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とろけるCheese  作者: KoKoRo
151/156

Cheese151〜天才異業人〜

文化祭と体育祭も無事に(?)終了し、いよいよ秋が終わりへと近づいていた。

 わたし達は冬休み前に行く校外学習に向け、クラスでどこに行きたいかを話しあっていた。



高橋先生「もうそんな季節になったんだなぁ…」



玲「先生〜、教室の隅っこでしみじみしてないで、ちゃんと話し合いに参加してくださいよ」



高橋先生「とはいっても、この状況じゃあ…な」



龍「ぜってぇ横浜! 死んでも横浜! なにがなんでもヨ・コ・ハ・マだ!!」



圭「ちがーう!! 完全にネズミーランドでしょ!? 楽しくてなんぼだろ!?」



淳「いや、ここは鎌倉あたりでこう、寺巡りで心身を癒すべきだと思うよ? とくにおまえら二人」



圭「はぁ!? 淳ちゃんそれマジ!? 50のオッサンじゃないんだからさ〜、もっと弾けようぜ!!」



淳「誰がオッサンだよ…」



華(横浜にネズミーランドに鎌倉か〜…どれもいいと思うけど、このままじゃ放課後になっても決まらなそう……)



高橋先生「おーい、多数決で決めないか〜? そろそろ6時間目も終わりだし……」



玲「あ。そーいえば、二年はそろそろ修学旅行に行く時期ですよねー? 噂では去年、女子高のほうはオーストラリアに行ったそうじゃないですか」



華(オーストラリア!? 日本脱出!?)



玲「今年はどこに行くか、先生聞いてます?」



高橋先生「京都だそうだ」



玲「えっ、地味……」



高橋先生「なんでも沖縄と韓国かで意見が別れていたそうなんだが、京都に行きたいと懇願する生徒が一人いてな……」



玲「だって一人でしょ? たった一人のわがままで、全員の意見が覆せるもんなんですか?」



高橋先生「毎日、休み時間ごとに欠かさず廊下に出ては、女子の着物姿は美しい! とか、みてみたい! などと大声で叫んで訴えていたそうだ……」



玲&華(アイツだ―――――!?)





―――1週間前、2年A組の廊下前にて



薄井「よーいしょっと」



優「薄井……ビールケースなんか積んで何してるの?」



薄井「これは僕のお立ち台だ。そして今からここで演説を行う!!」



優「なんの演説……?」



薄井「今度行く修学旅行先についてに決まっているだろう? なんとしてでも僕は京都に行く! これは運命という名の殊勲だ! 宿命だ!!」



優「それならほぼ沖縄に決まりそうだって、さっき先生が話してるのを聞いたよ。沖縄、いいじゃない」



薄井「メダカ!! 君は人に流されてばかりの人生でいいのか!?」



優「ハイ?」



薄井「オラ、そんな人生さ嫌だ。オラ、京都さイクラァァァ―――!!」



優(イクラ…って、本当は北海道に行きたいんじゃないのか…? それとも単純に噛んだだけ…??)




―――カチッ

(マイクの電源をONにする薄井)



薄井「僕は………女子の着物姿がみたぁぁぁぁぁぁ―――――い!!!」



優(う、うるさ……)




―――ズドドドッ

(女子の大群が薄井目掛けて走ってくる)



優(なっ……なんか来てる―――――!?)



女子A「薄井君のためなら、学校にだって着物で登校しちゃうよ!!」



女子B「ずるーい!! わたし、着物持ってないのに――…」



薄井「そんな君でも京都なら?」

 


女子B「着物が着れちゃう!?」



薄井「そうだ! 京都へ〜〜〜」



女子全員「行こ――う!!」



優(なにぃ!!??)



薄井「メダカ君も京都に〜〜?」



優(誘導尋問だ!?)



女子C「行く…よね?」



優「う、うん? まぁ……」



薄井「そんな君にロックオン☆」



優「はぁ?」



女子全員「キャ〜〜〜☆☆☆」




――――スチャッ

(メガホンを手に取る薄井)



薄井「野高優も京都に行っくぞ〜〜〜♪♪♪」




―――ズドドドドドドッ

(さらに大群の女子が全ての教室から湧き出る)



優「え」



女子D「野高くんが行くって決めたなら、どこまでもついていきます!!」



薄井「そうだ〜京都にぃぃ〜〜」



女子全員「行こ――う☆」




―――ガラガラ

(A組の教室から廊下に出てくる数人の男子と坪井)



男子A「お、なんか楽しそうだな」



坪井「……」



優(坪井……おまえだけはこの空気に流されちゃいけない!!)



―――ブンブンッ

(遠くから坪井をみつけた優は、坪井に向かって頭を横に振った)



坪井(何やってんだ? 野高のやつ……)



薄井「男子諸君もご唱和願おう! そうだ〜〜京都にぃ〜〜」



優(坪井―――!!)



――ブンブンブンブンッ

(なおも坪井に向けて頭を振り続ける優)



坪井「行こ―――う♪」



優(ばかやろ―――――!!!)






――現在。写真部室にて



優「…と、いうわけなんだ」



華「今の説明だけで、情景が目に浮かぶようです…」



優「ははっ、だよね。そういえば…立川さん達も確か校外学習があるんだよね。どこに行くかもう決めた?」



華「それが…意見が3つに分かれてしまってですね……その件は高橋先生が持ち帰ったんです」



優「うん、まだ時間はあるからね。ゆっくり、じっくり、たくさん考えたほうがいいよ」ニコッ


華「あ…野高先輩、一年のとき、どこに行ったんですか?」



優「え゛?」



薄井「海だ」



華「どどどどこから湧いて出たんですかっ!?」



薄井「失礼だな! 人をうじ虫みたいに言うな。そうだな…あえて後ろの扉から犬の伏せ状態で侵入しただけのことだ」



華「普通に入ってきてください……」



薄井「しかし一年のときは楽しかったな♪あのときはまだ男子校で野郎ばかりだったが、みんなで綺麗な貝殻集めをして遊んだことを思い出すよ」



優(貝を集めてたのはおまえだけだっ……!!)



華「この時期にクラスで海…なんて、前代未聞すぎますよ…。反対した人はいなかったんですか?」



薄井「全員反対したが、僕の一認でことなきを得た」



華(どんだけ薄井先輩って偉いんですか――!?)



優「ははは、はは…」







―――グラウンド場にて



玲(龍の奴…こんなとこに呼び出したりして、一体なんのつもりかしら)




その時、足元にサッカーボールが転がってきた。









〜天才異業人〜 完。


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