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とろけるCheese  作者: KoKoRo
153/156

Cheese153〜真相は鍋の中〜

放課後に同好会に参加すると、決まって家に着く頃には疲れが溜まっています…。



華「ただいま〜…」



葵「おかえり、姉ちゃん」



華「あれ? お母さんは?」



葵「今日、結婚記念日だから、父さんと一緒に出掛けた」



華「そっか。昨日言ってたもんね。ご飯はあるんでしょ? もうお腹ペコペコ〜…」



葵「姉ちゃんに電話」


(手に持っていた受話器を華に差し出す葵)



華「なんでそれを早く言わないのっ!?」



葵「つーか、早く新しいケータイ買えよ!! このボケ姉貴!!」



華「な、なんでそんなに怒ってるの…?? それより電話! 誰から?」



葵「……伊藤さん」


―――バッ

(葵から受話器を奪う華)



葵「……」



華「何してんの! 向こういってよ! シッシッ!」



葵「……」


(黙ってリビングに向かう葵)



華「もしもし、玲? ごめんね、待たせちゃって。今帰ってきたばっかりで…」



玲『ううん、全然待ってない。葵くんとも久しぶりにちょっと話せたしね』



華「え、何を…?」



玲『彼氏いるんですかって聞かれたからびっくりしちゃって』



華「玲にそんなこと聞いたの!? ごごごごめんね!! あとできつく叱っておくから!!」



玲『実はね……今日、できたの』



華「――え?」



玲『龍が彼氏……なんて、笑っちゃうでしょ? あたし達、あんなに喧嘩してたのにさ』



華「笑わないよ! すごくお似合いだと思う。よかったね、玲。おめでとう」



玲『ありがとう。どうしても最初に華に伝えたかったの』



華「うん、嬉しい。幸せになってね! 玲」



玲『華も早くいい人みつけなさいよ! あたしはいつでも華の味方だし、応援してるからね』



華「!」



 涙が出そうになった。

 鈴木くんに人生で初めての告白をしたときのことを思い出してしまった。わたしではなく、彼はずっと玲を想ってきたんだと知り、本当は少し複雑な気持ちになった。でも、今は違う。大好きな二人だから、心から幸せになって欲しいと願える。



華「玲、大好き!」



玲『えっ!? もぉーっ、照れるじゃない! でも、サンキュ』







―――その日の夜。



華「え―――!? ご飯、ないの!?」



葵「ないよ」



華「なんで言わないの!?」



葵「作れば? 自分で。俺はいらない」



華「うっ…またそんな無責任なことを…」



葵「姉ちゃんに失恋した男の気持ちがわかってたまるか!!」



華「はぁ? あんた、いつ失恋したのよ?」



葵「…もういい」



華「それより豆腐を買ってきて!」



葵「はぁ?」



華「材料はたぁーっくさんあるから、今夜は鍋にしよう! 作るの簡単だしね」



葵「誰が行くか…」


――ぐぅ〜きゅるるる…

(葵のお腹が鳴る)



華「行かなくてもいいよ〜。そのかわり、あんたの分は作らないもんね」



葵「クッ、覚えてろよ!!」


―――しゅたたたたっ

(駆け足で家を出る葵)



華「ハァ〜、めんどくさい弟だなぁ…」







――近所のスーパーにて



葵(豆腐だけ買うのも味気ないよな…。姉ちゃんの好きなチーズでも買って帰るか)



??「ん?」



葵(なんだ? この人、さっきから俺の顔ジロジロみて……)



薄井「花子コピー?」



葵「なんなんですか、いきなり!?」



薄井「立川華」



葵「俺の姉ちゃん」



薄井「ぼく、薄井」


(自分で自分を指差す薄井)



葵「は???」



薄井「……」にやり









――その後、立川宅にて



華(鶏肉にしょうがに調味料…っと。あとは白菜とにんじんと椎茸、それに水菜!)



薄井「鶏肉を煮るときはしょうがだけじゃなく、長ネギの青い部分も入れるとより臭みがとれるのだよ」ボソッ



華「なるほど……ってヒィィ―――!?」



葵「その人、姉ちゃんのカ…」



華「カレシじゃない!! 断じて違う!!!」


(葵の口を塞ぎ、小声で話す華)



薄井「ふむ、遠くからみても瓜二つだな♪まさに花子コピー」



華「変なあだ名つけないで下さいよッ!」



 ピンポーーン



薄井「誰か来たね♪」



華「今度はだれっ!?」


(玄関に向かう華)



葵「あの、姉ちゃんとはどうゆう…」



薄井「後輩…いや、仲間時々同類? 簡単に言えばチーズのような仲だ」



葵(チーズって…!? じゃあ、この人と姉ちゃんはそうゆう関係!?)←勝手に妄想中





――その頃、玄関では…



華「玲!?」



玲「なんだか華に会いたくなっちゃって……来ちゃった」



華(今はマズイ……! 家に薄井先輩がいるって知れたら、変な誤解されちゃうよ―――!?)



玲「ごめん、迷惑だった?」



華「そんなことないよ!! せっかくだからどこかでお茶でもしない?」



玲「あたしが勝手に来ただけだし、すぐ帰るから大丈夫。それに華、エプロンしてるってことは、料理の邪魔しちゃったよね…?」



華「料理なんてそんなたいしたことしてないよ??」


―――ぽいっ

(エプロンを脱ぎ捨てる華)



玲「そ、そう?」



薄井「花子。材料切って鍋煮込んでるから、もうすぐ食べられるよ」



華「!!!」



玲「う、そでしょ…?」



華「違うんだよ…? 先輩が勝手に家に来て、勝手に料理して、勝手に食べようとしてるだけで……って、何笑ってんですか!? 薄井先輩!!」



薄井「え? あ、いや、なんか愉快でね……はははっ」



華(全然笑えないんですけど―――!?)



玲「じゃ、あたしもゴチになろっかな! いい? 華?」



華「うん、もちろん…」



玲「な〜べ、鍋ー♪」



華(よかった…。誤解してないみたい…)



葵「……」←誤解してる



華「葵、どうしたの? 顔が真っ赤だけど…」



葵「うっせぇ!! エロ星人!!!」



華「はぁ?」





 その後、葵は黙々と鍋をつつき(やけ食いにもみえたが)結局、皆よりも多く食べてそそくさと二階へ行こうとしていたまさにその時…



薄井「食後のストレッチ大会ダァーッ!!」



葵「ぐわぁっ!?」



 薄井先輩に捕まった。



華(さてと。洗いものでも片付けよう)


―――ガタッ

(席を立つ華)



玲「ねぇ、華。薄井先輩っていいよねー…」



華「!?」




 予想もしていなかった、玲の衝撃発言だった。









〜真相は鍋の中〜 完。


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