Cheese135〜人質携帯〜
学校が終わると、玲は部活にいくと言って、すぐに教室を出て行った。
わたしは結局、玲に何も聞けなかった…。
華「…はぁ」
(鞄の中にあるポテチをみつめる華)
雅「華ちゃん、ちょっと話しがあるんだけど…」
華「ごっ、ごめん!!わたし、用があって…。それじゃあ!」
(足速に教室を出る華)
雅「……」
華(なんでわたし、雅ちゃんから逃げてるんだろう…)
??「後ろの少年、だぁ〜あれぇ〜♪」
華「ギャヒィッ!?」
薄井「色気のない叫び声だね?かわいくないぞッ!」
華「脅かさないで下さい!?薄井先輩!」
薄井「君が驚きすぎなんだよ!…で。これからどこに行くんだい?」
華「今日は帰ります」
薄井「…これからどこに行くんだい?」
華「か、帰ります」
薄井「……これからぁ〜どこに行くのかなぁ〜?」
(不気味な笑みを浮かべる薄井)
華「Cheese同好会です!」
薄井「よし!では行くぞ☆」
―――むんずっ
(華の制服を掴む薄井)
華「なんですか?」
薄井「逃げないように」
華(嫌な予感…)
薄井「薄井でGO――→!!!」
(突然走り出す薄井)
華「それを言うなら、電話でGOです――!?」
―――写真部室にて
優「……」もぐもぐ
――ガラッッ
(勢いよく扉が開く)
優「!!??」
―――ガサッ
(咄嗟に袋を隠す優)
薄井「メダカ〜!花子を捕獲してきたぞ〜♪」
華「先輩!制服が伸びきっているので、離して下さい!?」
薄井「…臭うな」
華「そんなに!?わたしって汗くさい女だったんだ…」
薄井「何を勘違いしてるんだね?花子からはフローラルないい匂いがするよ」
華「なっ!?褒めたって何も出ませんからね!」
………バシィッ
(薄井をど突く華)
薄井「ちっがぁう!今は花子の匂いの話しではなく、マンゴ〜♪のトロピカルな香りの話しだ!」
華「そういえば、甘い匂いがしますね」
優「し、しないんじゃないかなぁ?」
薄井「出したまえ」
優「なんのことかさっぱり…」
薄井「これだぁぁあ!」
(優の手から袋を奪い取る薄井)
優「あ!?俺の夕飯!」
薄井「え゛?」
華「え?」
優「へ?」
薄井「この期間限定のマンゴークリーム入りマシュマロが夕飯…?キミは親から虐待を受けているのかね!?」
優「違うよ。今日、家に誰もいないから…」
華「でも、これだけじゃお腹空きませんか?」
優「うん、空くだろうね…。確実に」
華「ポテチ」
優「ん?」
華「このポテチをあげますから死なないで下さい!」
優「あはは…死なないとは思うけど、気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう。立川さん」
華「いいえ!ダメです!もらってくれないと困ります!」
薄井「まさか…花子!?そのポテチに毒でも盛ったのか!?」
華「盛りません!」
優「あれ…?立川さん、携帯鳴ってるよ?」
〜〜♪
(氣志團の着うたが流れる)
薄井「ふむ。変わった趣味をしているね?花子」
華「薄井先輩の携帯では…?わたしは常にマナーモードに設定してますから」
優「でも、立川さんの鞄から聞こえる…」
華「あれ?な、なぜ??」
鞄から携帯を掴み取ると、髑髏のシールが貼られた黒い携帯が出てきた。
薄井「変わってるね♪花子の携帯」
華(誰のですか――!?)
―――ガサガサッ
(鞄の中を漁る華)
優「どうしたの?」
華「これ、わたしの携帯じゃないんです!わたしの携帯が…ない!?」
薄井「とりあえず電話に出てみたらどうだい?ひょっとしたら、その携帯の持ち主からかもしれない」
華「うぅ…」
―――ピッ
(通話ボタンを押す華)
華「もしもし…」
『あ、やっと出たね?立川チャン』
華(この声は――…氷河真!?)
氷河『今、立川チャンが持ってる携帯、オレのなんだ〜。昨日、キミの携帯とすり替えたんだけど、気付かなかった?』
華「いつですか?!」
氷河『オレが鞄持ってってあげたでしょ?あの時だよ』
華「ヒドイ…。目的はなんなんですか!?まさか、身代金を要求するつもりじゃ…」
氷河『要求ならあるよ。今すぐ病院へ来い。さもなくば、キミの携帯がクラッ〜〜シュ…』
華「行きます!今すぐに行きますから、携帯だけはっ…」
氷河『すぐに来いよ?』
ツー…ツー…
(電話が切れる)
華「……」
薄井「どうした?花子」
優「なんか身代金がどうとか言ってなかった…?」
華「わたし、ちょっと用事ができまして…行ってきます!」
(写真部室を出ようとする華)
薄井「待ちたまえ!!」
華「止めないで下さい!?携帯が人質に取られたんです!助けに行くんです!!」
薄井「僕達も同行しよう」
優「立川さん一人じゃ危険だから」
華「先輩方に迷惑は掛けられません。これはわたしの戦です。決着をつけてきます!」
薄井「花子!健闘を祈る!」
優「…へ?」
華「ハイッ!」
(部室を出る華)
優「やっぱり一人で行くのは危険すぎるよ…。俺、行ってくる」
薄井「待て、メダカ。様子を見よう」
優「……?」
―――山下病院前にて
華(必ず氷河真を討ち取ってみせる…!)
氷河「やっほ〜」
華「!?」
(屋上を見上げる華)
氷河「遅かったね」
(屋上から華の携帯を手元でぶらぶらさせる氷河)
華「返せ!!」
氷河「返してほしけりゃここまでおいで」
華「!!」ムカッ
(屋上に向かう華)
―――屋上にて
華「はぁ…はぁ…」
氷河「お疲れさん」
華「返して下さい!いい加減にしないと怒りますよ!?」
氷河「もう怒ってんじゃん」
華「〜〜!!」
氷河「メモリに入ってた淳くんって彼氏?」
華「勝手に見ないでっ…!」
(氷河から携帯を奪おうとする華)
氷河「おっと、暴れんなよ?携帯、屋上から落とすよ?」
華(やっぱり最低だ…。この人、最低っ…)
氷河「条件をのんだら返してやるよ」
華(どうせお金――…)
氷河「キスして」
華「――え?」
〜人質携帯〜 完。