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とろけるCheese  作者: KoKoRo
22/156

Cheese22〜二人の空間〜

わたし立川華はしばらくの間、Cheese同好会をサボり続けていた。そんなわたしを薄井先輩がわざわざ迎えに来てくれたことが嬉しかった。



そんな薄井先輩が作ったイチゴのレアチーズケーキの味は、とても甘くておいしかった。




その日、いつものように帰りの電車を待っていたら駅のホームである人に出会った。



華(ん?あれって……鈴木くん?)



龍「……」



華(あ、こっちに来る……)



龍「……立川?」



華「どっ、どうも」


龍「お前、さっき帰ったんじゃねーのか?」


華「すっ鈴木くんこそまだ帰ってなかったんだね?」



龍「帰ったってやることねーし。つーか、お前もこの電車?」



華「うん。…あ!ちょうど電車来た〜♪」



龍「……」




そしてわたしと鈴木くんは電車に乗った。ほとんど席は空いていなかったが、かろうじて二人座れる席が一つ残っていた。




…………ドカッ

鈴木はおもむろに席へと向かい、座る。



華(どうしよう…。立ってようかな……)


龍「なに立ってんの?座れば?」



華「あっ、うん…」



席に座ると、隣にいる鈴木くんの肘に触れた。



華(ひぃぃ〜〜!?電車の席ってやっぱり狭い〜〜!?)



龍「………」


………♪♪♪♪

鈴木はいつものように音楽を聴いていた。


華「鈴木くん!音楽とかっていつも何聴いてるの?」



龍「SOUL'd OUT」



華「……へぇ〜」



華(だっ…ダメだ!?全然知らない……。)


龍「………」



華(鈴木くんって近くで見ると綺麗な顔してるなぁ。)



華(………………って何考えてるんだろ!?そそっそうだっ!?鈴木くんにこれをあげてみよう!)



………ごそごそっ

わたしはポケットから一つ、飴を取り出した。



華「鈴木くん!これ食べてみて?おいしいよ〜〜?」



鈴木「何味?」



華「えーっとね〜、チーズ味☆」



龍「……いらね」



華(がーーーんっ。これじゃあ会話が続かない)



龍「……」



華(鈴木くん、何にもしゃべりかけてくれないなぁ)



しばらく沈黙が続いた。



華(やっぱり何か話しかけた方がいい……よね?)



華「すっ……あれ?」


鈴木くんを見ると、少しだけ寝息をたてて眠っていた。



華(もしかして…眠かったのかな?)



……と、次の瞬間、鈴木が華の方に寄りかかった。



華(なっ!?)



龍「……すぅー…すぅー」



華(どっ……どうしよう!?!?)






その頃、薄井 翔はコーヒーカフェを訪れていた。

そして薄井はカフェの扉を開け、中へと入った。



山田「いらっしゃいませー……ってあれ?金髪くんじゃん。どーしたの?」



薄井「今日花子がカフェに来ただろう?ここを出てから泣いていたんだ。何か知らないかい?」



山田「あ〜…。泣いてたんだ?それ、たぶん俺のせい」



薄井「なにをした?」



山田「キス」



……………ガッ

薄井が山田を殴る。




山田「……ってぇ〜。なにすんだよ!?」



薄井「すいません」


山田「へ?」



薄井「殴ったことは謝りますけど、花子を泣かせたことは許さない」



山田「惚れてんの?立川さんに」



薄井「……知ってるかい?」



山田「なにが?」


薄井「女を泣かせる男は最低なんだよ」



山田「!」




そう言い残し、薄井はカフェを出た。




山田「あ〜……痛ぇ……」








その頃、華と鈴木は…………




アナウンス『まもなく〜終点のー…東京〜、東京です』




龍「………?」

目を覚ました鈴木は状況が理解できていなかった。


華「………」



龍「ここ…何処だ?」


華「東京〜、東京です」



龍「はぁ!?なんで終点まで乗ってんだよ!?」



華「だって……鈴木くんが寄りかかってくるから動いちゃ悪いかな〜って思ったんだもん!?」



龍「馬鹿かっ!?お前!?」



華「ああ!馬鹿さっ!バカだよっっ!!」



龍「開き直んな!?馬鹿!!」



華「うぅ〜〜。ごめんね……鈴木くん…」



アナウンス『東京〜、東京です。お出口右側です』



華「…ごめんなさい」



龍「なに突っ立ってんだよ。もう怒ってねーよ。…早く出るぞ」



華「………」



龍「たりぃな……」






華「!」




鈴木くんはわたしの手を引っ張り、ホームへと降りた。




その時、わたしは繋いだ手の冷たさにびっくりしていた。




龍「次の電車くんのいつだよ……」



華「鈴木くんの手、冷たいね……」



龍「…手、離してくんない?」



華「わわっ!?ごめんっ!!」



龍「……サンキュ」



華「え?」



龍「起こさないでいてくれたんだろ?だから…サンキュ。さっきマジ眠かったから」



華「どういたしまして〜♪」



龍「調子に乗んな」



華「ごめんなさい」





あの時、鈴木くんには言えなかったけど


本当は……



鈴木くんがわたしに寄りかかって眠っていた時、



ほんの少しだけ…このまま時間が止まればいいなんて考えてたんだよ………。






〜二人の空間〜 完。



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