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とろけるCheese  作者: KoKoRo
148/156

Cheese148〜覚悟の証明〜

 わたしがグラウンドに戻った頃には色別リレーは終わっていて、得点をみると、青組の優勝が決まっていた。



華(薄井先輩達が優勝したんだな…)



龍「立川!」



華「鈴木くん!? そ、そうだ! もう退院して大丈夫なの!?」



龍「ああ。もうどこも痛くねぇしな…。つーか、おまえが頑張ってくれたのに、わりぃ。勝てなかった」



華「ううん、そんなこと気にしなくていいよ…。わたしの脚が遅くて、皆に迷惑掛けちゃったから…」



龍「ばーか。おまえはよく頑張ったよ」



―――くしゃ

(華の頭を乱暴に撫でる)



華(そっか…これなんだ…。わたしが鈴木くんを好きになった理由……)



龍「そういえばおまえ、氷河真って覚えてるか?」



華「もっ、もちろん覚えてるよ! わたし、そんなにバカじゃないよ」



龍「あいつ、結構歩けるようになったんだぜ」



華「え…本当…?」



龍「完璧に歩けるようになったら、おまえに会いにいくんだってボヤいてたな。なんか約束でもしてんのか?」



華(う……それってまさか、デートのこと…?本気だったの―――!?)



―――タッタッタッ

(背後から誰かが駆け寄る)



淳「鈴木! もう怪我は大丈夫なのか?」



龍「あ―…もう平気だけど?」



淳「よかった…。みんなおまえのこと心配してたんだぞ。突然出てきてヒーロー気取りかよ」



龍「ははっ、てめぇ…言うようになったじゃねーか」



―――ガシッ

(淳の肩に腕をまわす龍)



淳「イッ、痛いって!! ギブギブギブ…!」



華(仲いいなぁ…)





 体育祭の表彰式も無事に終え、このまま真っすぐ帰るつもりだった。それなのに……



――1年C組、教室にて



轟「あの……立川華さんっていますか?」



圭「へ? たっちゃん?お〜い、たっちゃーん! お客さんが来てるよ〜!」



華(あっ…あいつは!?)



龍「新しい彼氏?」



華「断じて違います!」



轟「あ、立川さん! 一緒に帰りましょう」



淳「!?」



圭「え…なに? 二人、そうゆう関係?」



玲「ちょっとアンタ、どの面下げて――…」



??「教室の扉塞いでんじゃねぇよ。タコ助」



轟「!!」



玲「あ、あんたは…」



華「雅ちゃん!!」



雅「ハロー、華ちゃん♪来ちゃった☆」



玲「来ちゃったじゃないわよ!? あんた、停学中の身でしょうが……って、なによ…その中途半端な頭…」



雅「ああ、髪切れって言われたから、切ったの。ボブに♪自宅謹慎中だけど、友達を迎えに来るだけなら問題ないでしょう?」



華「うぅ……」


(泣き出す華)



雅「きゃ〜!! そんなにわたしに会いたかった?」


(華に抱きつく雅)



轟「あなた、よく学校に来れますね。あんな恥さらしなことを全校生徒の前でやってのけて」



雅「カッチーン。誰こいつ」



轟「男を女と勘違いして入学させるなんて、この学校のセキュリティもどうかしてると思いますけど、もう終わりです」



雅「どうゆう意味だ…?」



轟「僕の父がこの学校の次期校長として赴任してくるからですよ。今の校長はあなたを許したようですけど、僕が言えば即刻退学…なんてことになるかもしれませんね」



雅「なんだと!?」



華「そんなこと、絶対にさせない」



轟「……じゃあ、僕と付き合ってくれますか?」



華「なっ――…」



圭「い、意味わかんねぇ」



轟「君が僕の彼女になってくれるなら、この話は父に口外しません。約束します」



玲「華…そんな出鱈目、信じちゃだめよ」



轟「真実か嘘かなんてあなたが決めることじゃない。彼女が決めることだ」



華「…………」



龍「どけ」


(圭の肩に触れ、体を退かす龍)



圭「……え?」



――――ドカッ


(轟を殴り飛ばす龍)



華「鈴木くん!?」



龍「たりぃ……」



轟「僕を殴ったね…?」



龍「親父にもブたれたことないのにぃ〜は勘弁しろよ。そりゃアムロの台詞だ」



轟「グッ……」



龍「たちかわぁ! こんなクズの言いなりになってんじゃねぇぞ。好きとか嫌いとかの感情は人が決めるもんじゃねぇ。自分で決めるもんだ」



華「うん……!」



轟「1年C組の鈴木、そして立川。僕を侮辱した酬いを受けることになりますよ……」



龍「んなもん、屁でもねぇや。ターコ」



轟「覚えてろよ…!!」


(その場から走り去る轟)



龍「覚えてねぇよ。おまえのことなんかな…」



玲「……龍、ちょっと話しがあるんだけど…」



龍「なぁ、キャッチボールしねぇ?グラウンドで」


(ポケットからソフトボールを出し、宙に投げる龍)



玲「なんでよ…」



龍「いいじゃん、別に」



華「…………」



雅「華ちゃん? 帰ろ?」



華「うん…。帰ろう」






―――グラウンドにて



龍「話しってなんだよ」



玲「あたし、警察に捕まってもいいくらいのこと、あんたにしたよね…?」



龍「ありゃ殺人だよな。マジで」


(キャッチボールを始める二人)



玲「あんたがふざけてあんなことするからでしょうが!?」



龍「ふざけてねぇし」



―――スカッ


(龍の投げたボールを取り損なう玲)



玲「あ…」



龍「だっせー」



玲「うっさいわね……あんた、あんなことして本当にあの男の父親が校長になったら、どうするつもりよ…」



龍「退学かもな」



玲「そんな簡単に言わないでよっ……」



龍「俺と立川ががマジで退学になったら、おまえ一人になるな」



玲「からかわないでよ! こっちは真剣に話してんだからね!!」



龍「じゃあ真剣に……俺とタイマンしてくれよ」



玲「何度やっても結果は同じ――…」



 そういって構えた龍の顔は、今にも涙が零れ落ちてしまいそうなほど、苦しい思いに駆られているようにみえた。






〜覚悟の証明〜 完。


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