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とろけるCheese  作者: KoKoRo
134/156

Cheese134〜ベリーショート〜

町内一の不良、氷河真。名前だけは聞いたことがある。

 わたしが通っていた中学の近所に、不良学校と名高い蘭羽中学という学校が存在した…。暴力事件、万引きといった、悪い噂が堪えない学校だった。




―――2年前



女子A「今朝の新聞、みたー?また蘭羽の生徒が捕まったってよ〜」



女子B「げ!またぁ?今度は何やらかして捕まったのよ」



女子A「恐喝だってさ!帰宅途中のサラリーマン襲って、財布ひったくったんだって!」



女子B「それって、おやじ狩りじゃん!?こわっ!」



……



そんなような話しが、ほぼ毎日耳に入ってきた。



―――ある日



華「塾いってきまーす」



わたしはこの日、高校受験のために通っていた塾に向かおうとしていた。



葵「あ!姉ちゃん出かけんの?ついでにシャーペンの芯、買ってきてくんない?」



華「やだ」



葵「なんでだよ!?ケチ!鬼!アホ!」



―――パコッ


(塾の教科書で葵の頭を叩く華)



葵「いってぇ〜!なにすんだよ!?」



華「葵の無神経!!」



葵「??」



母「葵、芯なら母さんが明日買ってくるから我慢しなさい。華…、気をつけてね」



華「うん…。行ってきます」




家を出ると、外は薄暗く、空は紫にも似た不気味な色に染まっていた…



華(この時間帯にコンビニなんかにいったら、蘭羽生とかがたむろってるんだろうな…)



わたしは足速に塾へと向かう道を進んだ。





―――塾にて



華(無事にたどり着けてよかった…)



男子塾生A「最近多いよな。恐喝事件」



男子塾生B「ここだけの話、俺のダチもやられたんだよ。…蘭羽生に」



華「……」ゾクッ



男子塾生A「マジで?うわ〜、蘭羽の奴に会ったらジ・エンドだな」



男子塾生B「なんかこえぇ〜!今日は団体で帰ろうぜ」





その後、塾は終わり…



華(やだな…外が暗い。急いで帰ろう…)



急ぎ足で塾の階段を下り、玄関を出ようとしたその時だった…



―――ドンッ



華「きゃっ…!」



蘭羽生「なんだ、てめぇは?」



華「!!」ビクッ



蘭羽生「ぶつかっといてシカトかよ?しかもなんだぁ?そのふざけた髪型」


(華の髪についたボンボンを引っ張る男)



華「やっ、やめてください…!!」



蘭羽生「やめろだぁ?それ言う前にごめんなさいだろ?」



華(痛いッ!!)



氷河「おい、女には手ぇだすな」



華(銀……髪……?)



蘭羽生「けどよぉ」



氷河「最近やたらとサツがパトロールしてっからな。みつかったらやべぇだろ?さっさと帰って酒飲もうぜ」



蘭羽生「うーぃ」


(華の髪を離す男)



氷河「……」ギロ


(華を睨む)



華「ごめんなさい!すみません!!」



氷河「あんたも早く帰んな」



華「!」



氷河「目障りだから」



華「……」



不良にも優しさがあるなんて、少しでも思った自分が馬鹿だった。



『氷河 真』



その名は後に、史上最悪の不良として街中に知れ渡っていった…






―――そして、現在。

わたしの前に、髪を黒くした彼が再び現われた。



氷河「よろしくね?立川チャン」



華「わたし、帰ります!」



龍「はぁ?おまえ、何しに来たんだよ?」



華「わわわわたしはただっ、鈴木くんにこれを…」



氷河「これ、渡しにきたみたいだよ」


(龍に数学の課題を手渡す氷河)



華「じゃあ、わたしはこれで失礼しますッ!!」


(病室を出ようとする華)



龍「立川!」



華「…なんでしょう?」



龍「わりぃんだけど、ポテチ買ってきてくんね?明日でいーから。あ、うすしお味な」



華「なぜわたし!?」



龍「え?おまえしかいねーから」



華「うぅ…、わかりましたよッ!」


(病室を出る華)



龍(使える奴…)



氷河「あーあ、鞄忘れてら。オレ、ちょっと行ってくるわ」


(華の鞄を持ち、病室を出る氷河)





――その頃、華は…



華(髪が黒くなってて、最初みたとき気付かなかったけど…あの人は間違いなく伝説の不良!!こんなところで会うなんて…)



氷河「立川チャ〜〜ン」



華「ヒィッ!?ごめんなさい!許してください!」



氷河「ほら、忘れ物」


(華に鞄を手渡す氷河)



華「あ…ありがとうございます」



氷河「ねぇ、立川チャン」



華「はい゛…」



氷河「オレ達、どっかで会ったことねぇ?」



華「なななナイですッ!滅相もございません!」



氷河「そっかぁ〜!ないかぁ!」ニコッ



華「そうですよ…」ホッ



氷河「…な〜んて、見え透いた嘘はやめろよ」



華「!?」



氷河「またオレに会いにきてね」



華「―――」(茫然)





―――翌日、学校にて。



華(昨日の氷河真の目、怖かったな…。でも結局、うすしお味のポテト買ってきちゃったし、また行かないといけないんだ!?うぅ…)



―――ザワッ


(教室中がざわめく)



「おはよ。華」



華(この声は、玲の声!!)


(後ろを振り向く華)



華「おはよう!れっ…」



玲「……」



華「かっ、かかかかか…」



玲「……」



華「髪がな――――――――――い!!??」



玲「失礼ね!ちゃんとあるわよ!」



玲の長くて綺麗な黒髪が、肩につかないほどばっさり切られていた…。



華「どうして急に切っちゃったの!?」



玲「なんか切りたかったのよ。似合う?」



華「すっごい似合う!カッコイイ!」



玲「かっこいいかどうかはわかんないけど、なんかスッキリしたかな」



華(玲、どうしたんだろう?失恋でもしたのかな…)



玲「悪いけど、華?失恋なんてしてないからね?」



華「えぇ!?どうしてわかったの!?」



玲「顔に考えてること、モロに出てるわよ」



華「気をつけなくちゃ…」



玲「ところで今日、龍って休みなの?」



華「うん、怪我で入院してるんだ…」



玲「そう…」



『鈴木くんと何かあったの?』



わたしはそう問い掛けようとした口を閉じた…。










〜ベリーショート〜 完。



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