Cheese43〜ぎこちない感情〜
高校生になって初めての中間テスト。
それなのに、わたしは勉強の一つもしていなかった。
華(テスト1日目は数学と現代国語!?ひえぇ〜〜!?)
龍「なに焦ってんの?」
華「べっ…勉強を……しなきゃと思いまして……」
龍「…まぁ、頑張れ」
華「……はい」
華(なんでだろう…。いつもみたいにうまく話せない…。)
雅「華ちゃ〜〜んっ!」
華の席に近寄る雅。
龍「うーわっ、来んな!つーか寄んなっ!」
雅「失礼ね〜?用があって来ちゃ悪いの?今日の放課後、勉強会しようって誘いにきただけなのに」
華「勉強会!?」
雅「そう!放課後にやらない?テストも近いし」
華「やるっ!やりたいですっ!!」
玲「じゃあ、あたしも参加しよっかな〜?部活もないし」
雅「……チッ。せっかく華ちゃんと二人でやろうと思ったのに」
龍「俺も混ざっていい?」
華「え!?」
龍「なに?駄目?」
玲「別にいいよね?華」
華「う、うん……」
龍「?」
そして放課後。
みんなで勉強会をするため、教室に残って勉強の準備をした。
玲「さ〜てと!まずは数学から……教えて!華!!」
華「わっわたし、数学って苦手で…玲に教えてもらおうと思ってたんだ……」
玲「あたし、馬鹿よ?」
華「………え?」
雅「うっそ〜ん?二人共馬鹿なん?」
龍「頭いい奴いねぇと勉強になんねーじゃん」
玲「龍!あんた、頭よくなかったっけ?」
龍「俺も相当バカだけど?」
雅「んだよ〜、意味ねぇー…」
華「……そんなことない。」
玲「どうしたの?華」
華「鈴木くんは…頭いいと思う。前に難しい漢字の読み、教えてくれたもん」
龍「……よくねーよ。つーか、まず自分らで問題解いてかねぇ?わかんないとこ全員で考えりゃ、答え出んだろ」
玲「なるほど。じゃあ、そーしますか!」
華(やっぱり……なんか変だ……。わたし…)
しばらくみんなで問題を解いていた。
そんなとき、どうしてもわからない問題が出てしまった…。
華「玲、ここの問題ってどうやるかわかる?」
玲「どれどれ〜?さ……佐藤さ〜ん、ちょっと助けてもらえるかしら〜?」
雅「あらあら?伊藤さんも頭がお悪いよう……で……?」
華「二人とも…ど、どうしたの?」
玲「龍〜〜?あんたなら分かるんじゃない?」
龍「は?何処の問題だよ?」
華「………!」
龍「あー…、ここ、たりぃ計算の公式使うんだよな。」
玲「華!よかったね!龍がわかるってよ」
華「えっ…あ、うん」
龍「そんな隅っこいねーでこっち来いよ。教えるから」
華「……うん」
わたしは鈴木くんのもとに近寄った。
龍「ここはこの公式使うんだよ。数字がでけーから計算ミスに注意すりゃあ、立川でも自力で出来んじゃね?」
雅「うわ〜。冷たー!氷並に冷たすぎ。鈴木くーん。もっと丁寧に教えてあげればー?」
龍「自分でやって理解した方が覚えんだろ」
華(なんで……?さっきから鈴木くんの声が頭に入ってこない…)
龍「立川、とりあえずやってみ?」
華(……香水の………匂い………)ドクンッ
…………ガタッ
龍「立川!?」
華「ご…ごめんなさい。わたし、今日は帰るね……」
玲「えっ?華!?」
…………心臓が脈を打った…………
わたしは鞄を持ってそのまま教室を出た。
ドキドキして…
苦しくて…………
…………バタンッ
気がつくとわたしは自分の部屋に閉じ込まっていた。
華「――――」
………コンコンッ
控えめなノックの音がした。すると扉の向こうから葵の声がした。
葵「……姉ちゃん。どうしたの?」
華「………わたし…」
葵「うん」
華「わたし……、あの香水つけた人のこと………」
葵「……え?何?姉ちゃん、聞こえないよ」
華「……………」
……苦しいほど
好きみたい………
〜ぎこちない感情〜
完。