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とろけるCheese  作者: KoKoRo
142/156

Cheese142〜決めつけた心〜

病院にいると、色んなことを考えてしまう。

雅ちゃんは今頃どうしてるんだろう?

 淳くんはどうしてわたしのことを名字で呼んだんだろう?

 どうして鈴木くんはこんなに……



華「速水もこみちみたいな顔してるんだろう…」



龍「は?つーか、前にも同じこと、誰かが言いやがったな…」



華「でしょう!?やっぱり似てるんだよ!」



龍「だーかーらぁ〜、アイツが俺に似てんだよ。パクりみたいなもんだ」



華「顔はパクれません」



龍「うっせぇ」



華「ぶぅ〜っだッ!じゃあ、黙ってますよ〜っだ」



龍「……フッ、ガ〜キ」



華「むっ!」





―――その頃、山下病院のロビーでは…



雅「あの、すいません」



看護師「はい」



雅「立川華はどこだ?居場所を教えろ」



看護師(な、なに?この子…。可愛いと思ったらすごい口の聞き方ね…)



雅「ボケっとしてねぇで教えてくんないかなぁ?対応遅すぎ」



看護師「ちょっと君、女の子なんだから、もう少し穏やかにした方がいいわよ?」



雅「誰が女だって……?」



看護師「え?」



雅「あんた女のくせに、男の俺よりかわいくねぇのな。ふふ、超時間の無駄だった」


(真顔で立ち去る雅)



看護師「お…男の子!?」



雅(早く華に会いたい……!会って、すぐに謝るんだ。許してもらえるかわかんねぇ。だけど……)



―――ドンッ


(人とぶつかる)



雅「いってぇな!?」



氷河「そんなカリカリすんなよ。カリカリ梅食う?」



雅「いらない」



氷河「そりゃ残念」



雅(こんな奴に構ってる場合じゃない。早く華に…)



氷河「立川華、探してるんだろ?」



雅「なんで知ってんだよ?」



氷河「…来いよ」


(前に進む氷河)



雅(新手のナンパか?でも、今はコイツを信じるしかねぇよな…)





―――華の病室前にて



氷河「ここっす」



雅「さっきの質問、まだ答えてもらってないんだけど」



氷河「早く入れば?立川、中にいるぜ」



雅「あんた、華の何?」



氷河「友人Bあたり?」



雅「ふーん。友人なら別にいーけど」



氷河「恋人候補Aとか言ったら怒るわけだ?」



雅「なにっ!?」



――――ガラガラ


(病室の扉が突然開く)



華「あれ?氷河真、いたんだ」



雅「華…」



華「雅…ちゃん…?」



雅「ごめん、本当にごめん…。怒ってるよな?華にこんな辛い思いをさせるつもりはなかったんだ…。許してもらえるまで俺は何度でも謝る」



華「怒ってないよ」



雅「――え?」



華「わたしが急に飛び込んじゃったのがいけないんだよね…。だから、雅ちゃんが謝ることないよ!わざとじゃないって、ちゃんとわかってるから…」



雅「ありがとう…」



華「そんなことより、学校……退学になんてならないよね!?」



雅「退学は免れたよ。ただ、一週間の停学処分」



華「停学……」



雅「そんな顔すんなよ。また一週間経ったら華に会える」



華「そうだよね…!」



氷河「停学ねぇ〜…。あんた、何やらかしたの?つーか、この親不孝者!学校行けるだけありがたいと思えよ」



雅「華、誰なの?コイツ」



華「元ヤンキー」 コソコソ


(小声で話す華)



氷河「元じゃねーから」



華「う゛……」



龍「誰かと思えば佐藤じゃねぇか。意外と元気そうでガッカリしたぜ」



雅「鈴木…?おまえが華と同室なんて、むかつく」



龍「んなもん知るか。病院の奴に文句言えよ」



雅「…まっ。鈴木クンとここで言い合ってもしょーがないし。華の顔、見れただけで満足。俺、帰るわ」



華「もう帰るの…?」



雅「いや〜ん☆じゃあ一緒に添い寝でもする?」



――――ポカッ


(雅の頭目掛け、ペットボトルを投げ込む龍)



――――バシッ


(雑誌を雅にぶつける氷河)



氷河&龍「帰れッ!!このオカマ野郎!!!」



華(すごい…。息ぴったり!)



雅「言われなくても帰るし。本当にごめんな?華。早くよくなってくれな」



華「うん。大丈夫だよ。雅ちゃんの顔が見れただけで、元気になったもん」



雅「そっか。じゃあ、また学校でな」



華「うん!」



氷河「………」



そして雅ちゃんは、晴々とした表情で病室を出て行った。



華「よっし!早く元気になって、すぐに退院しなくちゃ!!」



氷河「ずっとここにいればいーじゃん」



華「それは絶対にない!氷河真を置いて、パパ〜っと退院しちゃうもんね!」



氷河「そんな寂しいこと言うなよ…」



華「氷河真だって、いつか退院するんでしょう?」



氷河「オレは……無理だ」



華「え……?」



氷河「一生、歩けない体になっちまったからな」



龍「……」



華「嘘……」



氷河「嘘じゃねーし。だから普通に歩けるおまえ達がうらやましいよ」



華「無理じゃない」



氷河「は?」



華「無理なんかじゃないよ…。氷河真は歩くことを諦めただけなんじゃないの!?」



氷河「脚が動かねぇんだぞ……?これでどうやって歩けっつーんだよ?」



華「自分から歩こうと努力したの…?」



氷河「!!」



華「リハビリしたら治るかもしれない。脚が動かないって決めつけたら、このままずっと、何も変わらないままなんだよ!?」



氷河「きれいごとばっか…。リハビリしたら歩けるとか、そんな都合よくいくと思ってるわけ?ドラマの見すぎなんだよ」



華「……氷河の大馬鹿野郎っ!!」


(病室から走り出る華)



龍「……立川のいうことも一理あると思うぜ」



氷河「うっさいよ」



たりぃ…





―――その頃、華は…



華(脚が動かなくなるのって、どんなに辛いことなんだろう…。わたしは普通に歩ける。でも、氷河真は違うんだ……)



「立川さん」



華「……え?」



優「来ちゃった」



華「野高先輩…」




わたしは咄嗟に、涙が出そうになった目を拭っていた。










〜決めつけた心〜 完。



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