Cheese33〜コイと賞金〜
さてさて今日は5月5日。こどもの日。
わたしの目の前に、家中をはしゃぎ回って喜んでいるのが約一名いる…。
葵「鬼は〜〜内!福は〜〜外!!」
華「逆だよ!?それに今日は節分じゃありませんっ!」
葵「姉は〜〜外!母も〜〜外!!」
母「……。」
…………パコッ
無言で葵を叩く母。
葵「いぃってぇ〜〜!豆まきしてる時ぐらい邪魔すんなよーー!」
母&華「だから今日は節分じゃないっ!!」
葵「とーさぁぁ〜ん!姉ちゃんと白髪バ〜が俺をいじめるよ〜〜」
父「………知らん。」
葵「わあぁぁぁん!!こんな冷凍庫みたいな家族、嫌だぁぁ!!」
華「…さてと。馬鹿な葵はほっといて、出掛けてこよ!」
葵「姉ちゃん、あの香水の匂いつけた男とデートにでも行くの?」
華「なっ!?」
父「なんだとっ!?」
華「違うよ!?男じゃないもん!女だもん!」
葵「じゃあ、俺も行く〜♪」
華「………なんで?」
葵「ほら〜!早くしてよ!?出掛けんでしょーー?」
華「だから……なんで???」
こうして意味もなく、弟の葵はついてきた。
遊ぶお相手はもちろんこの人!
華「玲ーーー!」
玲「華〜!元気してたー?」
葵「ちわ〜っす!」
玲「……誰?」
華「ごめんね。玲…。弟がついてきちゃったの……」
葵「じゃあ、3人で釣り堀に行こう!」
華「なんで釣り堀!?」
葵「今日はこどもの日だよ〜?麻場釣り堀でコイを釣り上げた人に賞金10万円だってさ〜!!」
華&玲「10万…?」
葵「行くでしょーー?」
華&玲「もちろん行きます!!」
葵「じゃあ、行こっか〜♪」
まんまと葵の誘惑にはまってしまったわたしと玲は麻場釣り堀へとやってきた。
玲「よっしゃ!なにがなんでも釣ってやる〜!」
葵「3人まとまった場所で釣らない方がいいよ!姉ちゃんはあっちで釣って!」
華「わかった!」
言われるがままにあっちへ行くと………
??「コイコイコイコイコォォォーーイッ」
華(この声は……まさかっ!?)
薄井「コォォォ〜〜〜イッ!!!」
華(うううううっ!?薄井先輩だぁぁ!?)
野高「……あ゛っ!?今、金色のコイが泳いでいった!?」
薄井「何処だっ!?」
華「何処ですかっ!?」
野高「立川さん!?」
華「………あ……。」
薄井「花子……。僕から100万円を横取りしにきたのかい?」
華「100万円!?先輩…?10万円の間違いじゃ……??」
薄井「100万円だ!僕の母がそう言ったんだぞ!?」
華「だったら尚更、薄井先輩には譲れません!」
野高「かかったーーー!?」
華「えぇっ!?」
薄井「メダカ〜〜〜〜!?」
……………ドカッ
野高を押す薄井。
野高「ぐぇっ……」
薄井「うっははは〜♪100万円はもらった〜〜☆」
龍「…させるかよ」
………プチンッ
ハサミで糸を切る龍。
薄井「のぉぉーー!?なんてことを!?」
華「鈴木くん!?」
野高「イタタタ…。なんなんだよ?薄井。あぁ!?いっ糸が…」
龍「1000万は譲らねぇ」
華「1000万円!?桁が違う……」
野高「君は…!?」
龍「この前はご丁寧に保健室まで連れていってくれてありがとうございました?でも俺はあんたを許してねぇからな」
野高(全然心がこもってない!!)
…すると突然、薄井先輩の奇怪な叫び声が聞こえてきた。
薄井「きしぇえええ〜〜〜!!」
野高「なんだ!?」
龍「まさか!?」
薄井「金…色…のコイがっ……かかったーー!?」
龍「チッ、糸切りだっ!!」
薄井「花子!!」
華「え?」
薄井「花子の足元にある網を投げてくれ!!」
華「……でも……」
薄井「頼むっ!!」
華「!」
わたしは網を掴み、薄井先輩の方向に思いっ切り投げた。
…………ガシッ
網を掴んだ薄井は竿を引っ張り上げてコイを網に入れた。
薄井「獲ったど〜〜〜!!!」
こうして1000万円は薄井先輩が獲得した…と、思ったら……
薄井「釣り堀のおじさ〜ん!金色のコイをこの僕が釣り上げました〜☆ささっ、賞金をくれたまえ♪」
おじさん「はい、おめでとう。賞金の千円ね」
薄井「……は?」
おじさん「へ?だから千円…」
龍「…んだよ、誰だ?1000万円とか言った奴」
薄井&野高(お前だーーーー!?)
薄井「……仕方ない。おじさーん!この千円、500円玉二枚に替えてくださーい」
おじさん「あいよ!」
薄井「……花子!」
…………チャリンッ
華に向かって500円玉を投げる薄井。
華「ふえ?」
薄井「手伝ってくれたから半分上げるよ」
華「先輩……!」
龍「立川。手伝ったからそれ、俺にちょうだい」
薄井「君は邪魔しにきただけだろーー!?」
野高「あはははっ!」
薄井「君は笑いすぎだっ!?」
華「……」くすっ
その頃、葵と玲は……
葵「コイと恋って似てますよね〜」
玲「もう……帰るーーーー!!!」
全く釣りセンスがない二人だった………。
〜コイと賞金〜 完。