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とろけるCheese  作者: KoKoRo
156/156

Cheese156〜優しい嘘のつき方〜

 久しぶりに淳くんと会話をすることができた、その日最後の授業で、校外学習の行き先が多数決によって横浜に決まった。



圭「え゛――!? なんでネズミーランドじゃないの!? 鈴木くん、クラスの人脅した?」



龍「あ゛ぁ? んなわけねーだろ、タコ」



圭「スイマしぇん……」



淳「鎌倉の良さがわかんないなんて、まだまだ子供だな」



圭「ハイハイ、オッサンは黙ってて!」



淳「誰がオッサンだよ!」



 わたしはオッサン(?)の淳くんが推薦した鎌倉に一票を入れたのだが、半数以上の人が横浜に手を上げたので、あえなく撃沈してしまった。



高橋先生「じゃあ、行き先は横浜に決定だな。他のクラスに比べてこのクラスは決めるのが遅れてるみたいだから、班分けも今日中に決めたいところなんだが――…」



―――ガタッ

(急に椅子から立ち上がる圭)



圭「あっ、たっちゃ――ん! 一緒の班になろ――?」



華「え?」



玲「ハァ? なに堂々と誘ってんのよ! 華はあたしと同じ班って決まってるんだから!!」



圭「え、先約アリ系?」



 なぜか隣にいる鈴木くんがクスクスと笑っている。



華「どうしたの…?」



龍「つーか、普通、あんだけ堂々と誘うかねぇ…。堤之原っておまえのこと好きなんじゃね?」



華「エッ!?」ボボッ

(顔を真っ赤にする華)



圭「いや、たっちゃんのことはむしろジュ…」



――――ガゴッ

(淳が投げた消しゴムが圭の額にクリーンヒット)



淳(油断も隙もあったもんじゃねぇ……)



高橋先生「よし、授業時間も残り少なくなってきたし、班決めは先生のほうで決める」



クラス全員「エェ―――――――!!??」



高橋先生「それじゃー、解散!」



 高橋先生が教室を出るのを見計らったように、終業のチャイムが鳴り響いた。



玲「待てコラァァ!!」



 玲が物凄い形相で教室を出て行った高橋先生を追い掛けていったので、わたしも後を追うことにした。



高橋先生「なんだ、伊藤」



玲「なんだじゃないわよ! いくら時間がないからって、班決めぐらい自由にさせてよ!」



高橋先生「なにも時間がないからっていう理由だけで、先生が決めるわけじゃない」



玲「はぁ? もっとわかるように説明しなさいよ! そうじゃなきゃ、納得できない」



高橋先生「クラス全員が登校していたら自由にしてたさ。でも、佐藤がいないだろ? それに、特定の人だけじゃなくて、もっと他の人とも話す機会を作って欲しいんだ」



華「雅ちゃんならわたし達の班に……ね?」



玲「あー…えーっと…」



華(もしかして玲ってば、雅ちゃんの存在を忘れて、た?)



高橋先生「どうせ女子は女子、男子は男子って班を決めるだろ? 僕が一生懸命考えて男女混合の班を作るから、任せておきなさい!」



玲「とんでもなくKYな班作りそうで、余計不安だっての……」ボソッ



華(玲と雅ちゃん以外の子とあんまり話したことないし、一緒の班になったらどうしよう〜…)



 先行き不安になりつつ、その日の放課後、薄井先輩に黙って同好会をサボってしまった。



―――昇降口にて



華(今日は野高先輩がバイトでいないみたいだし、さすがに二人きりは気まずいよ……)



??「よっ」



……トンッ

(突然、肩を叩かれる華)



華「ヒィッ!? ごめんなさい! 許してください! 同好会にはちゃんと行きますから〜〜!!」



山田「は? 何の話?」



華「なんだ、山さんでしたか…」



山田「もしかして金髪くんと勘違いしちゃった? ハハ〜ン、同好会サボったべ?」



華「えっと、そのことについては内密に…」



山田「いーよ。黙っといてあげる。その代わり、俺とここで会ったことも内緒にしといてくんない?」



華「え…? なんでですか?」



山田「んー? 色々と都合悪いからさ。俺、色んな人に嘘ついてっし」



華「???」



山田「まっ! とにかくそーゆーことだから! よろしくね」



―――タタタッ

(華に背を向け、走り去る山田)



華(なんかいつもと様子が違ったような…? 気のせいかな……)






 同じ頃、カフェでは…



―――カランカランッ

(店の中に誰かが入ってくる)



優「いらっしゃいませ」



茜「あれ? 今日、山田クンいないんだ? めずらしー」



優「山さん、今日は都合悪いみたいで。あ、オーダー決まったら声掛けてください」



茜「はーい、注文」



優「あ、はい」



茜「キミを」



(優を指差す茜)



優「からかわないでください」



茜「そんな真顔で言わなくてもいいのにー。真面目だなぁー…」



優「あの、失礼ですけど、山さんとお付き合いしている方ですよね? 冗談でもそうゆう事は言わないほうがいいと思います」



茜「付き合ってる? どーだろ…。キミの言ってることも一理あるけど、冗談じゃなかったらいいんだ?」



―――ギュッ

(優の制服を掴む茜)



優「!?」



茜「キミ、まつ毛長いね? かわいー…」



―――パシッ

(頬に触れようとした茜の手を軽く握り、目を逸らしながらその手を離す優)



優「オーダー、決まりましたか?」



茜「……つまんないの。男ってみんなこーゆーシチュエーションに弱いんじゃないの? あ、それとも単にタイプじゃなかった?」



優「きれいだと思いますよ。ただ、いつか本気で人を好きになったとき、後悔するのはあなただから」



茜「なにそれ? 年下のくせに、説教たれてムカつく」



優「コーヒー、いれましょうか?」



茜「……甘くしないと許さないから」



優「――わかりました」








――その頃、校長室にて




校長「それで、用件はなにかな? 3年G組の山田拓くん」



山田「学校を辞めたいんスけど、手続きお願いします」











〜優しい嘘のつき方〜        完。



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