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とろけるCheese  作者: KoKoRo
152/156

Cheese152〜DASH or LOVE〜

足元に転がってきたボールを蹴り返した先に、龍が立っていた。



龍「ヘタっぴ」



玲「うるさいわね…大体あたしは柔道専門なのよ! サッカーなんて向いてないんだから……」



龍「コレで怪我して辞めてから、結構楽になったと思ってたんだ。でもそれは勘違いだった。俺、ずっと逃げてきたんだ。サッカーからも……おまえからも」



玲「――え?」



龍「またサッカー始めようとしてる俺を…ずっと傍で応援しやがれ」



―――ドカッ

(ボールを玲に向けて蹴り飛ばす龍)



玲「あたしは…あんたがサッカー部で活躍することをずっと望んでたし、応援してたじゃない。それをあんたが――…」



―――ガッ

(龍が蹴ったボールを足で止める玲)



龍「あのさぁ…ずっと傍でっつったろ?」



玲「聞こえてるわよ! それよかあんた、ずっと耳にイヤホンしてるけど、あたしの声聞こえてんの!?」



龍「音楽なんか聞いてねーし…」ボソッ



玲「は――? なんか言った――??」



龍「だからッ……好きだっつてんだろーが!! この鈍ちん!!」



玲「……だっ、誰が鈍ちんよ!! 大体、あんたいつもあたしに喧嘩売ってくるじゃない!?」



龍「おまえより弱かったら男としてかっこわりぃだろが……あ゛〜〜、つーか、今の俺が1番かっこわりぃ……」




 初めて龍の顔が真っ赤になる瞬間をみた。それを隠そうと必死で自分の顔に腕をやるアイツを、かわいいと思ってしまった。



玲「ねぇ、あたしみたいなガサツのどこが好きなの?」



龍「たりぃこと聞くな…」



玲「あたしは…龍のそーゆーところ、結構好き…かも?」



龍「だぁぁぁぁぁぁもう、はっきりしねぇな!! 好きか嫌いかで言えよ!!」



玲「だからぁ!! 答えを決め兼ねてるときに人を焦らせるんじゃないわよ!! あんたは女の気持ちがぜんっぜん理解できない男ねッ!」




―――ガシッ

(玲の手を握る龍)



龍「マジ大事にすっから」



玲「キモいっ!」ゾワッ



龍「キモいってなんだよ!? こっちはくそ真面目に言ってんのに!!」



玲「……ぷッ」


(急に噴き出す玲)



龍「なんだよ?」



玲「あはははははは!」



龍「なんで笑う?」



玲「なんか全然告白ってシチュエーションじゃなくなってきたっていうか、龍の彼女ってのもありかもね」



龍「あーそうかよ…かッ、彼女!?」



玲「そっ。なんかあんたと付き合ったら楽しそう」



龍「伊藤…」



玲「その伊藤って呼び方やめてよね! 玲でいいから。それと…今度こそサッカー続けなさいよ」



龍「ああ、ガチでやるよ」



玲「おう! ガンバレ」



―――ちゅ


(龍の頬にキスをする玲)



龍「ナッ!? なにすんだよ、猿女!!」

 


玲「あ、あんただって前は自分からしたくせに、あたしがしたら嫌っていうの!?」



龍「ここ、グラウンドだぞ!? 誰かにみられたらどうすんだよ!! 場所考えろっつーの!!」



玲「……ぶちのめす」



龍「あ。俺、サッカー部に入部届け出しに行ってくるわ」



――――ダダッ

(全速力で走り出す龍)



玲「逃がすかぁぁぁぁぁ!!!」







―――写真部室にて



薄井「うむむ?」



―――ポリポリ

(新製品のチーズ菓子を試食する薄井)



薄井「これはまるでチーズの味が引き立っていないな!! この引き立てブレンド知らずが!!」



華「先輩の言ってることはわかりませんが、確かにチーズの味が薄いですね…」



薄井「チーズの味が僕とはどうゆうことなんだ…? 花子ッ!!」



華「はい??」



優「二人とも本当にチーズが好きなんだね」



薄井「何を暢気なことを言ってるんだ、メダカ君! キミも試食するのだ♪」


(チーズ菓子を持って優に近づく薄井)



優「や、やめようよ? 俺がチーズ嫌いなの知ってるだろ!?」



薄井「問答無用なり!」



―――ガシッ

(優の腕を掴む薄井)



優「や、やめろって……」



薄井「イヤよイヤよも好きのうち…ってね!!」



―――グググッ

(優の口にチーズ菓子を近づける薄井)



優「痛いっ…やめろって…言ってるだろ……離せって…うすいぃ!!」



華(なんか…妙にいやらしい空気が流れている気が…。と、止めたほうがいいのかな? でも、もうちょっと見てみたい気も……)




―――ガラガラッ

(写真部室の扉が急に開く)



山田「そろそろ下校時刻なんで、帰る支度を―…」



薄井「ん?」



優「――へ?」



華「や、山さん…」



山田「何してんだよ…? おまえ達」






―――3分後



山田「焦った〜! てっきり男同士のラブが始まったのかと思ったぜ」



優「始まりません!!」



薄井「僕もメダカ君とじゃ燃えないからね」



優「何言ってんだよ!?」



―――ガタッ

(急に立ち上がる優)



山田「ほらほら、立川さんが困ってるだろー?」



華「えっ、あっ、うぅ…」



優「立川さん、ちっ…違うからね!!」

 


山田(何がだよ…)



薄井「それより、山田本人が風紀委員の仕事を真面目にやっているとはね……明日は間違いなく嵐だな!」



全員(おまえの存在が嵐だよ……)



山田「浅井に文句つけられたんだよ! 後輩にばっか仕事押し付けないで、委員長らしく働けってさ」



薄井「浅井くんが…?」



山田「…最後くらいちゃんと仕事してやろうかと思ってな。おっ? あと5分で学校出ないとペナルティーつけるぜ」



薄井「それを早く言いたまえ!」



山田「あ、野高! 明日バイト代わってもらっていいか? ちょっと野暮用ができちまって」



優「あ、はい。わかりました」



山田「サンキュ!」



優「じゃあ帰ろうか。立川さん」



華「はい!」



―――ガラガラ

(写真部室を出る二人)



薄井「こ、こら! 君達いつのまに支度しおってからにぃぃ!! 僕を置いていくんじゃない!!」



山田「あ〜あ、二人仲良く帰っていくぜ?」



薄井「山田、口開けて」



山田「あ〜」



―――ガボッ

(残ったチーズ菓子を山田の口の中に押し込む薄井)



薄井「新作だ☆全部キミにあげよう♪」



山田「もががっ!?」



薄井「メダカと花子―――!!待ちたまえぇぇぇぇぇい!!!」



―――ズドドドドッ

(猛ダッシュで二人の後を追う薄井)



山田(なんかこの菓子、超微妙……)










〜DASH or LOVE〜 完。



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