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とろけるCheese  作者: KoKoRo
24/156

Cheese24〜雨の中、再会〜

4月28日…消毒液臭い事件は歴史に残してもよいほどの臭さが教室中に広がった。



その数日後の放課後、わたしはいつも通りCheese同好会を行う写真部室に向かっていた。



……………ガラガラ

写真部室の扉を開ける


華「失礼します」



野高「…………」

野高は部屋の奥で背を向けて座っている。




華(わたしが来たことに気付いてないのかな?)



野高「……」もぐっ



華(???何か食べてる…?)



野高「……」もぐもぐ


華「野高先輩!」



野高「ふぇっ!?立川さん!?」



華「こんにちはー!何か食べてるんですか?」



野高「ななななんでもないよっ!?」


……ガサッ

持っていた袋をとっさに隠す。



華「あっ!!今、何か隠しましたねっ!?」


野高「へっ?さ、さあ?なんのことかな?」


………にょきっ

薄井「隠しても無駄なのだよ〜〜んっ♪♪」



………バサッッ

急に湧いて出た薄井が野高の手から袋を奪う


野高「薄井!?返せよっ!?」



華「その袋は一体!?」



薄井「メダカがこの世で最も愛してやまない…マシュマロ〜んだっ☆」



華「マシュマロッ!?野高先輩っ!!マシュマロが好きだったんですか!?」



野高「なんでバラすんだよ!薄井っ!?」


華「わたしもマシュマロ好きですよ!?」



野高「本当?じゃあそれ一つ食べてみて?あんずジャム入れで結構うまいんだ」



華「残念ながら無理みたいです……」



野高「え?」



薄井「……」もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……


袋のマシュマロを全部頬張る薄井の姿があった。



野高「何で全部食べるんだっ!?期間限定品なんだぞ!?最後の一袋だったのにっ!」


華(そこまでマシュマロが好きなんだ……)


華「あ!いいこと思いつきました!!薄井先輩!わたし、今日は帰ります!!」



薄井「そうか!…ってなんでそうなるんだねっ!?」




華「いいことを思いついたんです!とにかく今日は帰ります!明日は必ず来ますから!さよならっ!!」



薄井「待ちたまえ!?花子ーーーー!?」



野高「俺も帰ろうかな」



薄井「メダカくんまで僕を見捨てる気かい!?」



野高「常に見捨てたいと思ってるよ…」


薄井「……うぐっっ…おぇ〜〜」



野高「薄井っ!?どうしたんだ!?」



薄井「さっきのマシュマロ全部吐くからそれで許してくれ〜〜…」


野高「本気で吐こうとするのはやめろーーー!?」



薄井「はっ!?待てよ?明日からゴールデンウイ〜〜クじゃなかったかい?」



野高「そういえばそうだね」



薄井「花子め。明日来るなどと嘘をついて逃げたなっ」



野高「…立川さんはそんな子じゃないと思うよ」



薄井「僕もそう思う」


野高「あはは!なんだよそれ…」



薄井「……優」



野高「なに?」



薄井「5月3日はなんの日か覚えているかい?」



野高「……忘れたことなんてないよ」






その日、まっすぐ家へ帰ったわたし立川 華はある準備のため冷蔵庫をあさっていた。


華「お母さ〜〜ん!カマンベールチーズってないっけーー!?」



母「カマンベールなら1番上の棚に入ってるわよ?…何か作るの?」



華「うん!あっ!!マシュマロってないよね?」



母「ないわよ。あんな味がないもの…」



華「そっか。じゃあ買わないと!ちょっと行ってきまーーす!」



………バタバタッッ

走りながら家を出る華


母(あの子が自分から料理するなんて珍しい。明日は雨ね…)







次の日。雨が降りしきる中、わたしは学校へと向かっていた。



華(それにしても今日は制服着てる人が少ないなぁ。学校が休みなわけじゃないし…)



「♪♪♪♪♪」

突然、わたしの携帯が鳴った。



華(あれ?お母さんからだ…)



華「もしも〜し」



母『あんたこんな朝早くに制服着て何処へ行くつもり?』



華「へ?学校だよ?」


母『今日からゴールデンウイークなのに?』



華「………ぼぇえぇえぇぇぇーーーー!?」





とりあえず学校に来てしまったわたしは写真部室に向かった。

昨日作った料理を無駄にはできないと思い、学校で食べてから帰ろうと考えていた。




………ガラガラ………写真部室の扉を開けるとそこには……



薄井「おはよう。花子」



華「どうして薄井先輩がここに!?まさか先輩も今日が学校だと思って??」



薄井「…君と同類にしないでくれないかい?僕はそこまで馬鹿じゃないよ」



華「では…なぜ…?」



薄井「優が帰ってくるのを待ってるんだ」


華「野高先輩も学校に来てるんですか!?」


薄井「今学校にはいないよ…」



華「じゃあ何処に?」



薄井「……墓参りだ」


華「………え?」







その頃、野高は雨が降りしきる中、傘をささずにあるお墓の前に来た。




野高「………また……会いに来ました…」





……………

野高はお墓の前にユリの花を静かに置いた。



野高「この場所には似合わない花ですけど、春さんが好きな花だったから持ってきました」





…………ザァーーー

急に雨が強く降り始めた…



野高「……怒りましたか?」







……ザァァァーーー

雨は段々と強くなっていった……




野高「………っ」






雨に紛れて俺は泣いた。




あなたの前に来ると…



もう会えないとわかっていてもあなたの影ばかりを追い掛けてしまう自分がいます。







もしも願いが叶うなら………







もう一度、あなたに会いたい。







〜雨の中、再会〜

完。



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