表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とろけるCheese  作者: KoKoRo
137/156

Cheese137〜氷河期〜

最近のわたしは、つくづくツイていないのかもしれない。

 氷河真に携帯を壊されてしまったり、雅ちゃんとの仲が気まずくなったり、好きな人と別れることになったり…



華「全部、自分が悪いんですよね…」



薄井「何言ってんだっ!?悪いのはあのピアス三つ男だ!山田でさえもピアス二つ止まりなのに、さらなる高みをゆく者がいようとは…」



優「意味わかんないよ」



龍「つーか、なんでお前ら、俺の病室にタムロってんの?」



薄井「僕は透明人間…」



龍「見えてんだよ」



―――ポカッ


(薄井の頭目掛けて、空のペットボトルを投げる龍)



薄井「お〜〜の〜〜れぇえ!先輩に向かって何をするかあぁ!!」



看護師「コラッ!そこの君!病院ではお静かに」


(廊下から薄井を注意する看護師)



薄井「すいませんでした〜」



優「…ぷっ」



薄井「笑うなッ」(小声)



龍「おい、立川。昨日頼んだやつ、買ってきたのか?」



華「もちろん!忘れてないよ〜!はい、これ!」


(鞄からポテチを取り出す華)



優「それ…鈴木くんに頼まれてたやつなんだ…」



華「あ゛!よかったら先輩もどうぞ食べてください!たくさんありますから…」



龍「やだね。誰がやるか」



優「……」かちーーん



華「ひっ、一人で食べるのぉ!?鈴木くん、太るよ??」



龍「ばーか。太るわけねーだろ?病院の飯がまずくて食えたもんじゃねーからな。これが晩飯代わりだ。サンキュー、立川」



華「う、うん」



優「俺の晩飯…」



華(なんだか野高先輩の様子が変??)



薄井「君の晩飯がどうしたって?」もぐもぐ


(マシュマロを口いっぱいに頬張る薄井)



優「なんで薄井が俺のマシュマロ食べてるんだよ!?」


(薄井からマシュマロの袋を奪う優)



優「もうないじゃないか!?」



薄井「マシュマロはコラーゲンの固まりなのだ♪僕が明日、美肌になっても、ひがまないでくれたまえよ♪」



優「期間限定商品なんだぞ?最後のひとつだったんだぞ!?返せ!!」



薄井「無理だ!!」



龍「たりぃな。喧嘩なら外でやれよ」



薄井&優「うるさいな!お前は黙ってろ!!」



龍「……」カチーーン



華「わ、わたし、ちょっとお手洗いに行ってきます…」


(病室から逃走する華)



「お前ら、用事がねぇなら、とっとと帰りやがれ―――!!!」


(龍の怒鳴り声が廊下まで響き渡る)



華(うわ〜!鈴木くんの雷が落ちた――!?逃げて正解…)



「兄ちゃ――ん!」



華「?」



氷河「よぉ、聡じゃん。元気にしてたか?」



華(げげ!?氷河真!?)


(近くの壁に身を隠す華)



聡「うん!兄ちゃん…、まだ足治らないの?」



氷河「なんか複雑骨折とか医者が言ってたよ。複雑ってなんだよなぁ?オレ、バカだからわかんねーや」



聡「……」



氷河「バカ、そんな顔すんなよ。これぐらいすぐ治るって」



聡「だって、僕のせいで…」



氷河「聡のせいじゃない……オレの仲間が悪いんだ」



華(!)



??「聡!」



聡「お母さん!」



聡の母「氷河さん…、息子の命を救ってくださって、本当にありがとうございました」



氷河「オレの顔をみる度に礼なんか言わなくたっていいっスよ」



聡の母「でも…」



氷河「ちょうどよかった。これ、返します」


(ポケットから封筒を取り出す氷河)



聡の母「これは…」



氷河「今月分の治療費。オレの病室に置いてったの、あなたですよね?」



聡の母「どうか受け取って下さい!それは、息子を助けてくださった、せめてもの御礼なんです」



氷河「あなたが事故を起こしたわけじゃない。オレなんかより、聡のためにこのお金を使ってやって下さい」



聡の母「氷河さん…」



氷河「じゃあな、聡。もう道路で遊んじゃダメだぜ」



聡「うん。約束する!」



氷河「本当か〜?じゃあ、男と男の約束な」


(笑顔で去る氷河)



聡の母「ありがとうございました…!」



氷河「……」



華(うわわっ!こっちに来る!?)


(身を縮める華)



氷河「…なにしてんの?立川チャン。盗み聞きっスか?」



華「……氷河真、正直に答えて。あなたはなんでここにいるの?」



氷河「は?怪我したからに決まってんじゃん」



華「あの男の子を助けて怪我をしたの…?」



氷河「知ってんなら聞くな」



華「あなたがいい人なのか、悪い人なのかわからないよ…」



氷河「…してねぇと」



華「――え?」



氷河「悪いことしてねぇと、不良だった頃のオレを忘れちまう。ここにいたら、退屈でしょうがねぇんだよ。お前にはわからないだろうけどな」



華「不良なんてやめちゃえばいいんだよ」



氷河「!?」



華「そうだよ…!絶対そのほうがいいよ」



氷河「……黙れ」



華「わたしはあなたが100%悪い人だなんて思えない。だから…」



氷河「簡単に言うんじゃねーよ!!いい加減にしねぇと、その口、ぶった切るぞ!?」


(車椅子から立ち上がろうとする氷河)



氷河「――ッ!」



華「危ないっ――!!」



―――ガシャーーン


(車椅子から崩れ落ちる氷河を抱きとめる華)



華「大丈…」



氷河「ちくしょう……なんで動かねぇんだよッ!!」



華「………」



 氷河真の声が、廊下中に響き渡った。

 どうしようもない怒りと哀しみが込もったその声は、なぜだかわたしの胸を苦しくさせた……





 その頃、病室では…



―――プシュッ


(缶ビールを開ける龍)



龍「飲め」



優「いらないよ!?どこからそんなもの出したんだ?」



龍「同室の不良に貰ったんだよ。つーか、酒ぐらいで動揺すんなよ。真面目バカ」



優「バカは余計だろ…」



薄井「では、遠慮なく」グビグビ



優「遠慮しろよ!?」



龍「高校生がビールぐらいでビビんじゃねぇ」


(優の鼻をつまみ、ビールを口に流し入れる龍)



優「〇☆■※∇◎★△」



薄井「ヒヒッ、ヒヒヒヒ…」



龍「おいおい、もう酔ったのか?」



優「うぴっ…ふわぁ〜〜はっはっはっ!」



龍「コイツら…マジ勘弁して」




 悲劇はここから始まった……。





〜氷河期〜 完。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ