Cheese20〜ハエ女 浅井〜
春の陽気漂う天候に恵まれた今日この頃。
グラウンドでは一転、戦場と化していた。
龍「だから逃げんなっつってんだろ!?」
……………ガッッ
殴りかかる。
野高「だから喧嘩なんか止めようよ!?」
……………ヒュッ
避ける。
薄井「コラーーー!?逃げ回っていないでちゃんと闘え〜いっ!」
野高「お前が言うなーーーーー!?」
その様子を見ていた華達は………
華「やっぱり喧嘩を止めた方がいいんじゃないかな?」
池本「喧嘩じゃなくて誰か薄井先輩を止めてくれ……」
玲「無理ね」
華「うん。無理」
池本「俺だって絶対無理っっ!!」
雅「グラウンドで何かやってるの?」
華「雅ちゃん!?」
雅「あら残念。伊藤さんの頭が邪魔で外が見えないわ〜」
玲「何だって〜?」
雅「聞こえなかったかしら〜?ジャ・マよ」
玲「あ〜ら、ごめんなさ〜い?」
華(こっちでもプチバトル勃発?)
そしてグラウンドでは………
……………ドンッッ
鈴木が野高を壁に追いやっていた。
野高(つ、捕まった!?)
龍「あんたはずるい」
野高「え?」
龍「強いくせに……なんで逃げる?」
野高「……」
龍「俺はあんたみたいに強くなりてぇ…。喧嘩で絶対負けない強さが欲しい。なのにあんたは逃げることしか考えてねーじゃねぇかっ!!」
野高「逃げることが悪いって俺は思わないよ」
龍「!!」
野高「だって相手を傷つけずに済むじゃない」
………………ドッ
(龍の腹部にパンチ)
龍「なっ…」
………………ドサッ
殴られた鈴木はその場に倒れる。
野高「…ごめんね」
倒れた鈴木を野高が抱えていた次の瞬間……
ピピーーーーーーッ
突然、グラウンドに笛の音が鳴り響いた。
野高「…………へ?」
??「そこの二人!!学校での暴力行為は禁止ーーーーっっ!!」
野高「失礼ですけど……どちら様ですか?」
??「三年G組、浅井 彩。この学校の生徒会長をしてます」
野高「す、すいません。もう帰りますから許して下さい……」
浅井「そこに倒れてる少年がいるけど、あなたがやったのね?」
野高「こ、これはー…、軽く急所をついて気絶させただけでこれ以上殴ったりしません!」
浅井「生徒会室に行きましょうか?」
野高「せっ生徒会室!?」
薄井「待ちたまえ!!浅井くん」
浅井「げっ!?薄井 翔………」
野高「薄井の知り合いなのか?」
薄井「僕の愛人だ♪」
浅井「ブーーッッ!」
薄井「汚いね…。唾を吐くのはやめたまえ!?」
浅井「愛人じゃなくて元隣人の間違いじゃーーーー!?」
野高「元?」
薄井「ああ。僕が小学生の頃、家の隣に住んでいた小汚い娘だ」
浅井「あんたといると殺意を感じる自分がいるよ…」
薄井「その殺意に免じてメダカくんを開放してくれないかい?」
浅井&野高「意味わかんねーよっっ!?」
薄井「なんだなんだ?僕の何処に意味不明要素があるのだっ!?」
野高(気付けよ……)
浅井「もういい。今回だけは特別に開放する。だから私の前からさっさと消えてちょうだい!?薄井 翔!!」
薄井「君が消えたまえ!?」
浅井「殺す……」
野高「やばいよ……。薄井!!早く逃げるぞ!?」
野高は鈴木を担ぎ、薄井の腕を引っ張りながら全速力で走った。
浅井「待てぇぇーーーいっっ!!!」
薄井「あはは〜♪力持ちだね?メダカくん」
野高「頼むから本気で走ってくれーー!?」
その後、浅井をなんとか撒いた野高達は鈴木を保健室に連れて行き、休んでいた。
野高「ここでじっとしていれば……来ないよね?」
薄井「どうだろうね?浅井くんは地獄の底から湧き出たハエのような女だからな」
野高「…薄井の表現力がおかしいよ」
薄井「そんなことより今日のCheese同好会はどうするんだっ!?花子が泣いて待ってるかもしれないというのにっっ……!」
野高「……なんで立川さんなの?」
薄井「なにが?」
野高「いや…なんで立川さんをチーズ同好会に誘ったのかなって思って」
薄井「単にチーズが好きと聞いたから誘っただけだぞ?」
野高「立川さんが好き…とかじゃないの?」
薄井「今まで花子を恋愛対象としてみたことはないな…」
野高「……そっか」
薄井「お前は?」
野高「………え?」
薄井「あれから恋愛はしているかい?」
野高「まだ……うまくできてないよ」
薄井「そうか…。まぁ、頑張りたまえ」
野高「……うん」
俺が彼女を好きになった日から……
……もう二年の月日が流れていた………。
〜ハエ女 浅井〜 完。