Cheese35〜マスター見参〜
………放課後、
Cheese同好会に向かうわたし、立川 華。
華(今日は野高先輩の写真が見れる〜〜♪)
すると突然、写真部室から薄井先輩と野高先輩が同時に出てきた。
薄井「花子ーー!」
華「へ?」
薄井「今日の活動はカフェで行う!今すぐUターンして昇降口へ行っくぞ〜い♪」
野高「ごめんね。立川さん。急にバイトが入っちゃって…」
華「いえっ!大丈夫です!」
野高「はい、これ。」
野高は一冊のファイルを華に渡した。
華「これは…?」
野高「約束してた写真。カフェで見てていいよ」
華「!!ありがとうございます!」
薄井「ほら!早くしたまえ〜〜っい!」
こうして、わたしは先輩達とカフェに向かった。
………カランカランッカフェに着き、扉を開ける薄井。
薄井「たのも〜〜!」
山田「いらっしゃいま……」
華(……。なんか…気まずい………)
野高「どうしたの?立川さん。あっちのテーブル空いてるから座ってていいよ」
華「はい…」
薄井「大丈夫か?」
華「…え?」
薄井「いや、なんでもないよ」
華(薄井先輩、心配してくれてるのかな?)
しばらくわたしは野高先輩が撮った写真を眺めていた。
華(どれもみんな味があるなぁ…。)
薄井「つまらん写真だ」
華「そんなっ!?どれもすごく綺麗に撮れてますよ!!」
薄井「確かに一枚一枚、丁寧に撮れていてアイツらしい。でも、人物の写真が一枚もない」
華(そう言われてみれば……)
薄井「僕は人物の写真の方が好きだな」
華「それってつまり、薄井先輩の好みの問題じゃ……」
薄井「なにか言ったかな〜〜?」
華「いえっ!!なんでもないです!!」
…………コトッ
山田が華達のテーブルに水の入ったコップを置いた。
山田「何か…ご注文はありますか?」
薄井「じゃあ、メダカが入れたコーヒーを一つ。」
山田「………。」
華「わたしはー…」
山田「……」
華「山さんが入れたカプチーノを一つ下さい。」
薄井「!」
山田「立川さん、ごめん。それから…、ありがとう。」
華「……」にこっ
薄井「お人よしだな。花子」
華「それ、前にも誰かに言われたような気がします…。」
野高「はい。これ、サービス」
………カタッ
野高はテーブルにチーズケーキを二つ置いた。
薄井「おぉっ!!」
華「わぁっ!!」
野高「二人共好きでしょ?今日は俺のおごりだから遠慮しないで食べてってね」
薄井「たまには気がきくね☆」
華「ありがとうございますっ!!」
………カランカランッ
女の人が一人、店の中へ入ってきた。
山田&野高「マスター!?」
マスター「こんにちはー。ちゃんと働いてる?」
華(わああ!!!凄く美人だぁーーー!)
山田「マスター…。花嫁修業とかで忙しいんじゃないですか?」
マスター「修業はしてるよー?式場とか大体決まったからちょっと様子を見に来たの!」
山田「へー!結婚式はいつですか?」
マスター「なんとか6月に決まりました!」
山田「さっすが〜!ジューンブライドですね」
マスター「それで、今日は紹介しようと思って連れてきたの。わたしの結婚相手……」
……カランカランッ
店内に一人の男が入ってきた。
高橋先生「どうも。始めまして…」
野高「高橋先生!?」
華「高橋先生!?」
薄井「T.T!?」
山田(なんか今一人、違うこと叫んでたような………?)
華(じゃあまさか…ここのマスターさんって……雅ちゃんのお姉さん!?)
マスター「あ、やっぱり皆知ってるんだ?」
野高「当たり前ですよ。俺達が通ってる高校の先生なんですから…」
高橋先生「野高に薄井、それに立川まで何でここに!?」
マスター「野高くんはバイト。そこの二人も武さんの生徒さん?」
薄井「…………プッ」
高橋先生「……今、笑ったな?絶対笑ったな!?」
薄井「まさかここのマスターと結婚するとは……、先生もなかなかやりますね」
高橋先生「う…、うるさいな……」
山田「………」
高橋先生「…あ、どうも。こんにちは」
山田「はじめまして」
高橋先生(…あれ?何処かで見たような顔だな?気のせいか…)
華「あの、マスターさんは雅ちゃんのお姉さん…ですよね?」
マスター「ええ。雅を知ってるのね」
華「知ってます。雅ちゃんが………」
―――いいよね?
―――雅ちゃん……
華「雅ちゃんが男だってことも知ってます」
マスター「!」
高橋先生「――え?」
どうか本当の雅ちゃんのことを話してほしい。
見た目で判断なんかしないで………。
ありのままの雅ちゃんを高橋先生に紹介してほしい。
家族になるのだから……。
〜マスター見参〜
完。