担ぎ、私達は学校を出た。




華「なんだか担いでばっかりですね?先輩」



薄井「何がだい?」



華「この前も、鈴木くんが倒れた時に先輩が担いで保健室まで行ったじゃないですか」



薄井「鈴木…?ああ、あの不良少年か!」



華「ふふっ」



薄井「何を笑ってるんだ?花子」



華「薄井先輩って、見た目と違って意外と優しいですよね」



薄井「……ほっときたまえ」








しばらく薄井先輩と話しながら帰り道を歩いた。

いつもはすごいテンションで話す人なのに、この日だけは穏やかに話しをしてくれた。


野高先輩を起こさないように気を使っているのだろうけれど、なんだか不思議な感じだった。








その日、家に帰ってからわたしはあることに気付いた。



華(そういえば……池本くんからそーるどあうとのCD、借りたままだった〜〜!!早速今聞いてみよう!)





………ポチ



(CDプレーヤーのボタンを押す)



「♪♪♪♪♪♪♪♪」




華「………………………………?????」








―――翌日―――


学校に着いたわたしは早速池本くんの元へ行った。



華「池本くん!」



池本「え…?ああ、立川さん。どうしたの?」



華「そーるどあうとのCDありがとう!全部聞いたよ!」



池本「本当?どうだった?」



華「………正直に言うと、わたしにはよくわからなくて……。せっかく借りたのにこんな感想しか言えなくてごめんね…」



池本「そう言うと思ったよ」



華「……え?」



池本「俺はこの曲聞くとスカッとするけど、やっぱり女の子には難しい曲だったかな」



華「ご…ごめんね…」



池本「ううん。別にいいよ。…やっぱ立川さんにはエルレを聴いてほしいな」



華「えるれ?」



池本「うん、そう。エルレガーデン。いいバンドだし、いい曲ばっかりだから、よかったらまた聴いてみてよ」



(華にCDを渡す池本)



華「でも……」



池本「聴くだけでいいから。」



華「うん!ありがとう!」



池本「………。」







こうやってCDを貸せば、また俺のところに来てくれる。







俺は君と話す口実をつくっているのかもしれない……。






でもその曲だけは…




君に聴いてほしい。





何か伝わるものがあればいい……。








わたしは池本くんの席を離れ、自分の席に着いた。



華(……ELLEGARDEN)



雅「おはよう。華ちゃん」



華「あ!おはよー!」



雅「…?何そのCD?」



華「池本くんに借りたんだけど……雅ちゃん、このバンド知ってる?」



雅「さあ?知らないけど。外人?」



華「う〜ん?洋楽…かなぁ??」







元々音楽をあまり聴かないわたしが、この曲を聴いてから大きく変わっていくことをこの時はまだ知るよしもなかった。









〜山田の正体〜 完。



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