Cheese48〜異臭チーズ〜
殺人チーズ事件から数日後、気がつくと季節は梅雨に変わっていた。
びろ〜〜んっ
雅「ああっ!?また跳ねた!?これだから湿気ってやつは……」
玲「あんたは元からパーマ頭なんだからほっといてもバレやしないわよ」
雅「そーゆー伊藤さんこそ、その湿気でうねった髪形を何とかしたらどう?」
玲「これはうねりじゃないのよ。寝癖よ」
龍「………アホくせ」
玲「今なんか言った?龍〜?」
龍「女なら身嗜みぐらいしっかりやれってんだよ」
玲「あんたこそ何?そのボサッとした頭!」
龍「馬鹿言ってんじゃねぇ。これが流行のヘアースタイルなんだよ」
華(どう見てもただの寝癖にしかみえない…。でも、かっこいいっ!!)
………サラッ
(雅が華の髪に触れる)
華「!!」
雅「華ちゃんの髪はサラサラね」
華「そんなことないよ?枝毛がいっぱいだもん」
雅「そう?」
華(び、びっくりした…!やっぱり雅ちゃんって男にみえないや……)
………ガラガラ
(前の扉から高橋先生が教室に入る)
高橋先生「おーーい!みんな!席につけ〜!数学始めるぞー」
玲「先生〜?まだ休み時間なんですけど?」
高橋先生「実は今日、君達に大事な報告がある!わたくし、高橋 武 28歳は……昨日、婚姻届けを提出した!」
クラス男子「は?」
クラス女子「それってまさか……結婚したってこと!?」
高橋先生「その通り!挙式は今月の10日に挙げる予定だ!以上!」
クラス男子「ひゅ〜!のろけかー!?」
クラス女子「なんかあたし、ショックなんですけど?」
雅「………」
華(高橋先生……、それだけ…?何で言わないんだろう……)
ガタッ
(華はゆっくりと席を立った)
華「あの……先生」
高橋先生「ん?なんだ?立川」
華「高橋先生が結婚をする相手は雅ちゃんのお姉さんだってどうして言わないんですか?」
雅「華ちゃん!?」
華「ちゃんと言ったほうがいい!!言わないほうが変だよ!!」
雅「………」
龍「……マジかよ」
高橋先生「…皆、驚くかもしれないが僕は佐藤のお姉さんと結婚をした。綺麗で優雅で……妹想いの優しい人だ」
クラス男子「別に佐藤さんと先生が結婚するわけじゃねーんだし、そんな驚かないっすよ」
クラス女子「おめでとうございまーす!」
高橋先生「皆……、ありがとう」
華(これで一件落着…かな?)
雅「……ありがとう」
華「ん?」
雅「なんでもない」
その日の放課後……
写真部室にて。
薄井「T.Tが結婚宣言!?」
華「はい!もう堂々とした口調で言ってました!」
野高「へぇ…。みんなに報告したんだ?高橋先生」
薄井「T.Tのくせに生意気だっ!」
華「でもなんだか羨ましかったです。高橋先生、今日ずっと幸せそうな顔してましたから…」
薄井「それはそうだろう?愛する人と結婚できたのだからね」
野高「……らしくないこと言うなよ。薄井」
薄井「らしくないとはなんだ!?失敬だな!」
華「あの、全然関係ない話しになるんですけど…さっきから何か臭いませんか?」
ぷ〜〜〜〜ん
(何処からか異臭が漂う写真部室内)
野高「本当だ…。何か生臭いような、何処かで嗅いだことあるような……?」
薄井「ああ、これのことか?」
………ジジーーッ
(鞄のチャックを開ける薄井)
もわ〜〜〜〜〜んっ
(チャックを開けたと同時にこの世のものとは思えない程の異臭が広がった)
薄井「ぐぇっ!?」
野高「う゛っ!?」
華「げほっ!?」
………バタッ
(あまりの異臭に全員気絶)
―――それから2時間が経過した………。
華
ようやく目を覚ます華。
華(あれ…?わたしなんで倒れてたんだっけ??)
薄井「………」
野高「………」
華(二人とも寝てる…?そっそうだ!?薄井先輩の鞄から異臭が出て気絶したんだ!?)
―――時刻は6時を過ぎていた。
華(うわっ!?下校時刻過ぎてるよ〜〜!?)
………コンコンッ
(写真部室の扉をノックする音がする)
……ガラガラ
(写真部室の扉が開く)
風紀委員長「すいませーーん。もう下校時刻過ぎてんですけどー?」
華「……え?」
山田「!?やっべ……」
華「やっ…山さん!?」
わたしの目の前に制服を着た山さんが……。
一体、どうして…?
〜異臭チーズ〜 完。