Cheese16〜足音の主〜
玲と雅ちゃんが屋上で喧嘩をした。
その結果、雅ちゃんは玲に殴り飛ばされて気絶。
その場にいたわたしと鈴木くんは玲と共に雅ちゃんを保健室に運ぶ手伝いをしていた。
龍「…にしてもこいつ重ぇな。女じゃねーだろ?」
華「なっ!?なんでわかったの!?」
龍「は?マジで女じゃねーの?」
玲「あ〜あ、バレちゃったみたいね」
華「うっ…。言うつもりはなかったんだよ!?」
玲「…で?どうする?佐藤 雅が本当は男でした〜って高橋先生に言っちゃう?」
華「言わないであげよう?」
玲「華?」
華「みんなを騙して玲を傷つけようとしたことは絶対に許せない。だけど……」
龍「本人の口から直接高橋に言わねーと意味ねぇ…ってか?」
華「……うん」
玲「自白すると思う?」
華「玲に殴られて反省してくれたらいいなって思ったんだけど、無理……かな?」
龍「つーか、伊藤!お前、保健の先生になんて言うつもりだよ?」
玲「もちろん、わたしが殴りましたって…」
華「そそそっそんなこと言ったらまた学年主任の寺島先生に呼び出されちゃうよ!?」
田中先生「まったく、うるさいわねぇ?保健室の前で大きな声出して……」
華「す、すみません」
田中先生「それで?こんな大勢で保健室に何の用なの?」
華「ええっと、その、佐藤さんが訳あって怪我をして気絶してここに来ました(?)」
田中先生「顔がずいぶん腫れてるわねぇ。どうしてこんな怪我したの?」
華「そっ!それはっ…」
龍「自分で殴って気絶しました」
玲&雅(くっ…苦しすぎる言い訳!?)
田中先生「自分で殴った?あらあら、そんな馬鹿なことする子がいるのねぇ!?」
華(信じちゃったーーーーー!?)
田中先生「とにかく誰か担任の先生を呼びに行ってちょうだい」
龍「たりぃけど俺行きます」
田中先生「頼むわね」
鈴木くんは高橋先生を呼びに保健室を出ていった。
その数分後、ドタドタと保健室に向かって走ってくる足音が聞こえてきた。
華「高橋先生かな?」
玲「いくらなんでも足音デカすぎじゃない?」
…………ドタドタドタ
華「きっと慌ててるんだよ」
玲「そう?」
ドタドタドタドタドタドタドドタドタドタッ
華「高橋先生じゃ……ないっっ!?」
??「田中ティーチャァァァァァァァァァァーーーーーーー!!」
華「ひっ!?」
次の瞬間、勢いよく扉が開いた。
………ガラガラッ……
薄井「メダカがエラ呼吸ですっっ(?)」
華「薄井先輩ーーーー!?」
薄井「やあ、花子。奇遇だね♪」
玲(濃い人でた〜)
華「なっなぜここに!?」
薄井「だからメダカに牛乳を飲ませたら急にエラ呼吸になったんだっっ!?」
華「エラ呼吸の意味がわかりませんっ!?」
玲「つまり倒れた…ということですね?」
薄井「その通りだ!君は花子と違って頭がいいね♪」
玲(褒められた気がしないっ……)
華(エラ呼吸=倒れた!?やっぱり意味わかんないーーー!?)
野高「たっ…中……先生……い……る…?」
華「田中先生ですか!?はいっ!!います!いますからしっかりして下さい!!」
野高「………うん」
薄井「田中ティーチャーァァァァァ!?何をボタボタしてんだねっ!?」
玲(ボタボタ?モタモタじゃないの?)
華(擬音がおかしいっ!?)
田中先生「はいはい、今度は何事?」
野高「田中……先生……!会いたかっ…た」
薄井「なにを愛の告白してんだね?」
野高「お前は黙ってろっ……!?」
田中先生「またお腹壊したのね?薬持ってくるから空いてるベッドで寝てなさい」
野高「ありがとうございます……」
華(野高先輩…。大丈夫かな…)
…………ガラッ
またもや保健室の扉が今度はスマートに開いた。
高橋先生「佐藤が自分で自分を殴って倒れたとは本当かっ!?」
玲(この人まで信じちゃってるよ)
薄井「なにを訳のわからないことを……」
華(そう言うあなたが1番訳がわからないって気付いてますかーーー!?)
高橋先生「佐藤は!?無事かっっ!?!?」
田中先生「無事ですよ。今は眠ってますからそんな大きな声を出さないで下さい」
高橋先生「そうですか…。よかった……」
華(高橋先生…。すごく安心した顔をしてる。やっぱり生徒のこと心配してくれてるんだ)
その後、みんなは一旦保健室を出て教室に戻った。
ある人を除いて……
田中先生「あなたも早く教室に帰りなさいっ!?」
薄井「僕は透明人間。」
田中先生「………見えてるわよ」
………パコンッ
紙束で薄井の頭を叩く。
薄井「今…叩きましたね?隣のおじさんにも叩かれたことのない僕をっっ!?」
田中先生「………」
その後も薄井を追い出すのに苦労したに違いない田中先生であった。
〜足音の主〜 完。