Cheese138〜Second kiss〜
氷河真はきっと、優しいくせに、それを隠して生きている不器用な人間なんだとわたしは思った。
氷河「離せ」
華「……」
(氷河の肩から手を離す華)
氷河「つーか、もう帰れよ。おまえの顔なんか見たくねぇし」
(自力で車椅子に乗り、華の元から離れる氷河)
華(なにさっ!せっかく助けてあげたのに…)
華「馬鹿」
わたしはその後、鈴木くんの病室に向かった。
―――病室にて
華「ただ今戻りましたー…」
(病室の様子を伺う華)
「ウヒャヒャヒャッ」
華(なっ…なに??この不気味な笑い声は!?)
(病室の中に入る華)
龍「よぉ、立川。ちょうどいいところに来た。おまえも交ざれ」
華「何を…」
薄井「ぉお〜!花子ではないか♪……ひっく」
華「う゛ぅッ!?先輩、なんかお酒くさいですッ!?」
優「あっははは!」
華(普段からまともな野高先輩まで、何も可笑しくないのに笑っている!?)
龍「そんじゃまぁ、引け」
(割り箸を突き出す龍)
華「これ、なにかな?」
龍「何って見ればわかんだろ?王様ゲーム」
華「わたし、絶対にやりませんから!!」
龍「……」ギロッ
華「やります!やります!やればいいんでしょぉ〜!?」
(箸を取る華)
優「…キモチワルイ」
―――バタッ
(箸を持ったまま気絶する優)
華「野高先輩がダウンしたので、このゲームは終わりに…」
龍「関係ねぇ」
薄井「王様だぁ〜れだ?」
華(神様!!王様だけは薄井先輩に当たりませんように…!)
龍「俺だ」
華(鈴木くんが王様!?)
薄井「ははぁ〜、王様!なんなりと申し付けください。ふわぁ〜…なんか眠いぞなもし」
(なぜか龍にひざまずく薄井)
華(先輩がいつも以上に壊れてる…)
龍「じゃあ、1番と3番が、デコチュー」
華(3番って…わ、わたし―――!?)
龍「立川、おまえ当たったな?」
華「何でわかったの!?」
龍「顔に出てんだよ」
華「でも、1番が野高先輩なら王様の命令は無効に…」
薄井「ならないよ」
華「え?」
薄井「僕が1番だ」
(割り箸を見せる薄井)
華「なっ!?」
龍「命令には服従しろよ?立川」
華「うぅ〜、鬼ッ!」
薄井「……」
――――ガシッ
(華の肩に手を置く薄井)
華「薄井…先輩…?」
………チュッ
(華のおでこにキスをする薄井)
華「……き」
龍(お〜、いいもん見た)
華「きゃああああああああああああ!!!!!」
―――ボカッ
(枕を投げ付け、逃走する華)
優「イタッ」
(枕が優に直撃)
薄井「眠い…ぞ〜」
―――パタッ
(ベットに転がる薄井)
優「なんか今、立川さんの声がしたような…」
龍「気のせいだろ?」
優「……違う。気のせいなんかじゃないよ。わかるんだ」
龍「たりぃな…。立川なら半ベソかいて今出てったよ」
優「泣かせたのか!?」
龍「そこで爆睡してる金髪がな」
優「…薄井?」
龍「おらよ」
―――ボコッ
(龍の投げた鞄が優の頭を直撃)
優「イタッ!?」
龍「それ、立川に届けてくんねぇ?ここに置かれても困るし」
優「ありがとう。行ってくる」
(病室を出る優)
その頃、華は…
華(なんで?なんでこんなことになっちゃったんだろう…。気づいた時には先輩が近くにいて、そしたら突然……)
華「―――!!」かぁぁ
優「立川さん!」
華「野高先輩…」
優「よかった…間に合って。はい、これ。鞄、忘れていったよ」
華「先輩、見ましたか?」
優「なにを…?」
華「いいんですッ!!忘れて下さい」
優「薄井に何か嫌なことでもされた?」
華「薄井先輩は全然関係ないですよ!?」
優「立川さん、さっきからずっと顔が赤いよ…」
華「!」
優「おでこにクリームがついてる」
…………ごしごし
(華の額を制服のワイシャツで拭う優)
華「せっ…先輩??」
優「………」
ごしごしごしごし…
(なおも擦る優)
華「ぶぶっ!?」
(華の顔に優の手首が当たる)
優「ごめん!!俺、なにしてんだろ…」
華「いえ、大丈夫です…」
優「なんか少し…頭が痛い…」
華「大丈夫ですか?」
(優に近づく華)
優「……」
――――ちゅ
(華の額にキスをする優)
華「なっ……なななななななな!?」
優「ぅわあ!?!?」
華「へ?」
優「さ…さよならッ!!」
(華に鞄を渡し、走り去る優)
華(に、逃げた…!?)
優(〜〜〜〜〜!!)
(とにかく走る優)
―――ドカッ
(誰かと肩がぶつかる)
優「すいません」
(軽く頭を下げ、また走る優)
??「いえ…」
??(あれ?あの人、どこかで…)
その頃、龍の病室では…
薄井「ガァ〜〜…」
龍「アヒルみたいないびきかいてねぇで、早く起きやがれ!!」
薄井「ガビィ〜〜…」
龍「……」イライラ
氷河「ただいま〜」
龍「よぉ、おまえ、今までどこ行ってたんだよ?」
氷河「ん?ちょっとね…。つーか、何この人」
(薄井を指さす氷河)
龍「酒に酔って寝た」
氷河「……」
(近くにあった雑誌を丸める氷河)
氷河「邪魔なんですがああああああああ!!!」
(薄井の耳元で絶叫する氷河)
薄井「ぐひぇえ!?なっ、何をする!?鼓膜さんが破れたらどうするってんだ!?チキショ〜!」
氷河「ざまぁみろ」
薄井「……なんだ。笑えるじゃないか」
氷河「フン、笑ってねーよ」
薄井「ひひっ、絶対笑ったぞなもし〜(?)」
(氷河を指さして笑う薄井)
氷河「うっせぇな!!笑ってねぇ!!!いちいちその態度がムカつくんだよッ」
………………ペッ
(薄井に向かって雑誌を投げる氷河)
薄井「うッ」
(角直撃)
氷河&龍「あ゛!?」
こうして、病院での騒動は幕を閉じたのであった…
〜Second kiss〜 完。