Cheese32〜天然で単純系?〜
今日からゴールデンウイーク!
…なのにわたしは学校へと来てしまった。
生徒会室で美味しい紅茶をごちそうになった後、廊下に出ると、微かな音が聞こえた。
わたしはその音色を追い掛けるように階段を上がっていった。
すると……
華(あれ?ここってわたしのクラスの教室……?)
教室の扉は開いていて、中からギターの音が響いてきた。
華(一体誰が…?)
教室の扉に近づいた瞬間、一枚の紙が風に飛ばされて廊下に落ちた。
華(なんだろう?)
わたしはそれを拾い上げた。
拾った紙にはぎっしりと字が書かれていた。
華(なにかのレポートかな?)
紙の一番上を見ると、“死”と書かれていた。
華(………。)
わたしは見てはいけないと思いながらも、そこに書いてある文章を読んでしまった。
書き連なった文章にはいい言葉なんか一つもなくて、はっきり言って荒れた言葉ばかりが並べてあった。
でもなぜか………
悲しくて涙が出た。
??「それ……、読んだの?」
華「!!」
わたしの目の前に池本くんの姿があった。
華「ごっごめんね…。」
池本「………」
華(どうしよう…。怒ってる…よね?勝手に見たからきっと凄く怒ってるんだ……)
池本「それ読んで泣いてる人みたの、初めてだよ」
華「え?」
池本「友達にみせても反応悪いからさ」
華「怒って……ない?」
池本「怒ってないよ。怒るわけないじゃん」
華
池本「これ、あんまり真に受けないでね?俺が日頃、イラついた時に書いたやつだから」
華「それを読んだら生きてる理由がわからなくなっちゃうよ。人に幸せがないみたい…」
池本「真に受けてるよ…。それ。…ごめん」
華「あっ謝らないで!凄いなって思ったんだよ!?さっきのギターの音も池本くんが弾いてたんだよね?」
池本「凄くなんかないよ。俺より上手い奴なんて世の中にいっぱいいる」
華「でも…それでもこの学校で1番上手いのは池本くんだよ!!わたしが保証するっ!」
池本「立川さん……。ありがとう」
救われる。
そんなことを言ってくれる人は初めてだったから………
池本「ところで立川さんは何で学校に来てるの?」
華「へ?ぶっ…部活だよっ!?」
池本「へ〜。熱心だね」
華「そう言う池本くんは何で学校に??」
池本「俺?俺はー…、ギター同好会の活動中。そしてボーカル担当!」
華「凄いっ!すごーーいっっ!!…あれ?でも他のメンバーは!?」
池本「いない!俺一人!」
華「…………え゛?」
池本「………え?」
華「それじゃ……バンドが組めないよ……?あっ!ソロ活動!?」
池本「いや、メンバーに入れたい人はいる」
華「歌って?」
池本「はい!?」
華「池本くんの歌声が聞いてみたい!!」
池本「………無理。」
華「………ケチ。」
池本「俺の歌は文化祭で披露しますからそれで許して下さい!……OK?」
華「やっぱり…一人で歌う気なんだ…。ソロでも頑張ってね!?」
池本「………立川さんって人の話を聞かない時があるよね……。」
華「ぼへっ!?」
池本「………ぷっ」
華「あ゛!?笑ったな〜〜!!」
池本「なんか…立川さんのその変な反応、好きかも」
華「…え…?」
華(いいい今っ…好きって………???)
池本「やっぱ俺、天然って好きだな〜!友達にもそうゆう奴いっぱいいるし…」
華「天……然……」
池本「うん」
華「〜〜〜〜っ!!」
………バフッ
池本に向かって鞄を投げる華。
…………パシッ
それを受け止める池本。
池本「……おっと」
華「わたしはっっ…」
池本「?」
華「天然じゃなくて単純なのっっ!!!」
池本「自分で言う人初めてみたーーー!?」
華「……ぷっ、あはははははっ!変なツッコミ〜〜!!」
池本「悪かったな…」
なんだか池本くんとはいい友達になれるような気がした……。
〜天然で単純系?〜
完。