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とろけるCheese  作者: KoKoRo
141/156

Cheese141〜成長〜

氷河真からもらった小さなチョコレートは、ちょぴり苦くて、わたしの苦手な味だった。



華「………」



龍「そういえばお前、佐藤に殴られたんだろ?」



華「え…?なんで知ってるの?」



龍「金髪が聞いてもいねぇのにぺらぺら話していったからな。つーかアイツ、とうとう自分が男だってゲロったんだな」



華「うん…」



龍「停学…いや、罰が悪けりゃ退学だな」



華「そんなっ…!!」



龍「だってそうだろ?全校集会で言ったっつーことは、校長が黙ってねぇよ」



華(雅ちゃん……)




雅が男だと告げてから、丸一日が経過していた。そしてその頃、校長室では…




雅「………」



寺島「どうして今まで性別を偽っていたんだ?」



雅「用が済んだら戻ろうとしたさ。ただタイミングがずれただけの話だよ」



寺島「佐藤、昨日から反省する様子がないな…。親を呼び出しても仕事で都合が悪いと言われるし、一体お前の家庭はどうなってるんだ?」



高橋「すいません」



寺島「なんで高橋先生が謝るんだ?」



高橋「僕は知ってたんです。佐藤が男であることを…」



寺島「知ってて黙ってたのか!?高橋先生…こう言っちゃ悪いけど、あんたそれでも教師なのか?」



高橋「……すいません」



雅「先生。この人を悪く言うの、やめてくれます?この人、全然カンケーないんで」



―――カチャ


(校長室の扉が開く)



校長「そろそろ態度を弁えましたかな?佐藤雅くん」



雅「………」フンッ


(そっぽを向く雅)



寺島「コラッ!佐藤!校長に向かってその態度はなんだ!?」



校長「まぁ、いいでしょう。君の親御さんが来て下さったからね。話しをしようか」



雅の母「……」



雅「母さん……!?」



雅の母「だらしの無い恰好…。雅、あなたまだそんな恰好をしていたの?」



雅「あんたがさせたんだろ……」



高橋「……!?」



雅の母「それは昔の話でしょう…?それであなたを傷つけたのなら謝るわ」



高橋「失礼ですけどお母様、佐藤に何を……」



雅の母「武さん、あなたがついていながらなぜ私が呼び出されなければならないの?雅のことはあなたに任せるって頼んだはずよ」



高橋「すみません…」



雅「さすがに親父は来ない…か。そりゃあ、惨めだもんな?息子が女装なんて」



校長「佐藤雅くん、君は高校に入学してから一度も家に帰ってないそうじゃないか」



雅「余計なことまでぺらぺらと…。あんた、そんなことまで話したのか?」



雅の母「親に向かってなんて口の聞き方をするの!?謝りなさい!!」


(雅の髪の毛を引っ張る母)



雅「離せよッ!!」



雅の母「こんなに髪を伸ばしてみっともない……!!どれだけ親に恥をかかせれば気が済むの!?」



『雅は女の子なんだから…』



雅「………ッッ!!」



――――ああ、



   胸糞わりぃ…




高橋「やめてください」


(雅の母の手を掴む高橋)



雅の母「私は……何も悪くないわ……」



高橋「……」



雅「そうだな…。悪いのは全部俺だもんな?」



高橋「―――いい加減にしろ!!」



雅「!」



高橋「お前達、親子なんだろ?誰が悪いとかそんなことで争うなんて馬鹿げてる…。お母さん、なんで子供自身をもっとよく見てあげないんですか!?」



雅の母「!!」



校長「ちょっと落ち着きたまえ、高橋くん…」



高橋「校長は黙ってて下さい!!お母さん、あなたはもっと、子供のことを考えるべきだ!!」



寺島おいおい…



雅の母「校長先生、雅はどうなるんですか…?」



校長「それをこれからゆっくりとお話しましょう」



雅の母「どうか退学だけは許してやって下さい…!お願いします!!」


(頭を下げる母)



雅「母さん……」



雅の母「家に帰ってこない馬鹿息子ですが、学校だけはいつも楽しそうに行っていると娘から聞きました。だから退学だけは絶対にさせたくないんです」



雅(姉貴のおしゃべりが…)



高橋「僕からもお願いします!!」


(土下座をする高橋)



雅「おい!?何考えてんだよ!?やめろよ!!」



高橋「口は生意気ですが、佐藤は本当は根が優しい子なんです。…僕の大切な生徒を退学にすると言うのなら、私も教師を辞めます」



雅「そんなこと言ってもできないくせに…」



高橋「できるさ。お前のためなら」



雅「ばっかじゃねーの…」



校長「高橋くん、土下座なんてやめてくれ。佐藤雅くんの件は、一週間の停学処分とする。これでいいかね?」



高橋「それじゃあ…」



校長「ああ、退学にはしない。ただし、一週間後に身なりを整えて学校に登校しなさい。わかったかね?」



雅「…はい」



校長「高橋くん、学校は辞めないで下さいよ。君がいないと、君のクラスの生徒達が悲しむからね」



高橋「校長、ありがとうございます…!!」



雅の母「よかった……」



雅(ありがとう、母さん…)





その後、昇降口前にて



雅の母「わざわざ送って下さらなくてもいいのに…」



高橋「いえいえ、これくらいはさせて下さい」



雅の母「武さん、雅と梓のこと、よろしくお願いします」



高橋「はっ、ハイッ!恐縮です!!」



雅「そんじゃ。まだまだお仕事、頑張れよ」



高橋「ああ。気をつけて帰れよ!また一週間後に教室で会おう」



雅の母「………」


(お辞儀をして、学校を後にする母)



高橋(強くなれ。雅)





雅の母「あなたとこうして歩くのも久しぶりね」



雅「そうだね」



雅の母「さっきはきついこと言ってごめんね。最近仕事が忙しくてつい、あなたに当たってしまったわ…。私、どうかしてるわね」



雅「全然へっちゃら。気にすんな」



雅の母「雅」



雅「なに?」



雅の母「手でも繋いで帰ろうか」



雅「そんなことはもうしない。俺、男だぜ?」



雅の母「そうね…」



雅「俺、大切な人を傷つけたんだ。だから今から会いに行ってくる」



雅の母「…わかった。いってらっしゃい」



雅「行ってきます」




私の目に映った姿は、いつの間にかたくましくなった息子の背中だった……。







〜成長〜 完。



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