Cheese37〜噛み合わない二人〜
コーヒーカフェのマスターさんに初めて会えたその日、帰宅しようとカフェを出ようとしていた。
薄井「よ〜し!帰るぞ〜♪」
山田「立川さん一人で帰るの?送ろうか?」
華「いえ、大丈夫ですよ?それに山さんはまだバイトですよね?」
山田「あ、そうだった…」
高橋先生「立川は電車通学だったな?方向が一緒だから先生が送ろう」
華「…………」
高橋先生「そんな嫌そうな顔しないでくれよ……。」
薄井「マスターさん!いいんですか〜?T.Tが若い子を狙ってますよ〜?」
高橋先生「狙ってないっっ!!」
梓「武さんはそんな人じゃないって信じてるから…。それに夜道を女の子一人で行かせるのは危ないでしょ?」
山田「ああ、安心して下さい。バイトが終わったら、マスターは俺が責任もって送りますから」
高橋先生「…じゃあ、よろしく頼むよ」
野高「………」
こうしてわたしは高橋先生に送られることになった。
高橋先生「立川、歩くの速くないか??」
華「きっ…気のせいですよ?」
………すたすたすた
高橋先生「……立川、先生が嫌いなんだな」
華「………。」
…………ぴた
立ち止まる華。
高橋先生「立川?」
華「わたしと先生って…今、人にはどう見えてるんでしょう?」
高橋先生「……え?」
華「本当っ鈍いですね!同じ学校の人が見たらきっと、変に思いますよ!?」
高橋先生「立川はそれを心配して…?」
華「送ってくれるのは嬉しいんですけど、高橋先生は変に優しすぎますよっ!」
高橋先生「ご、ごめん……。」
華「………。」
――――クラッ
華(………あれ?今、一瞬……目眩が……)
高橋先生「立川?」
華(先生が………ぼやけて見える………)
……………バタッ
高橋先生「立川!?」
視界がぼやけて目の前が真っ白になった。
わたし……どうなっちゃうの…………?
…………………………
気がつくと目の前に白い天井が見えた。
華(ここは…何処?)
??「あら。気がついたみたいね」
華「………病院?」
女医「ええ。そうよ」
華「もしかしてわたしは……悪い病気にでもかかったんでしょうか………??」
女医「そうじゃないわ。だけど女子高生が倒れたって聞いたときは妊娠じゃないかと思ったわよ。でも違うみたいで安心した」
華「………貧血?」
女医「お腹は痛くない?」
華「そういえば……痛いです……。」
女医「生理よ」
華「………へ?」
女医「最近の子に比べたらあなたは遅いほうよ?」
華「生理……ですか……。」
女医「あなた、彼氏はいるの?」
華「いませんっ!!」
女医「そう…。なら、忠告しておくわ。好きな人ができても、むやみに性行為はしないこと。それから…ちゃんと避妊してくれる相手を選びなさい。」
華「…………。」
女医「女子高生が妊娠してよくここに来るのよ。泣き出す子もいるけど、どうにもしてあげられないから…」
華「………はい。」
わたしは鞄から洗濯するはずだったジャージを取り出して履き、病室を出た。
すると廊下の椅子に高橋先生が座っていた。
高橋先生「立川!大丈夫か!?」
華「先生、ずっとここにいたんですか?」
高橋先生「ああ、いたよ。今、立川のご両親に電話をしようと思ってたんだ」
華「しなくていいんです……。わたし、生理になったみたいです」
高橋先生「立川……?そんな直球で男には言わないほうがいいぞ?」
華「……高橋先生はちゃんと避妊とかしてますか?」
高橋先生「ななっなんでそんなことを聞くんだ!?」
華「病院の先生に、ちゃんと避妊してくれる相手を選べって言われたんです……」
高橋先生(まさか……立川は僕のことを好き……なのか……!?)
華「………」
高橋先生「…」ドキッ
高橋先生(いやいやいや!?ドキッって何だ!?立川は僕の生徒だ!それに僕には梓さんという大事な婚約者がいるんだぞ!?)
高橋先生「…立川、ごめん。」
華「なにがですか?」
高橋先生「へ?」
華「好きな人もいないのにそんなこと言われてもよくわかんないんです……。」
高橋先生「おっ…脅かすなよ……。立川…」
華「だから、なにがですか??」
高橋先生「いや、こっちの話しだよ……。」
華「??」
高橋先生「…とにかく、そうゆうことは好きな人ができてから悩めばいいんじゃないか?」
華「え……?」
高橋先生「今悩んだってしょうがないだろ?困ったときはいつでも先生が相談に乗ってあげるから!」
華「相談はちょっと………」
高橋先生「あ、そう……。」
華「……でも」
高橋先生「ん?」
華「ありがとうございます…。」
…本当は少しだけ、
頼りになる先生だなって思ったんです……。
〜噛み合わない二人〜 完。