Cheese46〜ゴキブリ女、襲来〜
テストが終わって数日が経過したある日の放課後。わたし立川 華はいつものようにCheese同好会に参加していた。
薄井「ついに完成したぞ。花子……」
華「何がですか?」
薄井「ブルーチーズだよ」
華「ブルーチーズ!?あの伝説の青カビが入ったチーズ…」
薄井「見たまえ!!!」
薄井は鞄から明らかにぶつ切りしたと思えるチーズを取り出した。
ぷ〜〜〜〜〜ん
(異臭を放つチーズ)
野高「くさっ!?薄井!!危険物を出すな!?」
薄井「危険物ではない!ブルーチーズだ♪」
華「………青カビじゃない…。むしろ黒カビ…」
薄井「天然カビと言いたまえ!僕の鞄の中ですくすく育って生まれたのだからね」
野高「鞄の中?まさかそのチーズ、ずっと鞄の中に入れてたのか!?」
薄井「その通りだ♪」
華「ヒィィィーー!?」
野高「それ青カビ云々の問題じゃないだろっ!?絶対腐ってるよ!!」
薄井「何言ってんだ?皆で試食だ」
野高「ヒィッ!?……お……お腹が痛い……」
華「わたしもお腹の調子が……」
薄井「二人揃って仮病を使うとはいい度胸だね…?一口でいいから食いたまえーーー!?」
ドガッシャーーーン
(廊下で物凄い音が響く)
薄井「!?」
野高「今の音って……何の音…?」
華「ちょっと様子を見てきます!」
野高「俺も行くよ」
そう言って二人は薄井の元から離れていった。
薄井「どさくさに紛れて逃げるんじゃない!?」
…………ガラガラ
写真部室の扉を開け、廊下を見ると……
??「…………」
三つ編みの少女が派手にこけたような状態に倒れていた。
華「だだだ大丈夫ですかーーー!?」
??「…………」
薄井「殺人事件だ……。犯人はこの中にいるに違いないっ!?」
野高「話しを勝手に繰り広げるな!?」
??「……げほっ」
華「生きてるみたいです!!」
薄井「ん?何だ?これは……」
薄井は廊下に散らばっていた紙を一枚拾い上げた。
薄井「風紀取締強化週間?なんだこりゃ??」
野高「ああ…。風紀委員会の仕事だよ。それ」
華「じゃあ、ここにいる人は風紀委員さん?」
??「ごっ……ぎゃばぎょぼべひ〜〜んっ」
(突然ゴキブリのような動きをする)
華「ヒィィィーー!?変です!この人、変ですっ!!」
薄井「僕より変な奴がいてたまるかっ!!」
野高&華(自分で言うなーーー!?)
??「……はっ!」
華「気がついたみたいです!」
??「私としたことがとんでもない失態を……!?早く戻らないと先輩に怒られる…」
薄井「やい!そこのゴキブリ少女。廊下に散乱していた紙は拾っておいたぞ」
??「ありがたき幸せ!感謝します」
薄井「面白いことを言うんじゃないっ!!僕より変な行動を取ったら許さないぞ!」
野高&華(何様だーーー!?)
??「失礼ですが部活をやられている方々ですか?本日から風紀取締週間ですから6時までには学校を出て下さい」
薄井「6時!?今何時だ?」
??「5時55分55秒です。早く帰って下さい」
薄井「やなこった〜!ブルーチーズの試食もまだしていないんだぞ?帰れるはずがない」
??「い…委員長に怒られる……」
野高「俺、帰るよ。薄井。試食は一人でやりなさい」にっこり
華「わたしも帰ります。試食は薄井先輩だけでやって下さい!」
薄井「裏切る気かねっ!?」
??「……さっさと帰ってくんないかなぁ。こんちくしょう。」
(本人は小声で言ったつもり)
薄井「聞こえてるよ…。ゴキブリ少女」
??「お願いですから帰って下さい。でないと……委員長に訴えますよ」
野高「もう帰ろう。薄井」
薄井「…仕方ないな。今日のところは帰ろう」
??「お気をつけてお帰り下さ〜い」
………三人が校内を出たのを見送り、私はしばらく見回りを続けた。その後、風紀委員会の活動場所へと戻った。
………ガラガラ
??「田奈 恵、ただ今戻りました。」
風紀委員長「おかえり。早速で悪いけど、作業報告頼むよ。ちゃっちゃと報告書かいて帰りたいし」
田奈「………はい」
わたしはこの人が
苦手だ。
〜ゴキブリ女、襲来〜 完。